トラック13 美女との遭遇!?
目を覚ますと、まだ日が明けたばかりだった…まだ、早いな…昨夜は色々働いたせいですぐ寝たから目覚めもいい。
「…んっ!ううーん!」
ベッドから体を起こし伸びをし、眠気を覚まし顔を洗う。そして、いつものように現れている衣服に素早く着替える…この服も洗っているからといっても…毎日着てるのはな…服でも買おかな…
部屋の扉を開けると、茶色い肌の小さな子供?が廊下を掃いていた。服装はボロボロな布一枚。瞳が大きく、鼻は鷲鼻でかるく垂れている。鼻はゴブリンに似ているが、表情が優しい。
「やあ。おはよう。」
「っ!」
びっくりしている、茶色い子供の頭を軽く撫でて立ち去る。怯えてるなら、あまり接するのは悪いだろ…。案外髪の毛はサラサラだったな…しかし、あんな幼い子をこんな朝から働かせるなんて!ポーレスさんに一言言ってやる!あ…今朝やん…
一階に下りると、いつものようにアカーサンおばさんがカウンターに立っていた。
「おはようさん!英雄さんっ!飯だね!席について待っててね!」
「おはようございます。英雄はやめてくださいよ…」
アカーサンおばさんの発言に否定をしながら、ため息をつきつつ椅子に座る。
話題の一つとして、さっきの子供の話をだす。
「あ、さっき小さな茶色な子がいましたけど…従業員ですか?」
おばさんはその言葉を聞くと、驚いた表情で…麺を切っていたっ包丁を置き俺を見つめる。俺はアカーサンおばさんではなく切っていた麺に目が行く。あ、あの麺の太さ!そして…この香りは…おそらく…
「え、英雄さん…。それは、多分ブラウニーだよ…精霊さ…み、見えるのかい?」
「み、見えましたよ…多分?」
「そうかい…あんたは、精霊に好かれるてんのね…。見えるなんて…何かレベルが上がれば見えるようになるようだけど…」
「そうなんですかね?…ボロボロな服を着ていたのに、髪の毛がサラサラで驚きましたよ〜」
「あ、あんた!触れられたのかい!!」
カウンターを飛び越えるほどの勢いで、俺の胸ぐらを掴んでくる。近い近い!
「え、ええ!」
「あ、握手を…していいかい?」
「ええ…どうぞ?」
俺は、ブラウニーを撫でた右手をおばちゃんに差し出す。おばちゃんは、恐る恐る俺の腕を握る。ごついように見える手だが、意外と柔らかかった。
「こ、これで…精霊と間接タッチ…」
「あ、あの…飯を…」
「あ、!待ってておくれ!」
おばちゃんは、握手した右手を器用に使わず左手だけで麺を切り、鍋に入れて煮る。そして、数分後…俺の目の前にどんぶりがでてきた。
「こ、これは…味噌とかぼちゃも入ってる…この麺の太さは!」
「ん?それは、『ほうとう』さ!」
おおおおお!!俺はすぐさま、口にかき込む。おおお…懐かしい…懐かしい…郷土料理だ…すぐに、食べ終わった…
「美味しかったようだね!嬉しいよ!」
「ええ!今後もちょくちょく食べたいものです!」
完食したどんぶりを置き、鼻歌まじりに宿を出ていく。
外は、多くの人が地震で壊れた所などを直している。まだ、余震は続くだろうが、あんな大きな地震はもう来ないだろう。
俺が宿から出て、街を歩いていると、多くの人々が俺に感謝の声をかけてくる。
「おお!英雄だぁ!!!」
「キャー!英雄様よぉ!」
「なむなむなむ…」
う、うーん…気恥ずかしい気分だ…。
俺は素早く、路地に入り込み、逃げる!しかし、どこに向かっても、そこで出会う人に『英雄』と呼ばれる…
逃げ続け気がつくとイーナとイーナ父…俺が地震にあった場所に来ていた…。今も津波にビビっているのか、港にはだれもいなかった。
もう、港の見た目は変わらない。若干水が濁っているか?と思う程度だ。異常がないかあたりを見渡しながら歩いていると、湖に女性が倒れていた。水色の髪に透き通るような白い肌だ。一瞬イーナかと思い急いで駆け寄る。
すぐさま、女の子を抱き起こし顔を確認する…。イーナではなかったがイーナレベルに可愛い女性だ。透き通るほどの白い肌に長い睫毛で釣り針のピアスをしている。下半身が湖に使っていたので引き上げると、そこには生足ではなく鱗のついたヒレがあった。えええええ!?!?なにこれ!?!?人魚!?!?
「ん…ぅ…ぁ…ん?」
人魚はゆっくりと、大きな瞼をあけた。俺は警戒せれないよう膝枕をしている状態でその瞳を見つめる。
しばらく意識がはっきりしないのか、俺を見つめたまま呆然としていたが、徐々に自分の状況を把握したのか目が見開かれていく。
「あ、あなたは??ここは?」
「君がそこで倒れていたから、起こしたんだよ。大丈夫かい?」
「ええ…大丈夫です…。あなたは?」
「俺はハジメ オトノ。人間だよ…。君は?」
「私は、セイシル…。魚人族…。はっ!ま、まさか私を捉える気なの??」
捉えるって…すでに、膝枕の時点で捉えてないか?
魚人族のセイシルは必死に逃げようとする…が、ここは陸なので思うように動けないようだ。バタバタと、体を動かしたあと、地面を這って逃げようとする。そして気付いたのだが、足?ヒレ?に漁船で使うモリが刺さっていた。
「足に怪我が…。少し痛むが耐えろ。えーと、よく聞けよ?」
小さなスピーカーをセイシルの耳元に召喚し、『聖堂の鐘の音』をかけながら一気にモリを引き抜く。
「ヒグッ…。はぁ…はぁ…」
セイシルは、一瞬俺を掴むとすぐに音楽を聴いて落ち着いたらしい。傷口が動きながら閉じていく…いつみても気持ち悪いな
痛みがなくなったのか、俺の腕を掴みながら俺の瞳をずっと見つめてくる。
「捉えて、どうこうする気は無いよ。湖に行くなら俺が運んであげるよ」
俺は、セイシルを抱きかかえる。お姫様だっこ?人魚の足って…なめらかだな…。湖の近くまでくると、セイシルはそのまま湖に飛び込んだ。綺麗な飛び込みだ。
しばらく湖を見ていると、セイシルが顔をだした。こちらを見てくる。俺はなるべく優しそうな笑みで彼女を見つめる。
「ありがとう!あなたは変わってる!いつか恩を返す!」
「いいよ!恩返しなんて。気をつけるんだよ?」
「うん!」
手を振り姿を送っていく。見事に泳ぐ姿はとても美しかった。




