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異世界の狼騎士団長が現代に転移しちゃった!?~人間界と獣人界ふたつの世界の存亡を賭けた戦いが今始まる~  作者: ノブ


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第5話 復興する王国

~翌日~

 


 「うわぁ……酷い顔……」

 

 泣きつかれ床の上でそのまま眠ってしまった私はのそのそと鏡の前に立ち、そう呟いた。


 (みんなにこんな顔……絶対に見せられない……)

 

 目元が赤く腫れ、むくんでいる顔を温かいシャワーで濡らした。

 

 (こんな顔にしたんだ……帰ってきたら、グレイに一発お見舞いするんだから……!)


 シャワー室から出た私はいつもよりも念入りにメイクを施した。


 横切っていく団員達に軽く挨拶をしながら私は国王の間に向かった。


 「おはようございます、国王殿下。本日もよろしくお願いいたします」


 「あぁ、おはよう。今日も無理なくよろしく頼むよ……シュヴェリア、疲れてはいないかい?」


 「!……私は全然平気であります。ご心配の方、ありがとうございます……」


 私は悟られたのではないかと一瞬ドキッとしたが、すぐに冷静になり少し作った笑顔で返した。


 「……そうか、さっきも言ったけど無理だけはしないでね……グレイがいない中みんないつも以上に負担が増えているから」


 「……今は団長の無事を祈りましょう」


 「……そうだね、さぁみんなはもう持ち場についているだろうし我々も公務に向かおうか。」


 私は護衛を兼ね、国王の前に立ち先導した。


 (……君は抱え込みすぎだよ、もっとみんなを頼ってくれてもいいのに……)



 ~モンストル魔王国~

 


 「あっつ……」

 

 日が昇り切った昼の刻、僕ウルヴは国王の名の元、魔王国の動向を探る為に単身で偵察へと向かっていた。


 「僕の尊敬し愛している国を……グレイさんを狙ったんだ、絶対に許さない……!」


 止まることの無い汗を拭いながら進むと、禍々しい魔力を感じ取った。


 「ここが、モンストル魔王国か……いつ見ても大きくそしてもの凄く嫌な気だ……」


 火山が多い地帯の近くに有するモンストル魔王国、平均気温が非常に高く今の時期は50度に近づくこともある。

 頻繁に噴火するため、振り落ちる火山灰が肥料になるおかげか、この地域一帯は農業が盛んなようだ。

 

 この国の民の多くは、草食動物のような小さい頭に鋭い角を生やした悪魔のような見た目をしている。その民を支配しているのはこの地域一帯を凌駕しているドラゴン族であった。


 「狙いは我が国の資源でも食料でもないとなると……奴らの目的は一体何だったんだ……」

 「しかし……国民を不安の渦に巻き込み、我が国に被害をもたらした……その訳を見つけ出してやる……」


 僕は顔を知られないよう黒いマントを被り、意を決してモンストルの街に足を踏み入れた。


 街は活気づいていて自国で取れた農作物を販売している八百屋、肉や魚を存分に使い調理された屋台が立ち並ぶ巨大な市場であった。


 「国に見合った大規模な市場……凄まじいな」


 「おい!そこの兄ちゃんよ!……ん?なんだこの国では見ない顔だな、もしかして旅人か何かかい?」


 「あ、あぁ……まぁ……そんなところ……です……」


 「なぁ、旅疲れでお腹空いてねぇか?良かったらボルケーノディアの串焼き食べていきな!」


 呼び止められ、ぐいぐい来るおじさんだなと思ったが、無碍にすることもできず、


 「そうですね、せっかく来たからには1本でも買います」


 「おう、ありがとよ!1本100d(ディー)なんだが兄ちゃんイケてるしな、今回特別で2本で100dにしてやるよ!」


 (……聞いてみるか……)


 「……あの、つかぬ事を聞きますがここで何年ぐらい店やってますか……?」


 「ん~……兄ちゃんの年の頃にここへ流れ着いてからずっとだな~……!」


 「この国はお好きですか……?」


 「いろんな国に戦争を吹っ掛けまくるから正直嫌いだな!でも、ここの食材は悪くねぇからな~……あと上さえ良ければ文句ねぇのにな!」

 「まぁ、俺はここから出ることは多分ねぇよ、兄ちゃんみたいなイケてるやつにまた会えるかもしれねぇしな!」


 僕の顔を見て笑うおじさんは笑顔が眩しくて、これ以上何も言えなかった。

 

 「そう、ですか……不躾に聞いてしまってすみません……お話ありがとうございました、楽しかったです。これ、美味しく頂きます」


 「おう!こっちこそありがとよ!気をつけてな!」


 手を振るおじさんに背を向けて僕は街の中央の方へ向かった。

 近づくにつれ、太鼓の音が大きく鳴り響きその横では踊り子たちが妖艶に踊っていた。


 「……いただきます」

 

 裏路地に近い場所で袋を開け恐る恐る一口かじると、熱くてやけどしかけたがすごく味はとてもおいしく、次第に夢中になるほど貪っていた。


 「旨かった……さて、そろそろ城の方に行きますか……」

 

 やっと食べえた僕は、目の前に禍々しく聳え立つ魔王城に向かって歩みを進め始めた。


 「そこのお兄さんやい、良ければ見て行かないかい?うちで一番売りにしている子なんだ」


 背後から怪しげに話しかけてきたのは小太りで低めの爺さんだった。

 その後ろで意味ありげに顔を隠した爺さんよりも背の高い女は、ただこちらを見ているだけで少しも動じることなくじっとしていた。


 「いや、僕にはそんな趣味はないです……お断りしておきます」


 「そんなことを言わずにやい……この子の踊りはこの街でも一級品相当だよ……?見ないと絶対損するよぅ……?」


 (この爺さん……胡散臭いし面倒くさいな……)


「……分かりました、1回見るだけですからね……僕だって暇じゃないんで見たら開放してくださいね?」


 (なぜ、この女は何も話さないんだ……)


 少し懸念に思いつつもしつこく寄ってくる爺さんに押し負けてしまい、僕は建物の中へと誘導された。


 「さぁ……ここに座るやい……」

 

 指定された席に座ると音楽が鳴り女は踊り始めた。

 無表情のまま踊るのはさて置き、確かに女の踊りは上手であった。


「なんだ……急に……眠気が……」


 頭を押さえつつ、近くにいるであろう爺さんを探すがどこを向いても姿が無かった。


 (どこに行った……!クソッ……まさか、こいつらモンストル軍の奴らか……!)

 「迂闊……だっ……たか……」


 僕はそのまま、力なく倒れてしまった……。


 「……これで、あいつらに弱点ができた……」


 「いやいや……あっさり捕まってくれて助かったやい……これで国王様もお喜びしてくれるやい……」


 「こいつ……どうする……?捕まえるだけ……?」


 「……いや、少しわっしらの駒になっていただきやしょうかね……」

 


 ~ルナリア王国、モンストル侵攻により被害にあった村のひとつ~

 


 「うぅ……家が……」


 「俺の大切な店がッ……!クソッッ……!」


 「ママァ……どこぉ……!」

 

 悲痛に叫ぶ国民の声……。

 

 今回、モンストル魔王国からの侵攻により国の領土の内1/3の町や村が被害が被った。


 家を壊された者、家族を失った者……そして、奴隷として連れ去られた者と様々であった。


 住民が絶望の渦に陥り項垂れる中、王国騎士団の復興部隊が物資等を持ち寄り駆け付けた。


 「王国騎士団復興部隊がこれより村の復興作業を開始します!貯蔵庫から持ってきた食料を配りますのでこちらに集まってください!」


 国王は指示役となり、私は傍でお守りしつつ怪我をした人たちの簡易的な治療に回った。


 「家の無い者は、新しい家ができるまでこちらが用意した仮の住宅に身を休ませてください!また怪我人がいる場合は順番に回ります!重症の者を優先にしますので名乗り出てください!」


 「あぁ……良かった……!」


 「これで助かる……!」

 

 多くの民は安堵から胸を撫で下ろしている中、やはり一部の者からは批判出たのであった……。


 「……元はと言えば、お前ら団の奴らが敵軍を取りこぼしたせいでウチみたいな小さい村が被害にあってんだぞ!どう落とし前をつけるんだ!」


「う、うちの子が奴隷に……連れて行かれたのよ……!生きて帰ってくるかもわからないのに……どうしてくれるんですか!」


 民の中には国王に怯むことなく詰め寄り、胸ぐらを掴みどこにもぶつけられない悲しみを叫ぶ者もいた。


 「皆さん……!落ち着い……」


 私が割って入ろうとすると……

 

 「……我が軍は皆様の為に尽力したつもりでした……しかし現状を知った今、我々の非力さに……何よりも、皆様の悲痛な叫びに事の重大さを感じています……」


 「今回のことは団員の誰よりも国王である私の責任にあります……大変申し訳ありませんでした……」


 これまで歯向かっていた者たちも王の心からの謝罪に何も言えなくなっていた。


 「……いえ、副団長の私にも責任はあります……申し訳ありませんでした……」


 「……捕まった者たちは必ずとはお約束できませんが、助け出します……今回のことを重く捉え皆様の安全を保障できる国づくりもさせていただきます……どうか、私を信じていただけませんか……」


 「……あんたさんはまだ始まったばかりだ……すぐには信用できるか正直分かんない……」


 民の正直な声を聴き、私は少し不安になった……。


 「……だが、今のあんたを見たら少しだけ信じてみたくなった。これからの活躍を見てみたい」

 

 「……ありがたいお言葉です……本当にありがとうございます……」


 その言葉で少し、みんなも私も前向きな心を取り戻しつつあった……。

 


 ~城内書庫~

 


 一方三幹部の1人、ローボが扉と剣の関係性について記されている書物を数人の部下と一緒になり探していた。


 「どうだそっちは見つかりそうか……?」


 「いえ……東側を探しましたが、こちらではまだ見つかっていません。」

 「西側もです……」


 「ここの書物室は規模が広いからのう……探すのに苦労するな……」


 探し始めてかれこれ5時間、すでに集中力が切れている部下も現れ始めた。


 「ローボさんを疑う気はないのですが……本当にあるんですかね……」


 「……だいぶ前だからな……もしかしたら処分されていてもおかしくはない……しかし、少しでもいい。手掛かりになるなら探すしか方法はない……」


 「……ですね、つべこべ言わず頑張って探します……!」


 「……ありがとう……」


 そうローボが呟いた瞬間、部下が探していた棚にかなり古びており所々破れがある本が発掘された。


 「うわ……結構古いなこの本……」


 部下がおもむろにその本に触れると、突然文字が浮かび上がった……。


 「ロ、ローボさん!?本が……光って……!」


 「なんだと……!」


 ローボが近づき、浮かび上がる文字を読むとそこには……



ーこの世界で過去に起こった出来事の真相に触れる内容になります……貴方は覚悟を持ちお読みになりますか……?


 

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