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異世界の狼騎士団長が現代に転移しちゃった!?~人間界と獣人界ふたつの世界の存亡を賭けた戦いが今始まる~  作者: ノブ


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プロローグ②

  平野に進軍し敵を薙ぎ払っていくグレイは何故、今このタイミングで攻め込んで来たのか困惑しつつ、苛立ちを募らせ魔力が集まるところに急いでいた。

 

 (我が国を攻め落とした所であちらに何の利益があるのだ……)

 

 (元々、あの国の王とは考えがそぐわないと旧国王は仰っていたから少し懸念していたが、まさかこんな大掛かりな暴挙にでるとは……)


「何かほかに原因があるというのか……」


 木々が生い茂っていた平野を抜けた先にはあたり一面真っ白できれいな砂浜が見渡せていたが、

 今は薄気味悪く禍々しいオーラで溢れていた。

 

 砂浜の奥先にはその中でも一際巨大な魔力を感じ、グレイは久しく顔をしかめてしまった。


「気持ちの悪いこの気……まさかな……」

 

「威嚇程度だが俺の魔力を出してみたものの、全く怯む様子が無いか……さすが団長グレイ・ブラン……やはり面白い男だ」


 嘲笑しながらバハムがその手に携えたのは一対の双剣であった。

 

「魔双剣ドラグニル」その禍々しい魔力は辺り一帯の生命力をも食い尽くさんとする。

 

 それは使用者も同じく今までの者はその剣に耐え切れず若い命を枯らしていった。

 しかし、バハムだけは元来の凄まじい魔力のおかげなのか剣に生命力を吸われるどころか自身の力を増強し、次第に剣に負けぬ膨大な魔力を手に入れ使いこなしたのです。


「俺の相手にふさわしい奴にまずはアイサツしないとな」


 剣を両手に携え…

 

「さぁ、全てを焼き尽くしてみよ!黒竜炎斬!」

 

 黒竜炎斬……この魔法は禁忌の一種であり、使用者が現れるのは実に何百年ともいなかった。

 その斬撃は十字に重なりあい、グレイのいる丘を目掛け殺意が込められた一撃が放たれた。

 

 斬撃の黒い跡が美しい砂浜にこびりつく様に焼き付き、敵味方も関係なしに切り付けて行った。

 

 飛んだ斬撃は異様に形を変えていき、巨大な黒竜となり王国騎士団に目掛け襲いかかる。

 

 怯え足がすくんでしまっている味方を守るべく、グレイはその一撃に恐れることなく正面から受け止めようとし最前線に立ちはだかり背負っていた大剣を鞘から引き抜き勢いよく構えた。

 

「魔大剣フェンリル」ルナリア王国に古来より伝承されており、代々受け継がれし歴代王国騎士団長が所有する魔剣。


 自身の魔力に応じ身体能力が向上させ、四大元素(火・水・風・土)を剣に纏わせ戦闘に合わせ用途を

 変えながら戦うことができる優れものである。

 

 これまでその能力を扱える者は極わずかに限られていたが、底無しの魔力総量を持つグレイとは相性が良くすぐに使いこなした。

 

 それがグレイを最強と称し尊敬される所以である。


「我が国を守るため、俺の最大限で対抗しようじゃないか」


  バハムの魔力にお返しするよう魔力を込め、炎を纏う。

 

「炎狼斬!」

 

 掲げた大剣を力任せに下に振り下ろしたその瞬間、赤い斬撃が目の前の黒竜へと向かっていく……

 

 バハムの纏う闇の炎とは違う朱色の炎。

 

 その斬撃からは1頭の巨大な狼へと変貌させ黒竜に向かい覆うように襲い掛かる。

 お互いの力が膨大なゆえか、その技たちは相殺され消えてしまった。


「全てを殺し、ここで俺たちの勝利の礎にさせてもらおう」

 

「我が国だけは汚せさせぬ、挑んだことを後悔するがいい」

 

 

 両者の力は拮抗をし三日三晩の戦いの末に……遂に終焉が訪れようとしていた。


 「ガハァッ……強さは侮れないか……」

 

 傷を押さえ口からは血を吐き、先に倒れこんだのはグレイであった。

 その姿に高らかな声で笑っていたバハムだが自身も無傷では済んでおらず、重傷を負いその場に片膝をついた。

 

「さあ、貴様のその首を頂き無様なその姿を我らの国で代々語り継ごうではないか!」


(やはり、狙いは俺だったのか……)

 

 バハムがグレイに触れ、首を掻っ切ろうとするまであとわずかであった……


 グレイとバハムを囲うように辺り一帯が強烈な光の柱に包まれた。

 上空には巨大な扉がその重々しさを感じさせるように現れた。


「なんなんだ、あの扉は……!?」


 戸惑いの声を発したバハムの双剣ドラグニルが突然手から離れ扉に向かい吸い込まれていった。


 グレイが握っていたフェンリルも同様扉に吸い込まれていき所有者の意思も今や関係がなかった。


「なぜ、剣が吸い込まれていくんだ!」


 次々と由緒ある武具たちが扉に向かい吸い込まれていった。

 

 全ての武具が揃うとその扉は音を立てが重々しくゆっくりと開いてゆく。

 開き切った先に見えたものは、何もないただ真っ暗な空間であった。


 不穏なことに、その扉は武具の所有者にしか見えていない事でだった。

 

 グレイがいたはずの足元から光の粒子が現れ始め、扉に向かい吸い込まれていった。

 

 そしてバハム自身も光の粒子となって扉の先へと忽然と消えて行った。


 その扉は誰にも気づかれることもなく閉じ、消えてしまった。



 ‐人間界‐

 東京都




 自身の世界では嗅ぎなれない匂いに気づき、目を覚ましたグレイ。


 痛む傷はなぜか少し治っていたがやはり血が滲み出てきており、思わず顔を歪めてしまった。

 薄暗く感じた視界が明瞭になっていき、自身の今の状況を察し始める。


(ここは……)

 

 見慣れた景色ではない、木々に囲まれた森の中だというのに生物が少なすぎる。


 ふと自分の身体を見ると、全身毛でおおわれていたはずの身体から毛皮が無く、しまいに少し縮んでしまっている。


 「何が起きたんだ……ここは一体どこなんだ?」


 


 あとがき

 この作品を読んで頂きありがとうございました。そして本話でプロローグ編は完結となります。

 

 世界観やキャラについての描写がそこまで多くできなかったのですが、それはこれからのエピソードで徐々に追加していきキャラ自身の魅力も増やしていこうと思います。

 

 次回から本編に入りまして人間界編が始まります。獣人界からボロボロの状態で人間界にやってきたグレイは、見たこともない人間という種族と接触することとなります。

 この先のグレイの運命はどうなるのか、バハムはどこにいるのか次回のお話からこうご期待ください。

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