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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.10


「ふーん。特技無し、趣味特に無し。ガクチカ(*)、特記すべきこと無し…… ねえ綿積君、キミ就職活動舐めてんの?」


 不機嫌そうな太った黒縁メガネの管理職が濁声《だみごえ》をあげる。


「こんなエントリーシートでさあ、キミを採ろうとする会社あると思ってんの、ねえ? これが名だたる国立大学や早慶だったらワンチャンあるよ、でもキミ違うでしょ? どこなの大学、言ってみな?」


 エントリーシートに在学する大学名を記入する欄はない。



(*) ガクチカ:学生時代に力を入れたこと、の略称。就活面接における最大のアピールテーマ。主にゼミ、研究、サークル、部活動、インターン、資格取得、ボランティア、アルバイトがテーマに選ばれる。


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