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第二楽章 Valkyrie Op.55
もはや悠人は息をするのも忘れていた。
今から十年前位か? 一体何が起きていたのか? マスコミはそれをニュースにしたのか? いや、政府はその事態を国民に知らせたのだろうか?
そんな大事件のど真ん中に、目の前の男が関わっていたなんて…
恐らく信太は話したかったのだろう、誰かに。だがそれは決して許されず信太の心の枷となっていたのだろう。
今日の昼までの信太の挙動がそれを証明していると悠人は推察する。言葉足らず、鋭い目付き、人を信用しないオーラ、男盛りなのにこんな寒村で祖父母と母親の手伝いに没頭。
弱まった焚き火に悠人は細く切った薪をくべ、信太の一人語りにエールを送る。




