↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
75/434

第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.75


「でも。俺、そろそろ帰らなきゃ」



 バイトもある。大学の授業もある。親に連絡を入れ、地元の就職先の相談にも乗って貰わねばならない。


 京はその言葉に眉を顰め、


「え? 帰るって、どこに?」


「東京に。住んでいる県人会の寮に」


 慌てた素振りで京は、


「え、でも婆ちゃんはケガ治るまでずっとここにいるって?」


「それは、美妙さんのお告げではそうだけど。現実的にはもう帰らないと…」


「でも、ケガ治って、ないんでしょ?」


「それは… そうだけど…」


「嫌だよ」


 小さくうめく様な声を絞らせて、


「ダメだよお、ここにいなくちゃ、恵比須にいなくちゃあ!」


 悠人の生真面目さが京の想いを断つ。


「それは出来ない。夕方にはここを出て、コインロッカーの鞄を拾って東京に帰らないと」


 毅然とした悠人の物言いに、京はそれ以上言葉をつげなくなってしまう。



 山頂の無言の二人に海から駆け上がってきた冷たい風が切なく吹き巻いている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。