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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.60
「おー、昨日はサンキューな、シンタ!」
隣で京が大声で話しかける。その男は更に近づき悠人の前に立ちはだかり、
「もう大丈夫なのか?」
と野太い声で悠人に話しかける。
「え、ええ。もう、大丈夫、です」
悠人より十センチほど背が高く、目の前の大胸筋がはち切れそうな程の体付きだ。無精髭をいっぱいに生やし、眼光の鋭いそのシンタと呼ばれる男は悠人を一瞥し、
「それなら良かった」
と呟く。京が、
「昨日、アンタをウチまで担いでくれたんだぞ、お礼ぐらい言っとけ」
悠人はハッとして、
「あ、あの、有り難うございました、お陰で助かりましたっ」
と慌てて頭を下げる。
シンタは軽く首を振り、京に片手を上げてクルリと背を向けて戻って行った。




