70/434
第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.70
悠人は頷きながら、
「出血、してましたか……」
「ああ。それにしても、遅かったのお」
「は? 何がですか?」
「ここに、恵比須に来るのが。京の所に、来るのが」
は? どう言うこと? 俺が京ちゃんの所に転がり込むのが遅かったと?
悠人は流石に首を傾げながら、
「遅かったって、どういう事ですか?」
「あんたが、傷を負って、恵比須に来るのが。もっと早く来ると思っとったわい」
老婆はきゃははと笑う。何故か真っ白な歯が妙に印象的だった。
「そうじゃ。あんたが、ここに、来る。そう夢に出たんじゃよ」




