103/434
第二楽章 Valkyrie Op.21
「あーら、これはこれは。いつもありがとねー」
香の家に行くのは、と言うよりもこの集落の他の家に行くのは初めてだ。二階建てのしっかりした造りの木造家屋だ。柱がやたら太く屋根瓦が昔ながらの重たそうなやつだ。愛媛の実家の近くにも似た造りの家があったが、昭和初期に建てられたそうだ。この家は築何十年なのだろうか、なんて思う。
「とーさーん、京ちゃんがおつまみ持ってきてくれたよおー」
香が奥に叫ぶと、
「おー、おー、それそれ!」
と言いながら、禿頭の老人がニコニコ顔で玄関に出てくる。




