トラック29 第三次ジョブの処遇
鏡の世界に入ると、すぐに二人の姉妹が出迎えてくれた。
「「おかえりなさい!」」
「ただいま。元気にしてたか?」
「「うん!」」
「そうか。よしよし」
俺は二人の頭を軽くなでる。くすぐったそうだが、どこか嬉しそうにも見える…かわいいな…だが…影子はリカの姿のままだ。うーん…変えないと。本格的に間違えてくるぞ…
すると、本物のリカも頭をこちらに向けてくる…俺は、ついでに撫でる…かと見せかけてハタく。
「いったぁーい!」
「さて、二人とも何か食べたいものはあるか??」
うーん…と、腕を組んで考えている二人…
このままだと、夜中まで考えてしまいそうだ。ここは、崩して考えさせるか!
「なら、お肉がいい人!手を上げて!」
「はい!はい!はーい!」
すると、リカが一番早く手を上げてアピールしてくる…
「なら、私もお肉でいいです!」
「私もー!」
「なら、今日はステーキにしよう!」
「やったぁ!!!」
「それじゃあ、食材を買いに行くけど…影子!一緒についてきてくれ!」
「私ー?はーい!」
ちなみに、この鏡の世界でも家具と同じように、どこかの鏡に映った料理を取り出すことはできるが…それは流石にマズイだろうってことで買って部屋で鏡で調理をしている。この鏡の世界は、間取りなどを自由に変えられたので転生する前に母さんと父さんの三人で暮らしていた一軒家の間取りにしてある。二階建てで、1階はリビングにキッチン、和室10畳の和室にお風呂とトイレ。2階は父の書斎だった部屋と母の寝室、俺の部屋、物置代わりに使っていた部屋とトイレだ。
今はリビングにいる。
「私が行こうか?」
「いや、大丈夫だ。後で買った食材を鏡に入れるから受け取ってくれ」
「はーい!待ってるよ!」
俺は影子と手を繋いで、入ってきた鏡に向かう。鏡に入るときは、紫の鏡から入るが、出るときは鏡子に頼むか、鏡子が設置した鏡を使って出入りする。
「いってきまーす!」
「行ってらっしゃい!…」
どこか寂しそうな表情の鏡子…そりゃそうか…鏡からでれないんだもんな…いつか呪いを解けたらいいな…
と思いつつ、世界に戻る。先の、広場だ…
「それじゃあ、買いだしだ!!まずは、商店街を探さないとな!」
リカに見えない影子を連れて広場から出る。広場から出ると、商店街のようになっていて活気がづいている。
野菜を売っているおあばさんや、魚屋の大将が大きな声で客引きをしている
「影子は、人の街ってよく来てたのか?」
「ううん。あんまり来ないかな〜姿じゃなくてお金の問題でね」
「そうか。おっ!肉屋だ!」
魚屋の隣が肉屋だった。ショーケースなどはなく、机の上に解体された若干血が付いている肉の塊が置いてある。机の奥には、大きな鉈をも持ったおじさんがいた…こえ…
「影子…な、なんの肉がいい?」
「ステーキでしょー?なら、千闘牛のヒレがいいー!」
「ん?そうか?どんなんかわかんないけど…おじさん!千闘牛のヒレを…四人分あるか?」
すると、おじさんは目つきを変えて俺を見てくる…なんだよ…
おじさんは、少し笑う
「あるよ…ちょっと、待っててくりょう……」
バンっ!ガンっ!ガシッ!バン!
数分後、バナナの葉のような葉で包まれた肉を持ってきた。麻ひもで縛ってある。
「一応一キロだ。王金貨二枚だ。払えるよな?」
ああ…それで、見てきたんだな…?てか、高すぎだろ!!王金貨二枚!?
まあ、払えるけどね。俺はポケットから無造作に王金貨を10枚程度掴み、見せつけるように二枚取って肉の上に置く。
すると、おじさんは目を見開いて固まっている。
「それじゃあ、もらってくよ。行くぞ影子」
「はーい!」
「すいませんでしたっっ!失礼な言葉遣いで!そんな身分が高い方だったとはおもわず…申し訳ない!」
おっさんは、腰が折れるんじゃないかと思うほど頭を下げている…身分が高いって!
「いいですよ。では、失礼します」
「またのお越しを心からお待ちしております!!!」
無駄にへこへこしてきたおじさん…いやー、なんかすがすがしい!
まあ、肉は高かったけど、それほどうまいんだろう。
「影子。なんか食いたいものあるか?」
「あれ!」
影子はリカの顔で満面の笑みを浮かべて移動式の屋台を指差す。みると、飴屋じゃないか?
俺は影子の手を引いて、飴屋による。飴屋では、俺より年下に見える女の子が色々な色の飴を、粘土でも扱うかのように丸めたり広げたりしている。
女の子は、薄くした飴を器用に動かし形を作っていく。だんだんと花の形になっていく。おお!飴細工か!初めて見たな…
「あれ欲しい!」
「よし!待ってろ。…お嬢さん。その飴ください」
俺がそう言うと、女の子は驚いたような顔になり困っているようだ…?
「あ、私は…見習いの身ですので…うるほどの価値は…もうすぐ、師匠が来ますので!」
「いえ。この子はその飴を見て欲しいと言ったのです。売っていただけませんか?」
そういうと、女の子は影子をじっと見つめると、そっと飴を差し出した。影子はそっと受け取ると、大切そうに眺めている。お代を言わなかったので、一応金貨を渡そうとすると屋台の裏から大きな図体の男性が現れた。女の子は、男性をみると青ざめた表情になった
「おい。メルト。焦がしてないよな」
「は、はい!焦がしてません!」
「あ、お代を渡したいんですが…いくらでしょうか」
すると、男性は影子が持っている花の飴細工をみると拳を作っている…男性はメルトと呼ばれた女の子の髪をいきなり掴んで屋台の机に叩きつける
「勝手に飴を作ってんじゃねーよ!馬鹿野郎!第三次ジョブの分際で!この!」
「ご、ごめんなさい!…」
何度も何度も屋台の机に叩きつけられている女の子…俺は急いで、男性の腕を掴む。かなり力が入っているようで、指が男性の腕に食い込む。
「いててて!何すんだ!てめー!」
「あなたこそ、何をしているのですか。こんな女の子に手をあげるなんて」
俺は腕をそっと解放すると、男性は腕を押さえて俺を睨む。俺は女の子をすぐに、俺の後ろに引っ張る。隣にいた影子が女の子をそっと抱き座り込む。
「そいつはな!第三次ジョブなんだよ!使えねージョブのくせに!クビだクビ!!それに、お前慰謝料払え!これほどの力だと、第一次ジョブなんだろ?ほれ!金貨で許してやるよ!」
男は、下卑た顔で腕を押さえながら俺を見てくる。なにこいつ…めっちゃむかつく…
俺はついつい『達人の旋律』で、殴ろうと引いた腕を誰かに止められた…ふと、振り返ると…帽子のツバに手をかけて挨拶している男…濃い紺の詰襟に制帽…腕章…け、警官!?確か第三次ジョブの第三次官名ジョブか!
「危なかったね〜。ここで殴ったらアンタも一緒にパクることになっちゃうからね〜」
「す、すいません…」
「あ、大丈夫。それに、この状況から察するに…問題は、こいつだろ?」
警官の男は、頭から血が出ている女の子と、その子の前に背を向けて男に向かいあっている俺…まあ、そう見えるだろ…
「ああ。そうなんだ。俺はどうすればいい?」
「こいつがいきなり、腕を掴みかかってきた!こいつが悪い!こいつを捕まえてくれ!」
俺の言葉を被せるように男性も話し始める。警官は、面倒くさそうに耳を掻きながらきいている。
「わかった。わかった。おにいさん!アンタは帰っていいよ。そんで、おじさん。おじさんは、ピエリックさん?アンタには通報があってね…まあ、ちょいと…署まで来てくれる?」
「なっ!知らん!なんのことだ!ふざけるな!」
「ほらっ!おとなしくして!…あ、おにいさん。その子を病院とかに連れていってあげてね。責任かな?そいじゃ〜ね〜」
警官は男の腕を掴みながら連れて行く…
おいおい!この屋台はどうするんだよ…影子も女の子を抱えている…俺は、スピーカーを召喚し『聖堂の鐘の音』を流す。すると、出血が止まり痛そうにしていた女の子も安心したのかそっと目を閉じた…気を失ったか…
「影子。大丈夫か?」
「今…のが…『神曲』…」
「影子?」
「んっ!なに!?」
「大丈夫か?重いか?」
「大丈夫ー!」
たくっ!俺は屋台を引っ張って移動させる。人が少ないところまでくると、そのまま屋台ごと鏡に帰る。
肉しか買ってねーよ!ふざけんな!!
時間の変化がわからないと言われました…今度からちゃんと入れてきます…




