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異世界の狼騎士団長が現代に転移しちゃった!?~人間界と獣人界ふたつの世界の存亡を賭けた戦いが今始まる~  作者: ノブ


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第4話 次に備えて

 ~翌日~


 「とりあえず、捕まっていた人たちがみんな家に帰れてよかったぁ~……」


 結衣と相庭のおばちゃん、おばちゃんの友達が私のバイト先に来ていつもの日常に戻った事にホッとしていた。


 「ほんとよぉ~!結衣ちゃんもいなくなったの知って私、すごい慌てたんだから!」


 私がみんなの飲み物を淹れ、席に持っていくと突然結衣がこっちを向いた。


 「……でも、あんなに大きな蛇……どうやって消えたのか……美咲、何か知ってる?」


 「わ、私は知らないよぉ~!ほ、ほら喉乾いてるんだから飲んで飲んで!」


 一瞬ドキッとしてしまった。グレイさんが助けてくれた……なんて言っても信じてくれないだろうから。


 「ほんとぉ?何か知ってそうだけど……」


 「まぁ、まだ安心とは言えないことだしこれ飲んでケーキ食べたら家に帰りましょう!」


 私は相庭のおばちゃんの言葉にホッとしつつ、結衣にいつバレるのかドキドキしながら作業に戻った。

 

 「お疲れ様です!」


 バイトが終わり着替えをして店から出ると、グレイさんが従業員用出入口近くで腕を組み立っていた。


 「グ、グレイさん……?こんなところで何してるんですか?って、私のバイト先って知ってましたっけ……?」


 「お疲れ、今仕事終わったのか?よく頑張ったな。……少し君に用があって待っていたんだ」


 「わ、私を……ですか……?用って一体……?」


 「あぁ、驚かないで聞いてくれ……。今回の件で君は、ある敵に狙われてしまっているんだ。」


 一瞬グレイさんは苦虫を嚙むような渋い顔をした。


 「敵って……まさか、グレイさんの世界で戦っていた相手……ですか?」


 「ああ……一応、名前を教えておこうと思ってな。ヤツの名はバハム……敵国の魔王軍大将だ。」


 「そ、そんな恐ろしい敵がこっちの世界に来ているんですか……?」

 

 私は話を聞いて胸がバクバク音が鳴るほど、恐怖が襲いかかった。

 

 「……恐らくだがな、現に前戦ったヒュドラからヤツの魔力が僅かにだが感じられたんだ……それが勘違いであればいいと願うばかりだ……」

 「……というわけでなんだが、君に危険が及ぶ可能性があると十分に考慮し差し出がましいが、以前の申し出を受けていと思ってな」


 「……以前の申し出ですか……?」


 「君が言っていた私の家に来ますか?という申し出に断った身ではあるがお願いしたくてな……」


 「そ、そういえば言ったような……私はいいんですが、家族に許可取りもありますし……本当に家に来てくれるんですか……?」


 「……そうだ……な。これからは君の近くで家族のことも……君のことも俺に守らせてほしい……いいか……?」


 「わ、分かりました。とりあえず一緒に帰りましょう?……帰宅してからになりますが、家族に許可とってみます!」


 「ああ、頼んだ……ありがとう……」


 グレイさんのふとした笑顔に胸が高鳴ったのは、気のせいと思いたい。


 ~一方ルナリア王国~


 戦争が終わり、モンストル魔王国による侵攻を退け王国に帰還する騎士団員。


 だけど、みんなの顔は王国を守り切った晴れ晴れしい顔とは程遠く絶望の表情に陥っていた。


 戻る部下を見た私……シュヴェリアにはある不安が過ぎった。


 (団長の姿が見えない……なんで……?どこにいるの?)


 「……グレイ……」


 隊列のどこを見ても想い人である団長グレイの姿が見えず気持ちが落ち着かなかった……。


 

 ~城内、騎士団本部・円卓会議室~


 第1部隊から6部隊までの隊長及び、幹部が集まり今回の侵攻についての報告会を開いていた。


 ……だが、その最奥にある団長の席は依然空白のままだった。


 私は皆の話に意を決して割り入った。


 「話を遮ってしまってすまないが、団長の姿が見えないのだが誰か知っている者はいないか……?」


 「……そのことについて、僕からお話があります」

 

 円卓後方騎士団三幹部の1人、弓兵のウルヴが手を上げ立ち上がった。


 「団長は魔王軍大将、バハム・ドラーガと熾烈で拮抗した戦いをし、三日三晩に及ぶ戦闘の末……残念ながら敗北しました」


 「そんな……!」


 私は柄にもなく取り乱し、椅子に足が当たったがすぐに冷静を取り戻した。


 「……すまない、続けてくれ」


 「……そして首を打ち取られる寸前のところで、上空に巨大な扉のようなものが突然現れまして、その奥に団長はバハム諸共吸い込まれてしまいました」

 「僕の方からはこれ以上お伝えすることは無いですが……現状では生きている可能性は低くないかと」


 「報告をありがとう、しかし扉について他に知っている者はいないか……?」


 「私からも一ついいかな……?」

 

 三幹部の獣老、大盾のローボが立ち上がった。


 「まだ若かりし頃に城内の図書館の中で扉についての事が書物を拝見した記憶が確かではありますがある。現在もそのような書物があるかどうかは不明ではあるが、勝手ながら会議が終わり次第確認しに行きたい」


 「少しでも情報が欲しいからな申し訳ないが頼んでも良いか?時間がかかってもいいが一国を争うかもしれないからな……他にも手が空いている者は手伝いをお願いしたい!」


 私が声を張り上げ頭を下げていると突然、会議室の扉が開いた。現れたのは新国王ルプス様であった。

 その場にいたもの全員が跪いたが、王は慣れていないのか少し苦笑いしていた。


 「……遅れてすまない、侵攻で破損した町と国民の対応で少々時間がかかってしまった……それで、進捗はどうなっている?」


  「いいえ……お忙しいところお呼び立てして申し訳ありませんでした。今出た情報も兼ね国王に私からご説明をさせていただきます。」


 ~10分後~


 「……そうか、まずは報告を感謝する。それにしても……謎の扉の出現……これを先に解決しないと事が進まない。まして、あちらもバハムがいないとはいえ、いつ襲ってくるかわからないしな……」

 「……団長が不在となった今、序列としては副団長の君に代理を務めてもらいたいと思うが、構わないか?」


 「ハッ!私シュヴェリア、王の為に尽力させていただきます!」


 「他の者も副団長の手助けをしてくれると助かる」

 「そして、報告にあった謎の扉についてだが、王族に代々伝わる伝説がある……と、俺も旧国王から聞いた話がある……」



 「”永年の時を経て、5本の魔剣の力解放せし者現れし時、世界を繋ぐ扉また開かれん”」


 国王の言葉に皆が首を傾げた。


 「5本の魔剣……ですか?」


 「団長が所持している魔大剣フェンリル、バハムの魔双剣ドラグニル……あと3本は一体どこに……?」


 「……それなんだが、あること自体は知っているが私にも分からっていないんだ。だが、その扉が開いたという事はおそらく近くにあったに違いない……」


 「今やるべき事を一旦絞ろう。まずは、被害にあった町や村の復興……それは私と副団長で取り仕切る。」

 「次に、モンストル魔王国の潜入調査……それについては、ウルヴ……君に任せたい、いいか?」


 「ハッ!お任せください!」


 「最後に、3本の在り処を突き止める事……フェネリ、これは君に任せる。」


 「任せてくださいなぁ!俺だけじゃ難しいんで部下を連れて行きますね!」


 「あぁ、それは君の判断に任せる。そして……書物についてはローボに任せることにし、今言ったことをメインに早急に対処しよう」


 「シュヴェリア副団長……団長不在で不安な者も居るだろうが、今はこの国の為に君の力を貸してほしい。頼んでよいか……?」

 

 「国王の為に最善を尽くさせていただきます」


 「それではみんな、今日はお疲れだろうから早めの休息を取るように……これにて解散」


 私は足早に次の任務のために備えるため、円卓を後にした。


 「……すごいなシュヴェリアさん、グレイ団長がいない中ほぼ顔色変えなかったな……」


 「その強さが副団長として選ばれたんだろうな……」


~会議後、シュヴェリアの自室~



 想い人を失った私の悲しみは思ったよりも深く悲しいものだった。

 その気持ちを出してしまうことは皆への士気が下がることを踏まえ、表には出さなかった。

 

 しかし、この想いを発散するには物に八つ当たりするしかなく、綺麗に整頓されていたはずの部屋がほんの一瞬にして酷い惨状になった。


 「あぁぁあああああああ……!!」


 溢れだした感情は留まることがなく、私は柄にもなく部屋で1人泣いてしまった……。


 「……グレイぃぃ……夢だって言ってようぅ……早く目の前に現れてよぉ……!」


 その言葉も虚しく、ただただ虚空の中に消えてしまった。


 「生きていてよぉ……会いたいよぉぉ……!」


 部屋の前で、それを静かに国王が聞いているなど私は知らなかった……。


 


 


 

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