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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.73
悠人はハッとする。
先ほど美妙さんは言った、「心の怪我は大丈夫かい」と。
就活で深く傷いた俺の、心の傷。すると美妙さんは心に傷を負ったワタツミという人間が、この地に現れることを予知していたと言うのか!
そして。
その傷をこの地で癒やし、その後何らかのお返しをする事になると言うのか?
幸福を振りまく、とはそう言う事であろう、悠人は呆然と老婆を見つめるしか無かった。
「さっき血は止まったと言うたが。傷はまだまだ癒えておらんよ。ゆっくりこの地で治していきなされ。そしてー」
老婆らしからぬ、恥じらいを含む笑顔を樹々に向けた。
その隣で美妙さんの肩を揉みながら、京がうんうんと頷いていた。




