88話
地面に切り伏せ山になった人間もどきが地面に吸い込まれるように消えると、今度は何もない所からアルバスが出てきた。しかし…数が多すぎる…
何百人かわからない笑顔の天使が素手で殴りかかってくる。とてもじゃないが、倒しにくい…
「躱しては意味がありませんよ」
「斬りにくいんだよ!」
「しかし、そんなこと言っても仕方ありません。命の危機になれば意地でも手が出るでしょ」
そういうと、多くのアルバスの手に光が集まるとその手には武器が握られていた。そして、重々しい鉄製の武器をハジメめがけて降り下ろす。躱せばすぐ、別の攻撃がくる。斬りにくいと言っていられず、すでに二人を切り伏せた。しかし…強いな…このままだとジリ貧だ…くっそ…どうすれば
ピコーン。
頭に能天気な通知音が響いた。俺は躱しながら、ステータスを開き通知を確認する。
「レベルアップか?…っ!…こ、これは!?」
ーーーーーーーーーーーーーーー魔界ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔界。悪魔が住み、悪魔が統治する、悪魔の為の世界。魔界には人間と同じく多くの街があり、多くの種族の悪魔が住んでいる。その魔界で、王として君臨する男は元人間であり中途半端な悪魔だ。
そんな男は今頭を抱えている。
「どうにかならないか…」
「どうにもならないでしょう。これ以上は交渉の余地もありません。兵はみな、やる気です!」
「しかし…血が出ることになるのだぞ…」
「ルシフェル。お主は忘れたのか?すでに何人の同胞が奴らに殺されたと思っている」
「しかし…同族なのだぞ!?」
「それとこれとは違う!人間も人間同士で戦争をしてるではないか!」
「…く…。わかった…しかし、まだだ。まだ、時ではない…」
「何を言っておる!すでに、地獄の奴らは進軍しているのだぞ!」
魔王のルシファーと言い争っているのは、黒い神官服をきた白髪男。
二人の口論がヒートアップしそうになると、扉が音を立てて開けられた。中に入ってきたのはウルフカットの髪に布と鉄でできた装備をきた男が入ってきた。
「ルシファー様!フェレス様!っ!フォカロル様がお帰りになりましたっ!」
「なに!?フォカロルが!?すぐに通せ!」
「はっ!」
ウルフカットの魔族は再び、来た道を戻っていった。ルシフェルは、提督机に深くすわり、フェレスは横に控えた。
数分後、ウルフカットの男の後ろから血色の悪い顔の男。フォカロルが続いていた。
フォカロルは部屋に入ると、ルシファーに頭を下げる。
「久しぶりだな。フォカロル。早速で悪いが、報告してくれるか?」
「はい。その前に、ハジメという青年を知っておられますか?」
「フォカロル。お前は何を言っておるのだ?」
「しかし、この者はおそらく我々の戦況をひっくり返すかもしれませんので」
「そうか。ハジメ…聞いたことはない。そやつが、今回の戦争とどう関係あるんだ?」
「ハジメは『神曲』を扱える人間です。」
「な、何だと!?嘘を言うな!貴様!さては、地獄の奴らに吹き込まれたか!」
フェレスが神官服の袖から赤い玉のついたロッドをフォカロルに構える。
「フェレス。止めないか…」
「は、はぁ…」
「さて、そのハジメとやらを教えてくれるか?」
「はい。ハジメは…」




