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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.42
ここにきて悠人は恐怖が込み上げてくる。
まさか、この子は実は宮沢賢治の話に出てくる山猫? あれ俺食われてしまう? あのカオちゃんさんも、俺を美味しく太らせる為に美味しい海鮮粥を?
悠人の狼狽ぶりに京は大爆笑し、
「ウソに決まってるっしょ、ばぁか。ぶはははは、なにオロオロしてんのぉ、ぎゃははは」
笑いながら京は脱衣所を出ていく。
その後ろ姿を呆然と見送りながら、悠人は頬を思い切りつねってみる。ああ、普通に痛い。
大丈夫だよな、本当にあの子は妖怪じゃないよな、俺のことを喰おうとしてないよな?
鏡の中に映る、肋の浮き出た胸、骨ばった手足を眺め、こんな不味そうな優男を喰うことはあるまい、そう勝手に解釈する。
それでも暫し立ちすくんだあと、恐る恐る服を脱ぎ、警戒しながら浴室に入って行った。




