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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
64/434

第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.64


 女性と付き合ったことのない男子が女性にされて動揺するランキングの最上位に位置する『腕組歩き』。


 悠人の額から大粒の汗が零れ落ちる。



 冗談ではない。彼女は亡くなった祖父のつもりで絡まっているのだろうが、俺は俺だ。キミのお爺さんではない。綿積悠人だ。



 曇り空のせいか昨日よりも風を冷たく感じていたのだが、今は全身に汗をかく程に心も体も熱くなっている。


 その冷たい風が隣の京の香りを悠人の鼻腔に触れさせる。悠人の心は更に熱くなり、忘れかけていた後頭部の痛みがぶり返してきた。



 心が、熱い。燃える程に、熱い。



 生まれてこの方初めての感覚に、大いに戸惑う悠人である。



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