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クレイン・クレイドル  作者: 倉利来
第1部第4章:命の価値
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第12話 夢と発現

混沌とした不明瞭で不気味な空間にいる。

そこに手を伸ばすだけで触れられそうな、

だが手を伸ばすとすぐに消えてしまいそうな、

そんな不可解な現象を予測してしまう。


(僕は、その光に手を……)


僕は歳下の女の子と公園で砂遊びをしていた。

髪は綺麗な黒で、瞳は美しい茶色。


「はい、これ───のぶん」


女の子は僕に砂団子を渡してきた。

僕は食べるふりをする。


「うん、さすがお前だな」


「えへへ……それほどでも」


女の子は僕が褒めると恥ずかしそうに言った。


だけど、そんな幸せを壊すように男女三人組がやってくる。


「あっれ〜また───と遊んでるの?あ、そっか!友達いないもんね!」

「なんで女の子なのに自分のことボクっていうの?恥ずかしー!」

「俺が本当の遊びを教えてやるよ!あはは!」


女の子はすぐに泣き出してしまった。


「ふぇ……ボ、ボク……ぐすっ、

───みたいに強ぐ……なりだぐで……ぐすっ」


それを見て僕は我慢ができなかった。

唯一いる男の子に飛びかかる。

女の子を守る、それもあるけど何より悪者が許せなかった。


「やんのか?お前!」


男の子は体が大きいけど、僕は怯まず殴り続けた。

僕も殴られるけど、それよりしつこく。

他の女の子たちはすぐに逃げていった。

でも、僕を"───"と呼ぶ女の子だけは逃げなかった。


「がんばれ!負けるな!」


その言葉で僕の拳に最大級の力が入った。

気づけば男の子の顔は腫れ上がり───


「きょ、今日はこの辺にしといてやるよ……」


そう言って逃げていった。

それを見た女の子はすぐに僕のもとへ駆け寄ってきた。


「だ……大丈夫?」

「あぁ!全然平気だ!

お前の良さを分からないやつには教えてやらないとな!」


僕は女の子の頭を撫でる。


「だから、もう泣くな」


突如、僕の世界が遠くなる───


『───とう───ちゃ───だ───き!!!』

『───も、───だぞ!』

『───が───もん!』


「えっ……な、なんだよこれ……」


カイは涙が止まらなかった。

拭えど拭えど溢れてくる。

寝起きに泣くのは人生で"初めて"だ。

こんなに虚しくて、やるせない気持ちも初めてだ。


「だ、誰なんだよ!僕はあんな女の子知らない!」


その言葉とは反対にカイの涙はしばらく止まらなかった。

まるで大切な"誰か"を思い出そうとしているように。


時間が経ち、ひとしきり涙が落ち着くと夢の内容を振り返る。

だが、断片的にしか思い出せなかった。


「なんだったんだ……まるで自分じゃない"誰か"の……」


混乱が拭えなかったが、夢の中で唯一"興奮"した場面は覚えていた。

それは───


「悪者を退治するのは最高に気持ちが良いな」


先ほどの涙を忘れたような笑顔でカイは呟いた。


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