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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.15


 本屋や図書館で就活本を求め、研究したであろうか。否。


 ネットやクチコミを参考に企業に向き合っただろうか。否。


 己を向上させ、企業を振り向かせる自分を整えてきたであろうか。否。


 では、俺はこの四年間、何をしてきたのか?


 無。



 もう一人の自分がせせら笑いながら呟く。


(虚無だよ。俺は中身も行動も、空っぽなのさ)


 頭を抱えた時、


「終点、三崎口駅です、お忘れ物のないようにお降りください」



 ハッとして頭を上げる。周りを見回す。そして気が付いた、間違えた、京急に乗っちまった、と。



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