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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.16


 普段悠人は忘れ物も殆んどせず、道に迷うこともない。そんな悠人が事もあろうにJ Rと京浜急行線を間違えて乗ってしまうとは、相当我を忘れていたのだろう。


 

 席を立ちホームに出て、暫し呆然と佇む。



 しばらくして己を取り戻すと、ホームに掲げられた時刻表まで歩き、品川行きの時刻を調べる。あと十五分後に快特品川行きがあるな、その瞬間。



 フッと潮の香りが鼻腔から脳に至る。振り返ると海が太陽を反射して揺らいでいる幻想を見る。



 海、か。見に、行くか。



 悠人の足は勝手に改札口に向かって歩み始めていた。



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