トラック16 暴走と少女
うぅ…視点を変えるって大変ですね…
ゲルグ視点です!
「ゲルグさん!こっち手伝ってください!」
「おう。すぐいくー」
地震のせいで倒壊した建物を、立て直したり撤去したりするのは、一般人より力がある俺達冒険者の出番だ。
多くの建物が倒れたので朝から、夕方まで働いた。さすがに、夜になると、危ないので夕日昇るあたりで解散になる。あ…ハジメ元気にしてっかな…最近冒険者ギルド行ってねぇからな…今度、宿に行くか…ルーシー…元気かな…
帰宅途中に、タタラの前を通ると懐かしい音楽が聞こえた。絶対に忘れない、忘れない思い出のある音楽。
「この音楽は…ブレーメン先輩のっ!」
俺はすぐに駆け出す。地震を心配してブレーメン先輩が帰ってきたのかっ!
タタラ場には多くのタタラドワーフや、一般人が音楽に合わせて踊っている…懐かしい光景だ。
国のでき始めの頃、先輩の不思議な音楽で毎晩疲れているにもかかわらずこの音楽で踊り明かした。あの時を知っている奴も…減ったな…今じゃ、俺、ヤツハちゃん、ルーシーちゃん、ピオ、トータスさん、ジャル爺くらいか?…
こみあがる懐かしさを抑え、必死に先輩を探す。
すると、突然ピオが飛んできたと思うとヤツハちゃんのナイフで貼り付けられた…あ、あそこか…
飛んできた方向に向かって走り出す。そこには、ヤツハちゃんとルーシーが集まっていた。あの二人が一緒にいるところなんて…久々に見たな…先輩がいなくなってから見てない…やっぱ帰ってきたのか!
「そう。私の店「『グラン マイーザス』だ。ちなみに、俺が紹介した」」
視界には、ルーシーとヤツハちゃんと…ハジメだった。
なぜ、ハジメは…何者なんだ?…ま、まさか!この音楽もハジメなのか!そんな馬鹿な!あの音楽は…先輩が作ったんだぞ?
「おひさしぶりですね。ゲルグさん!」
「ああ!久しぶりだな!お、救助の時もそうだが…お前は飛び抜けてるな。」
「ええ。飛び抜けてますよ。あ、宿ありがとうございました。良い宿でしたよ」
「だろ?俺がススめる宿なんだぞ?」
そう言うと、ルーシーがすぐさま反応する…その光景をみたヤツハちゃんが
、含みのある笑みをする…
「なっ////ゲルグュ!」
「ははは!いい仲じゃないか!」
姉妹がいちゃついてい光景…始めてみたな…
視線をハジメにむける。ハジメは何か決めたような表情で一人歩いていく…俺も気になり、後を軽くつけていく。ハジメは壁まで来ると、ピオを縫い付けたナイフを抜いていく。俺も手伝おうと、近寄るとピオが血を吹き出した。こりゃ…まずい!俺は、ピオに駆け出すとハジメはあの奇妙な箱の小さいやつを出した…
あ、あれがありゃ…回復するか…地震の時にあの箱の実力は知っている。走るのをやめ、再び歩いて近寄っていく…
ハジメの様子がおかしい。突然頭を押さえながら、うずくまる…。俺は再び駆け出して初めに近寄る。
「ハジメ…ぐはっ…だ、だいじょうぶか?…」
「ピオ!黙ってろ!おい!は、ハジメ!おいっ!」
うずくまったハジメを、力ずくで起こし顔を上げさせる。
その表情は…人間のものではなかった。ハジメの子供っぽい表情とは違い、肌が、青白くなり瞳の白眼は黒く、黒目の部分が赤くなっている…
顔を上げさせた俺の顔を一瞬見ると、ハジメは突然俺の首をつかんできた。なんて、強さだ…の、喉が!
「う…うぐっ…は…はなせ…」
「…………」
ハジメは不敵な笑みで俺の喉を掴む力を上げてきた。死ぬ…
ピオが状況を理解したのか、縫い付けていたナイフでハジメの腕に突き刺す…が、ハジメの腕に刺さったナイフは皮膚が包み込むように取りこまれていった。肉が動きながら、まるで食べるようにナイフが徐々に腕に入り込む。形状がわかるようにナイフが腕から手に進む…
そのまま俺の喉を掴む手に進んでいく…こりゃ…このまま刺さるのか…
「うぉおおおお!」
ピオは叫びながらハジメの体に体当たりをした。ハジメの体はバランスを崩しながら、倒れる。同時に手が外れた…
「がっはぁはぁ…」
「だ…だいじょうぶ…か?…ゲル…うぐっ!」
ハジメは、俺からターゲットをピオに変えたように多いかかった。ピオに馬乗りなると、殴りつ付けている
な、なんだ…こいつ…ハジメじゃねぇ…やばい…
「トータスさん!!!!来てくれっ!やめろっ!」
ピオを殴る腕を止めるが、とまらない…なんでだよ!こんなガキのくせにっ!くそっ!
ピオの顔が、だんだん青くなっていく。
「どうしたっ!な、何をしておるぅう!!!」
「トータスさん!こいつを止めてくれ!」
「な、ピオっ!!待ってろ!う…う…うおぉおおおお!」
トータスさん…ドワーフの国の元王国騎士団団長という経歴をもつタタラの現場最高顧問監督だ。
トータスさんは、足を広げ全身に力を入れると、筋肉が盛り上がっていき筋肉ダルマになる。すぐさまトータスさんが、ハジメの腕を押さえつける。
「うぐっ…」
「………」
抑えているトータスの顔がだんだんと、赤くなり血管が浮き出ている…俺はすぐさま馬乗りのしたにいあるピオを抜く。
すると、周りの連中も気づいたのか集まり始めた。トータスさんでも…ギリギリなのか?…
集まり始めると、ルーシーとヤツハちゃんがやってきた…
「何をっ!は、ハジメっ!」
「おい…こりゃ…なんだ…ピオっ!」
「ルーシー!ピオを頼む!ヤツハちゃん!とにかく、こいつらを避難させろ!危ないぞ!」
「何をいっている!ハジメが…こんなこと…」
「おいっ!むぐっ…ゲルグっ!」
トータスさんの顔は…血管がはち切れんばかりに浮き出ている…やばい!
ルーシーは、ピオに近寄るとドクターコートの内側から真っ白なゴム製の手袋をはめる
「これは…姉ちゃん!あんた…やり過ぎよ!」
「すまない…だが!…だって…」
「今はいい…『ライトラップ』『リザレクション』」
『ライトラップ』で、薄い光の膜がピオを包み込む。この光の膜は回復魔法の効果を上げる膜だ。一瞬で、ピオの怪我を治すと同時にトータスさんに限界が来たのか手を離した。拘束を解かれたハジメはゆっくりと立ち上がり…近寄ってくる…
ピオはその場で寝かせてある…
「だいじょうぶだよ。ハジメ…おいで?」
ヤツハちゃんが、両手を広げている…どうしたんだ!ヤツハちゃん!いつもの冷静さはどこにいったんだ!
その瞬間…ハジメが揺らめいた…同時に、手から取りこんだナイフを持ちヤツハに襲いかかってきた…俺はヤツハを押し飛ばし攻撃をかわす
「きけっ!ヤツハちゃん!君がハジメをどう思ってるか知らないが、今はハジメじゃない!おそらく…違う!おい!お前ら!逃げろ!!こいつはやばいぞ!」
「な、何を言っている!ハジメじゃないか!…」
周りの観客を避難させる。数分で誰もいなくなる…ハジメは、その後も斬りかかってくる。俺は剣を引き抜き構える。ルーシーも、ドクターコートから右手にメスを左手に試験管を構える。
トータスさんは、自身の体重の10倍もの重さと大きさの愛用ハンマーを構える。
「そんな…いや…ハジメは…ハジメ…」
しゃがみながら、ぶつぶつ呟くヤツハを無視し、俺はハジメに斬りかかる。俺が両手を使い振り下ろした斬撃を、ハジメはナイフで…片手で去なす。
そのまま、流れるように追撃をしてくる。なんて、やつだ!剣術だけなら…中級か?それくらいだが、立ち振る舞いや攻撃方法などが、強すぎる…
俺は追撃をかわすため右によけると、後ろで構えていたトータスさんがハンマーを振り下ろす。当たれば最後、潰される。竜ですら重さに潰れるハンマーの一撃。
普通なら、よける以外できない。しかし、ハンマーは地面に落ちることはなくハジメが両手で押さえていた…
「なっ!化け物か!この小僧!」
「行くよっ!炎刃!」
ルーシーがコートの内側から試験管を取り出しメスを入れ、そのままハジメに投げつける。投げた試験管が宙で割れると、中に入っていた液体が引火し炎に包まれたメスがハジメに飛んでいく。
ハジメはかわすことなく、そのままメスを受ける。メスはハジメに刺さると、ハジメは炎に包まれた…
「これなら…」
「油断するなっ!」
炎をじっと、見つめると衣服は燃えているが体は無傷なハジメがいた。ハジメはハンマーを押し返し持っていたナイフを軽く振る…すると、ナイフの先端に炎が浮いている…そして、再びハジメがナイフを振ると浮いていた炎が飛んできた…
「小僧のファイヤーボールなんぞ、消し潰してやるわ!」
トータスさんは、ハジメが放った炎の球をハンマーで押しつぶした。地面とハンマーに挟まれた炎の球は消えるとこともなく、地面を這うように辺り一面を炎の海に変えた。トータスさんのハンマーは、熱で形状が変わっていた。
「なっ!わしのハンマーが!」
「あっちぃいい!」
「きゃぁっ!」
炎の海は、俺たちを包み込むように炎の波が迫ってくる。あちいっ!
ハジメは再びナイフを構える。今度は降らずに軽く回す。ナイフの先端位は小さな炎の渦が出来ている。まずいっ!
「に、逃げろっ!」
俺の声に合わせるように、ハジメはナイフを振る。炎の小さな渦は、次第に大きくなり風を巻き込みながら迫ってくる。
俺たちはかわす事も出来ず、炎の渦にのまれた…俺たちは身体中にやけどを負い倒れた…こいつは…倒せね…
すると、一人立ち上がったいた。あれは…ヤツハちゃん!
「子供の責任は親が取るもの…」
ヤツハちゃんは、何を言ってるんだ?…子供?…
ヤツハちゃんは指を弾く。すると、着ていた袴が真っ赤な炎でできた着物になった…。あれは…本気だ…
帯に挟んであった鉄扇を二つ構える。あれは…『炎化』だ。炎と一体化する…ヤツハちゃんとルーシーはともに炎の魔法は最強クラスだ。ヤツハちゃんはルーシーより威力はなく・範囲は狭いが、ヤツハちゃんは炎に関してなら誰よりも扱いが上手い。炎を限定的だが支配するんだ…そこが、ルーシーが姉に憧れ・嫉妬するところだ…
鉄扇を開き、煽ると周りの炎がまるで生きているように一体の竜になる。竜はそのままハジメを喰らおうと大口をあけて襲いかかる。
炎の竜がハジメを喰らい燃え尽きるように消えていく…あたりは、炎で見えない…
「な…」
しかし、炎から人影が出てきた…ハジメだ。ハジメは、真っ赤な炎の流しを着ている。ま、まさか!あいつも『炎化』が使えるのか!
ハジメは、手を動かし炎を操っていく…そして、今度は炎の虎が生まれた…ヤツハちゃんの竜よりでかい…ここで…
(ったっく!ブレーメンのやつめ…)
頭の中に年老いた男の声が響く…
(だ、だれだ…)
(わしは、火の精霊王じゃ…さてっ!ほらっ!)
そう言うと、身体中が暖かくなっていく…なんだろ…これ…
炎の虎が、ヤツハちゃんに引き裂き、トータスに噛み付いている…そのまま、俺のところにも駆けてくる…虎の鋭い炎の犬歯に俺の体は突き刺さり…?痛くない。暖かいと感じるだけだ…なんなんだ?
(加護じゃ。そこらへんに寝ておるやつらは、加護を与えたから大丈夫じゃろ…。やけども治ったじゃろし!さて…)
ピポピポパポ…プルルル…プルルル…ガチャ
(あ、ブレーメン?火の精霊王なんじゃけど…お主、この前加護与えた子おったじゃろ?少しばかし、やりすぎておってな?どうにかしてくれんかの〜……ああ!…そうか…おお!はいはーい。んじゃ、待っておるから。んじゃ、またな〜)
がちゃ…ツー…ツー…
今…ブレーメン…って言ったよな?…先輩だよな…
それに加護?…なんの話なんだよ!ハジメは、ナイフをもって近づいてくる…
パッパラパ〜パパパァ〜
トランペットを始めとしたファンファーレが鳴り響く。
すると、タタラの入り口から黒い服をきた女の子が胸を張って歩いてくる。女の子は、倒れているトータスさんの横を通り過ぎる…
「お、おい…な、何をしてる…危ないぞ…」
トータスさんが、女の子に言うが女の子は聞く耳を持たないのかスキップしながら俺に近づいてくる。
「おぃ!小僧!起きろ!」
「だ、だれだ…」
「ふっふっふっー!…私は、アムドゥスギアスだ!」
「小娘が…なんのようだ…」
「なんだと!ったく!最近の小僧はしつけがなっておらん〜。まあいい!小僧のスキルを使ってみろ」
スキル?…!この国に連れてくるとき…ハジメが言ってたな…
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「俺の天敵だ……」
「ん?なんていった??」
「き、気にするな。ただ、俺にそのスキルは使わないでくれ……」
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って言ってたな…よしっ!
体が動かないので、寝っ転がりながら腕を上に出す。そして、思いっきり手を叩く
パァンッ!
すると、ハジメは白眼になってその場に倒れた。小娘は、「えっへん」といいたいように胸を張っている…最初からすりゃよかった…
女の子の正式名称は、『アムドゥスキアス』です。




