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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.52


(あれ、どしたんだろ。急に食わなくなったし。やっぱ頭打って調子良くないのかなあ)


 京は真顔で悠人の顔を覗き込む。


(ちょ… 直箸って… 卵焼き、味変しちゃうじゃんか… うわ、やば…)


 悠人は上目遣いで京をチラ見する。


 二人の交錯した感情は全く妥協点が見いだせないまま只時は過ぎ行き、味噌汁はそれに比例してその温度を下げて行く。


(やっぱ昨日のうちに病院連れてけば良かったのかなあ)


(しかも一口齧ってるし。これって所謂間接フリーキック…もとい、関節技… あれ?)


(カオちゃんの言うこと聞けば良かったよお、救急車呼んどけば良かったよお…)


(ああ、時間が経つに従いこの子の唾液が卵焼きに染み込んでいく… そ、それを俺は…)


(ヤバいよヤバいよ、ほら目が逝っちゃってるよコイツ、ぜってー脳みそ壊れたよー)


(卵焼きが更に甘みを増していく… ああ、食べたい、口にしたい、でも、俺には…)


(コレって殺人になっちゃうのかなあ、ヤバ、アタシ人殺し? てか、神殺し?)



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