145/434
第二楽章 Valkyrie Op.56
信太は不意に言葉を止め、一心に焔を見ている。
余りに集中して聞いていたので悠人のコップの酒は全く減っていなかった。丁度喉が渇いたのでそれを一気に煽り、半分ほど残っている一升瓶からコップになみなみとつぎ、一口啜る。
恐らく自分の人生の中で、今ほど真剣に人の話を聞いたことはなかった、そしてこれほど夢中になって人の話を聞き入っていることもなかった、悠人はドブロクを飲み下しながらそう思った。
どれほど黙っていたのだろう、やがて意を決したかのように、信太は話を絞り出し始める。




