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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.67
ミミョー婆さんの家は樹々に囲まれて暗くじめっとした感じなのだが、中に入ると線香の匂いが心地よく、不思議と穏やかな気持ちになっていく。
靴を脱ぎ京に続いて廊下を進むと、茶の間の縁側の座卓に一人の老婆が座っていた。
「京ちゃんかい? いらっしゃい。よく来たね」
「えへへ、久しぶりっ 元気だった?」
「ああ元気だよ、そうだ京ちゃん、お茶を淹れてくれないか、その人の分も」
「はいよっ ちょっと待ってねー」
おい。俺を置いて行く気か?
たちまち居心地悪くなった悠人に、
「あんたかい、よく来たね」
と老婆は優しく語りかける。総白髪を後ろで束ね、皺だらけの小さな顔の老婆はどうやら全盲らしい。




