62話
文章直したいんですが、うぬぬ.....
二人で笑いあっていると、後ろから声をかけられた。ピエロのアドルフィだ。
「そろそろ、後ろに行きましょう。ついてきてください」
そういうと、こちらを一切見ずに、ステージを見ている貴族の間を縫うように、進んでいく。俺達も、後に続いて行くと、誰にもぶつからずに、ステージ脇の扉まで来れた。
中に入ると、多くの芸人が集まっていた。どれも、緊張した表情だ。ぶつぶつ言っている蝶ネクタイ漫才師。ボーリングのピンのような形の棒をジャグリングしている女。
「ハジメ様。緊張されてますか?」
「いいや。どうした?」
「ふふふ。肝が据わてらっしゃるんですね。ここでは、自分の今までが評価されるのでみんな必死なのですよ。ここで、いい評価をもらい人気になれば、貴族様のお家で雇えるかもしれません。雇ってもらえればチップなどの不安定な収入ではなく安定した給料が入りますからね。」
「そうか。まあ、俺には金なんて興味はないけどな」
「おや?確か、ハジメ様は、音楽家と聞いておりますが?」
「そうだが、ギルドで稼げるだろ」
「ふふふ。第三次ジョブですと、暮らしていくのは無理ですよ」
おかしなことを、いうなと言った表情でアドルフィが俺を見てくる。
え?できないの?...俺は、論外なのかな?
「ハジメっち!前の人そろそろ、終わるよ!」
「ああ!来たなっ!」
「では、説明します。まず、司会の者が紹介しますので一拍開けてから、袖から中央にあるマイクまで歩いてください。その後、ハジメ様のピアノを運びますので10秒ほど挨拶などで間をつないでください。曲が終わりましたら、一礼してから、袖まで帰ってきてください。」
アドルフィの説明の途中に、前の芸人が袖まで帰ってきた。表情は絶望一色だ。そこまでか?
「緊張してるか?」
「ううん!逆に楽しみなくらいだよ!」
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「次の芸人は....おお!ゴッフレード公爵様の推薦です!あの宮廷道化師のアドルフィを推薦した方ですからね!期待はできます!では、ええ....演者名はハジメ、リカ。これは、演奏ですね!珍しい!では、どうぞ!」
ゴッフレードの名前が出た瞬間貴族たちが急にざわめき始めた。
俺達は、ゆっくりと袖から中央のマイクまで向かう。堂々と、ゆったりと。
「ご紹介預かりましたハジメです。」
「リカです」
そして、深く礼をする。それと、同時に俺は設置されたピアノに向かう。
ゆっくりと歩いたのは、ピアノを設置するための時間稼ぎだ。
ピアノ椅子に深く腰を下ろし、そっと鍵盤の上に手をのせリカを見る。リカは目を閉じて、深く深呼吸するとそっと俺のほうを向いた。俺は鍵盤に指を躍らせる。
弾むように、踊るように、楽しそうに指が鍵盤で遊ぶ。そして、合わせるようにリカの澄んだきれいな声で歌いだす。
練習と同じ曲だが、まるで違う曲のように思える。弾いていて、鳥肌が止まらない。笑顔になってくる。体が自然とリズムに合わせる。
リカも楽しそうに、手を動かしたり、体を動かして歌を、音楽を、楽しんでいるようだ。調子に乗って、少しアレンジしたりすれば、リカも合わせるようにまた歌い方を変える。
ふと、客(貴族)をみると、表情は変わらない。くそ...楽しくないか....
でも、いいや。俺たちが楽しめれば。せっかく奏でるんだ。楽しまないと!
曲が終わった。楽しい時間はあっという間に過ぎる。
最後まで余韻を楽しみ、終わった。椅子から立ち上がり、貴族のほうを向く。そして、リカの礼に合わせて俺も礼をする。顔が見れない....拍手も何もないんだ。見れるわけない....くそ....
そそくさと、脇に引っ込む。
「やっぱ、早かったのかもな...俺達じゃ...酒場で盛り上がっても、ここは貴族だ。俺達レベルは聞きなれてるってことじゃないか....」
「うん....そうかも....」
「まあ、頼まれたんだ!俺たちに責任なんか、ないさ!な?」
「うん!そうだね!それに、貴重な体験だったと思うよ!」
リカと傷を舐めあっていると、後ろから気配を感じた。
アドルフィだ。
「やはり、すごいですね。お二人は」
「ははは!慰めか?」
「なんのことですか?」
「ハジメっち...違う...」
「何が違うんだ?....え?」
「「「アンコール!アンコールアンコール!!」
耳を澄ませると、アンコールと手拍子が聞こえる。
な、なにこれ....泣けるぅ!
俺は、笑顔で泣いていた。リカも。
リカの手を引いて、もう一度ステージに飛び出る。
「落ち着いてください!ただいま、呼んでまいります...!おお!アンコールに応えて、ハジメ、リカが登場しました!」
司会が、俺達を再度紹介するが、その声が聞こえなくなるほどの拍手が響く。
ふと、貴族たちを見ると、みな楽しそうな表情だ。ははは....楽しんでもらえたんだ....リカがマイクを持つ。
「アンコールありがとうござます!では、聞いてください!」
俺は、急いでピアノに向かう。やっぱ、音楽って最高だな!!




