トラック26 カエルぴょこぴょこ
犬、猫、ライオン、龍、蛇までいるのに、案外カエルってないですよね…
いろいろ聞きながら進んで行く。ジョブ…一瞬で人生が決まるのか…怖いな…
しばらく、話しながら進んでいったが話すネタがなくなり、途中から歌いながら歩いていく。歌うって言っても俺はただ、アコーディオンを引くだけだ。普通なら重くて大変だが、今は『達人の旋律』のおかげで関係ない。
歌っていると、多くの動物たちが集まってきた。最初は小鳥が肩にのっかてリカと一緒に歌いながら歩いていた。次に、ネズミ、牛、寅、ウサギ、辰…たつ!?!?
俺とリカの後ろを楽しげに進んでいく動物たちに、混じって東洋の蛇のような龍が飛んでいる…おいおい…
「り、りか…」
「ん?どうしたの?音楽を止めたら…え?」
リカも後ろの動物たちを見つめると、龍ではなく虎に驚いている。まあ、そうか…肉食だしな…
「ど、どうしよう…と、とらが!…」
「そ、その前にその上にいる龍をみ、見ろよ!」
「「どうしよう!!」」
音楽を止めたせいか、動物たちは興味がなくなったように森に帰っていった…龍は空を悠々と泳いで天に昇っていく…
「「はははは!!」」
「楽しいね!やっぱり音楽って、いいね!」
「ああ!楽しいな!でも、もうやめておこうな!動物が来て襲ってきたらひとたまりもないし」
「そうだね…ミトロフ着いたら歌おうね!」
「おう!」
その後は、どんな歌がいいかなど話して歩いていく。時間は3時を過ぎたくらいか?…馬車とか通れよ…ファンタシーなら、馬車に乗せてもらうのがテンプレだろ!と思いながらも歩き続けると
「け、けろーー!」
女性の叫び声?が 道の先から聞こえる。リカと俺は、頷きあうと声のしたほうに走って向かう。
「やめてけろー…許してけろ…」
走っていると、見えてきたのは土下座のようにうずくまっている女の子を蹴っている男がいた。男は容赦なく足を振りかぶり蹴りを入れ続ける。蹴られているのは、人間?なのか…いや、ちがうな…てか、その前に人間として無抵抗の女の子を蹴っている姿に俺は怒っていた。俺が声を掛けようとする前にリカが先に声を荒げる
「あんた何してんの!女の子にそんなことして!」
声をかけたことで男が、リカに顔を向ける。男はリカの体を舐めるような粘着質な目を向ける。ここは、俺もびっしと言ってやらねば!男がすたるぜ!
「おい」
「ん?んだてめー?」
金髪でオールバックの男は、俺にガンを飛ばしてくる。転生前ならビビって逃げ出すレベルの怖い顔だが…今は自然と怖くない。
「男であるものが、女を蹴っている姿をみてな。見ていられなくて声をかけた」
「んなもん、かんけーねーだろ。」
男は俺の胸に抱えたアコーディオンを見てくる。そして、勝ち誇ったような顔でわらう。なんだ?なめてんのかコノヤロー
「なんだ、その格好!第三次ジョブだな?はははは!おめーも同じ目にあわせてやるよ!おら!」
男が、俺に殴りかかってくる。が、達人の旋律を聴いている俺はその足が遅くて堪らず、ついその脚を握った。男は、まさか止められるとは思っていなかったのか、驚きの表情だ。俺は、どんどん手に力を入れていくと、男が苦痛で顔をしかめた。リカは、ガヤのように俺に声援をかけてくる…声援より前に、蹴られてた女の子を看てやれよ…
「いでででででええ!はなせ!」
そして、男は手の平に拳サイズの火の玉を作る。おお!これがファイヤーボールか!俺に火の玉を打とうとしてくるが、そうはさせるか!俺は足をひねりあげて男の体をアクション映画さながらに回転させる。集中が切れたのか火の玉はない。同時に足を掴む腕を離し解放する。
「く、くそ…な…なんなんだよ!お前!」
「して、まだやるか?」
「くそ!俺のジョブは、『剣士』だぞ!受けてみろ!!!」
男は腰に差していた剣を素早く抜くと、俺に斬りかかってくる。先ほどの発言から考えると剣に補正があるのか?でも、ゲルグの剣筋の方がキレがあるな…
斬りかかってきた剣を両手で挟んで止める。真剣白刃取りだ。挟んだ手を右曲げ刀身を中程からへし折る。驚いて固まった男に近づく。すると、男は震え始めて腰を抜かしたのか尻餅をついた
「や、やめてくれ…もうしない!ゆ、許してくれ!」
必死に近づく俺に手を振って後ずさりしている。さながら、ホラー映画で幽霊に男が襲われているような姿だ…なんか、傷つく…
俺は、男の髪を掴んで顔を近ずけてなるべく低く冷たい声をだす…
「俺のジョブはな…『殺し屋』だ」
そういうと、男は白眼になり泡を吹いて倒れた。やはり、『殺し屋』は強いのか…脅しに使えるな!ふと、視線を男から外すと、蹴られていた女の子はこちらをずっと見ていた。蹴られていた女の子にスピーカーを召喚し『聖堂の鐘の音』を流す。女の子の怪我は一瞬で治った。すると、一瞬で俺の足元までくるとつぶらな瞳を輝かせて俺を見ている。
「お、おい!なんだっお前!」
「あ、ありがとうございました!!!」
頭を深く下げて感謝してくる。
そして、近くにやってきたことで、この女の子を観察できた。手には、五本の指…の先が丸くなっている。そして、目と口が大きい…そして、緑の髪が若干濡れている
「お、お前…まさか」
「はっ!あ!私は、ケロ子ですケロ!種族はかわず種でけろ!」
「か、かえる!?」
「そうですケロ?」
「か〜わ〜いい〜!」
リカは素早くカエルの獣人?いや、両生人?を抱きかかえる…女の「かわいい」の基準がわからん…
「どうして、お前は蹴られてたんだ??」
「私は…かわずケロから…こんなことは結構あるんでありますケロ…」
「そ、そうか…あ、まだ小さいだろ?また変な輩が絡んでくるかもしれないから俺が家まで送ってやるか?」
「え?いいんだケロ?」
「ええ!いいんだよ!ケロ子ちゃん!!」
「く、苦しい…ケロ…」
リカが、ケロ子を抱きしめる力を上げたせいで苦しがっている…まあ、見た目はかわいいけど…カエルか…
「リカ…絞まってるぞ…家はどこなんだ?」
「…はぁはぁ…助かったケロ…ミトロフの傍の湖ケロ!」
「そうか!俺たちもミトロフに行くから、ちょうどいいな!」
ケロ子は、頷くと、リカが再び抱きしめようとするのを察知したのか俺の背中にジャンプしてくる…おお!すげー跳躍力だな…俺は落ちないようにケロ子をおんぶしながら進んでいく。
「あ!ケロ子ちゃんは私の!!」
「私のって…リカ。いい加減にしなさい!」
「はーい…」




