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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
30/434

第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.30


 ひとしきり喋り尽くしてから、カオちゃんが席を立ち、


「じゃあ京ちゃん、何かあったらすぐ声かけて。特に嘔吐したらすぐに知らせるのよ」


「いやいやいや。人ん家でゲロ吐いたらぁ、ぶっ殺す」


「ダメよ、そんな簡単に人を殺しては」


「平気だって。死体はいつものとこに沈めときゃ、魚がつついてすぐに骨になるしぃ」



 悠人は激痛を押しのけて上半身を起こし、怯え切った顔で二人を交互に見た。



「ぶはははは! こ、こいつマジビビってるよぉ、おもしれーんですけどぉ」


 京と呼ばれる若い女性は、バ先の子たちが使う言葉遣いとは少し違う口調である。


「もう京ちゃんったら。じゃあキミ、お大事にね。後でお粥でも持ってくるから」


 笑いを堪えながらカオちゃんが部屋を出て行った。



 急にシンとなる。


 ところで、一体ここは……



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