トラック17 目覚め
幼女の話し方めんどくさいです…舌ったらずな口調ってどんな感じなんですかね…取材のためにも、いっかい本物の幼女とお話をっ!え?捕まるって?ははは…はぁ…
知らない天井だ…って!また転生しちゃったのか?んなわけないか…
ゆっくりと、体を起こす。痛テテェェ…身体中が筋肉痛のように痺れて痛い…。あたりを見渡すが、やはり見たことない場所だ…
窓際にある俺が寝ているベッドに、大きな机…宿ではないな…
ベッドから降りようと、体を動かすと布団の下に違和感を感じた…
ガバッ!…
思いっきり、掛け布団を取ると真っ黒なダッフルコートをきたツノの生えた幼女がいた…。幼女は寒いのか、脇を締め足を閉じ、まるくなる…誰だよ…
幼女は、掛け布団がなくなったことに気付いたのか、手探りで掛け布団を探す…。う、うそだろ……お…う…まい
「ごぉおおおおどおおお!!」
俺は…ロリコンじゃなかったハズだ…俺は…!
俺の魂の叫び声を聞いた幼女は目をこすりながら、掛け布団にくるまった…。
「な、なあ…おはよう…」
幼女はまだ、眠いのか目を半開きの状態で掛け布団にくるまったまま首をコクコクとふる…
「眠いなら、寝てていいよ…」
そう言うと、幼女は一度大きく頷くと半開きの目を完璧に閉じ寝息を立て始めた…かわいいな…
俺は、すっかり気がぬけてベッドに腰掛ける。右手でそっと幼女の頭を撫でながら…
すると、突然扉が蹴り開けられた。
「はぁはぁ…ハジメェっ!ハァジィィィメェェ!!」
あれは…ヤツハ嬢…。ヤツハ嬢は俺を見ると瞳いっぱいに涙を溜めて突進してきた。な、なにこのテンション!え?ついてけない!
突進に備えて、体に力を入れる…。すると、叫び声で目が覚めたのか幼女が掛け布団にくるまりながらベッドに立った。
「むにゃむにゃ…うるしゃいぞ…きむしゅめのぶんじゃいで!」
突然、頭にトランペットの音色が響く…。な、この感覚は!
突進していたヤツハ嬢は、突進の進路を大きく変え、壁にぶつかった…
幼女はそのままベッドに倒れこんだ…寝ているのか?…
ヤツハ嬢は、かなりの勢いでぶつかった頭を押さえながら悶絶している。
「だ、大丈夫ですか?…」
ヤツハ嬢に声をかけると同時に、蹴り開けられた扉からぞろぞろと部屋に入ってきた。
ルーシー嬢、ゲルグ、ピオさん、それと…ドワーフ?と…リカっ!
「ヤツハちゃん…こりゃ…やりすぎだよ…ジャル爺に怒られるぞ〜…」
ゲルグが吹き飛ばされた扉を見ながら腕を組む。その隣では、モジモジ…クネクネしているルーシー嬢…
構わず、ピオとドワーフとリカがベッドまで寄ってくる。
「おお!起きたか!小僧!」
「よっ!大丈夫か?」
「大丈夫?…ハジメっち…」
「え、ええ…。さっき起きたばかりです。大丈夫だよ。」
ドワーフは、ベッドの脇で悶絶しているヤツハに気づくと大声で笑っている。
リカは、俺の横に腰掛けた。なんだ…この距離感…
「リカ。久しぶりだな…怪我は?」
「大丈夫だよ!ハジメっちが治してくれたから!」
お腹を何度も軽く叩きながら、怪我の治りを表現している。ふふふ…よかった…
扉を見ていた、カップルもベッドに向かってくる。
「おお。ハジメ!大丈夫か?」
「ええ。どうしたんですか?…こんな集まって…それにここは…」
「お前覚えてないのか?…はぁ…」
「覚えてない?…何を?…」
横でモジモジしていたルーシー嬢が、ヤツハ嬢に気付いた…
「はぁ…何してんの…」
「がぁはははぁ!ひーっ!腹っいったっいっ!」
「頭が…ううう!」
「『ライトラップ』…『ヒール』」
ルーシー嬢が、魔法を唱えるとヤツハ嬢の頭が薄い黄色の膜で覆われた。膜の内側が光っているようだ…
「っ!はい!」
「おお…ありがとう…さすが、妹だ!」
「っひく…なんでぇい!治しちまったのか…」
「何か文句でもあるのか?トータス」
いつの間にか、ヤツハ嬢の手には鉄扇が握られていた。
「い、いえ…なんでもない…」
「ふっん!…はじめぇ〜…なっ!誰がこの娘!ま、まさか!ダメだ!早い!お母さんは許しません!」
抱きつこうと迫ってきたヤツハ嬢はリカを見た瞬間に表情を変えた。
おいおい!何もないって!リカはリカで顔を赤くしている…
「なんの中でもありません。ただの仲間です。」
「そうか?…うーん…」
「そ、そうです!って、ハジメっち!ヤツハ様の子供なの!? 」
「うん。まあ、一応ね?」
「一応…うっ…ぐすっ…」
泣くなよ…かあさん…




