トラック14 精霊王と女帝
セイシルの姿が見えなくなると同時に、船乗りたちが戻ってきたようだ。先ほどと同じように、声をかけられた…
「よっ!英雄!」
「まじ助かったぜ!」
「おい!ほんとにこいつか?どう見ても、強そうに見えねーけど」
「どうも!。ホントに俺ですよ~」
早々に諦めて、堂々と歩き出す。現在俺はタタラ場に向かっている。火の精霊王には加護をもらったし…あの地震でタタラ炉が壊れでもしたらヤバいと思うので様子見でも?タタラに影響があると多分やばいと思うので…
タタラ場に着くと、この間より多くのドワーフが忙しそうに動いていた。入り口には多くの馬車が停まっていたり、ドワーフが叫んでいたり…お!たぶん、グラムだよな?近づくとグラムが先に気づき走ってかけよてくる
「お前か!!昨日やばかったな!!急に地面が揺れるとおもたら、巨大な波が来てな!あんな大きなものは見たことなかったぜ!なんせ国壁の内側から見えたんだぜ!?!?俺は死を覚悟したね!そしたら、突然足が炎に包まれた男が空に浮かんで大きな黒い箱をたくさんだして、馬鹿でかい音で耳をふさげなんか言っt
「わかったわかった。」
グラムの弾丸トークが続くので、割り込んで終わらせる。ラチがあかないしな…すると、グラムが目に見えてショゲている。おっさんがしょげるなよ…
「そ、そうか…」
「んで、ここはどうなんだ?影響は??」
俺の質問はグラムではなく凛とした声が質問に返してきた。
「タタラ自体は無事だが、火の勢いが弱まっている」
女の声優が男のキャラをやってるみたいな?声のした方を見ると、男性の袴をきて、黒髪に金色のか簪をさした女性がいた。目は切れ長で、涙袋に真っ赤なライン。口紅も真っ赤だ。凛々しい。あれ?ホテルのカウンターにいたルーシー嬢と似ている…。その隣に、冒険者ギルド長ことピオが立っている。後ろには、ドワーフが立っていた。女の一応ステータスを確認する。
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名前 ヤツハ=マクペイン
年齢 39歳
種族 人間
職種 武人lv8 国王lv9 女帝lv5
体力 8900/1000
魔力 15090/2000
精神力9008/10000
Nスキル 火魔法:越 使役 ゴーレム作成 短剣術 双剣術 暗殺術 看破
Sスキル 支配指揮
称号 サカヤキ国女王 タタラ姫 双姉双炎
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おお!マクペイン…やはり、ホテルのあのルーシー嬢と同じだ!しかし…なんか雰囲気が怖いな…雰囲気が違うというか…いや、似てる部分もあるな
「そうですか。大変ですね。」
「ああ。たいへんだ。もし、火の精霊王様が機嫌を損ねでもしたら我々サカヤキ国は大打撃だ。」
ヤツハはニヤリと含みのある笑みを浮かべている。これは…危険な感じがするぞ?…
「そうですか。火が…それは仕方ありませんね。では、私はこの辺で…」
(待て!音楽の神の勇者よ!)
頭の中に精霊王の声が響く。口調から察するに、かなり焦っているようだ。それと同時に、精霊王の言葉と重なるようにヤツハも話す。
「まて。そう急いで去ることはなかろう?」
(火が消えそうじゃ!まずい!助けてたも!)
「俺も暇じゃないので…」
「では、なぜわざわざ、ここに時間を割いてまでやってくる?」
(待ってくれ…た、頼む…これでは…わしが…)
ガヤガヤ……
「ああああ!もうっ!一緒にしゃべるな!!!!」
俺は、ヤツハと精霊王が同時に話す声に苛立ち、ついつい大きい声を出してしまった。やっちまったーーーー!俺は恐る恐るヤツハを見る。しかし、わかっていないのか、首を傾げている。
「誰かとしゃべっているのか??」
(す、すまない…だが、どうにかしてくれぬか…)
火の精霊王にはスキルやアイテムも、もらったし救ってやりてぇ…でも、目の前の女は危険すぎる。この女…で多分俺の事はわかってるだろうし…もうすでに手遅れだろ…ちくしょう…
「はぁ…分かった…」
すると、一瞬目を見開くがすぐに妖艶な笑みをだした。ピコやタタラ長、グラムは固まったままだ。俺は黙ってヤツハの横を通り過ぎタタラ炉に近ずく。タタラ炉の中には、全身が炎でできている魔物が見えた。様子から、弱っているのか動いていない。
俺は、スピーカーを5つ召喚しその上に立つ。そして、音楽を探していく…そして、音楽を保存する。これで七つ目だ…そろそろ、限界が見えてきたな…
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音楽▼
保存数 7/10
癒しの音
聞くものを癒す力があるメロディ。(ヒール級)
短剣の剣術(中級)
短剣の剣術のリズム。リズムに合わせることで中級戦士の短剣の剣術が使用できる。
達人の旋律
達人がもつ独特のメロディ。達人のように振る舞える
火のリズム(初級)
初級魔法火のリズム。リズムに合わせることで初級魔法を使用できる
高揚の旋律
聞いていると段々と気分が高まるメロディ。気分が落ち込んでいる時や、盛り上がりたい時にぴったり!
波消し音撃
防災用として、津波時に波にあてると、打ち消す
歓喜のリズム 音撃祭ver夏祭り
炎を讃える祭りで使用される音楽。炎は舞踊る。今宵は宴だ!! 火の精霊王用
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さっそく保存した『歓喜のリズム』を流す…。一応、「火の精霊王用」と書かれているので…これでいいだろ…
スピーカーに流すと、和楽器の軽快なリズムが流れ始める。祭り囃子だ!聞いているだけで、楽しくなるような音楽だ。
気がつくと、俺は自然と体を動かし踊っていた。俺の姿をみて固まったものたちも徐々に体を揺らしリズムに乗って踊り始める。みんな笑顔だ。
俺はさらにスピーカーを4台に増やし、音量を上げる。すると、タタラの中で弱っていた炎の魔物も楽しそうに踊り始める。外にいた人も、祭囃子が聞こえたのかタタラの中にきて一緒に踊り出す。小鳥や野良猫などの動物もやってきて走り回る。楽しいのかな?
(おお!こ、これは…なんて懐かしい…。ぅううぉおおおおおおおお!力が湧き出るぞ!!!)
精霊王が叫ぶと、突然タタラの炉が燃え上がった。嬉々として楽しそうに燃え上がる炎。それを囲んでみんなが回りながら踊り出す。
「ヨサっ!コラっ!さっさ〜!」
いつのまにかピオたちも混じってる。ピオは、先頭に立ってスピーカーの上で踊り出している…
ヤツハは笑顔で、手を叩いている。俺は、頭の中で火の精霊王に尋ねる
(どうだ?調子は??)
(最高じゃ!!さすがブレーメンの加護じゃな!この音楽はブレーメンがワシのために作った音楽じゃ)
(ブレーメン…??でも、燃えすぎんなよ?炉が壊れちまうからよ)
(ブレーメンは、音楽の神の生前の名じゃ!そういえば…お主…ブレーメンと、顔がよく似ておる…っほお!そうじゃな!気をつけよう!)
俺は、踊り疲れスピーカーの上に腰掛けた。そして、楽しそうに踊ってる人々を見ている。すると、ヤツハがやってきて、俺の隣に腰掛けた。表情は優しくなっている感じがする。
「君は…あの人に似てるな。」
「あの人?」
「そうだな…。そういえば自己紹介をしていなかったな。私はヤツハ=マクペインだ。この国を統治している。あの人とはこの国を作るのを手伝ってくれた男…おかげで、この国ができたんだ…。」
遠い目で、タタラ炉の中の炎を見つめている。炎で顔がオレンジ色に染まっている…俺も同じように炉の中の炎を見つめる。
「そうか…。」
「ふっ…。遠い昔の話だけどな。して、お前は何者だ?そして、この音楽にこの箱。津波を消し去った音。只者じゃないな…。そして…音があの人と似ている」
(ヤツハ嬢は、お主の加護を与えた神。音楽神とともにこの国を作った。しかし、これからと言うときにブレーメンは書置きを残して消えたんじゃ。ヤツハ嬢は、毎日泣いておったのぉ…。ルーシー嬢も心配しておったな…)
って、俺は音楽神が逃げた女の横にいるのか?冷静に考えると気まずいぜ…
「俺の名前は、ハジメ オトノ。転生者だ。音楽神…ブレーメンの加護持ちさ」
俺がつぶやくように、正体を伝えると、ヤツハは軽く目を見開くとそっと笑顔になった。
「なっ!…。そうか…長いものだな…あいつは神か…遠くに行ってしまったんだな…」
ヤツハは瞳に涙をためていた。しかし、すぐに決意したような表情で涙を拭った。
「ハジメの両親はどんな人だ?」
「母はよく覚えてない…小さいときに死んだ。親父は、俺を育てるために必死に働いて…働いた結果、過労死だよ」
「なっ!過労だと?そこまで過酷な…ハジメ…辛かっただろう…」
ヤツハは泣きながら俺の肩を掴み揺らす。うげぇ…気持ち悪い…。しかし、ヤツハすぐに、俺の肩を放すと肩を落とし遠い目をしていた。
(そうじゃったか…ハジメも悲しいのぉ…。なら、仕方ない。わしが一肌脱ごうではないか!)
精霊王の言葉終わると同時に、隣にいたヤツハが、あたりをキョロキョロしたり、うなずいたりし始めた。何やってんだ?…
すると、目の前の突然ヤツハが俺を抱きしめた。そして、とても暖かいぬくもりをかんじた。 ……って!なにしてんの!!
「ハジメ。お主は、母を知らぬと言ったな。では、私を母と思いなさい。私は子供は居ない。「あの人」と決めておったからな。しかし、それは叶わぬのなら」
(グッジョブ!じゃろ?)
精霊王の言葉と共に脳内で親指を突き出しているおじさんが想像できる…
天界のお父さん。お母さん。お母さんができました。
暖かい大人の女性のぬくもり…母さんが生きてたらこれくらいのぬくもりだったのかな…。母さんか…。これもこれでいいのかもしれない…
「お、おかあさん…?」
そう呟く。ヤツハは聞こえたのかわからないが…そっと、目を閉じ先ほどより強目に抱きしめたきた。




