第3章 開始
「あいつの家に集まって宿題をするのがお決まりだった。まあ実際には、答えを書き写させてもらってただけだったような気もするけど」
日が沈み薄暗い部屋の中、ランタンの小さな光を囲って座り泰志は語る。真由美は母子家庭であったこともあり、母親が仕事から帰宅するまでに家事を済ませる習慣があった。そのために泰志と竜二は、三人で放課後集まる際は必ずと言って良いほど彼女の家を訪れていた。
二人は談笑しながら宿題をしつつ、時折家事をしている彼女の後ろ姿を見ていた。そこにはどこか力強さがあるような気がした。そんな彼女は母親の死後突如として姿を消した。そして彼女を捜す最中この世界に連れて来られた二人の前に、容赦なき革命軍の狙撃手として現れた。
「でも宮本が言うには俺達の置かれた状況はおかしくて、逆に真由美が俺達に対しても容赦なく攻撃してくることの方が、"この世界"の仕組みとしては正しいんだよな?」
竜二は、二人を助けた少女である宮本愛から言われた、この世界の記憶に関する知識を再確認するために、微かに揺れるランタンの火を見つめながら呟いた。そこには真由美に対する複雑な気持ちと、冷静に判断しようとする気持ちとが入り混じっていた。
「うん。辛いだろうけど、今の彼女は君達のことは私達同様に一切記憶にないと思う」
愛は同じくランタンの火を囲んで椅子に座り、落ち着いたトーンで言った。彼女は仲間を何人かこの襲撃で亡くしているにも関わらず、二人を気にかけるような優しさを見せる。もっとも二人は、その落ち着きは命の残り数によるものではないかと想像する。
泰志は、これからどうするかを考えるかのように、うつむいたままじっと考えている。しかしその表情には、真由美に対する複雑な気持ちも含まれているようだった。それを見た竜二は彼に問いかける。
「これからどうする?」
竜二は、この問いが彼に負担を強いるものだと薄々理解していた。真由美を連れ戻そうにも彼女は記憶がないだけでなく、自分達の命を狙ってくる。諦めて帰ろうにも、帰る方法が分からない。今の泰志には、この問いに対する正しい答えは出せなかったからだ。泰志はうつむいたまま何も答えない。
「助けたいなら命のシステムを利用するしかないんじゃないかな?彼女が今いくつ命を残してるかは分からないけど」
愛は落ち着いた表情で二人に提案する。しかしその表情の裏には、これが非常に難しいことであるということをあからさまに見せないという彼女なりの気遣いがあった。彼女の案はつまり、混沌とした戦場を抜け革命軍の陣地へ辿り着き、最終的にその精鋭部隊である真由美を倒すという、この世界に来たばかりの二人には到底不可能と言えるものだったからだ。
そして最後に彼女が付け加えた条件。これがこの無謀な案を通すための前提条件として立ち塞がる。命を失い復活する際には別のシステムが機能する。解放軍として戦い命を失った後、必ずまた解放軍として復活するとは限らないというのだ。しかも聞いた話によるとそれにより陣営が入れ替わった場合は、前に所属した陣営に居た頃の記憶が無くなるというのだ。二人はこの説明を愛から聞いた時、より絶望の感情が湧いた。なぜなら、真由美を連れ戻す前に彼ら二人の内どちらかが倒れた時、次会う時には敵として対峙する可能性があるからだ。
しかしその絶望のシステムを利用することこそが、ここにおいては真由美を連れ戻せる考え得る唯一の方法だった。彼女の命を奪い、解放軍側で復活することに賭ける。命懸けでようやく真由美を倒したとしても最後は運。何とも望みの薄い作戦だった。
ここでふと、彼らはこのシステムに疑問を持ち始めた。「度重なる記憶の消去」これが何を意味し、どのような意図が込められているのか。
「どうして遠藤は俺達と違って記憶を失っているんだ?俺達、遠藤の家にあったあの銀色の四角いやつのせいでたぶんここに来たんだよな。それが遠藤も同じだとしたら、あいつも俺達と同じように記憶が残ってなきゃおかしくないか?」
竜二は二人を見ながら、自身の記憶を頼りに見えない答えを探し始めた。しかし彼のその努力は、愛の言葉で打ち崩される。
「君達が来た方法と、彼女が来た方法は違うかも知れないじゃない」
たしかにその通りだった。自分達は銀色の立方体の物体で来たが、真由美はそうでないかもしれない。誰も答えは分からなかった。
「今は、遠藤を探しに行くしかないだろ。真相を確かめるためにも」
これまで口を閉じていた泰志は、大きく息を吐き出し一点を見つめながら口ずさんだ。声は大きくなくとも、彼の目には決意がこもっていた。
「よし!じゃあ二人に良いところへ案内してあげよう!」
愛は重い空気を吹き飛ばすかのように明るく切り出した。二人は訳の分からぬ表情で彼女を見つめる。
愛に連れられ二人は基地内の奥へ向かう。夜が遅いにも関わらず、なおも外を警戒する少年達が散見される。しかし彼らの中から何人かは、目的地へ向かう三人の後を追うように三人に目を向け、後に付いて歩き出した。泰志と竜二はそれを不思議そうにかつ気味悪そうに少しだけ目をやり歩き続ける。
三人は目的地である基地深部の講堂のような広間に到着した。そこには部屋の中央に巨大な謎の機械が設置されていた。薄暗い部屋にただ鎮座するその姿は、何か重要な役割を担うものだという予感をさせる。
「君達…ガチャは好き?」
意味不明だった。ガチャとはガチャガチャ、ガチャポンのことだろう。そこまではかろうじて考えつく。しかし、今この状況でする質問としては明らかにおかしい。二人は言葉が出ない。その時、二人はいつの間にか大世帯となっていた後続の少年達に気が付いた。
「おい宮本。やっぱり"宝物庫"回すんだな!」
「毎回の楽しみなんだよね」
彼らは、二人が聞き慣れない"宝物庫"という言葉を連呼し、何やら楽しみにしている様子。
二人は流れから、巨大な機械が"宝物庫"と呼ばれているのだろうと考えた。続く愛の答えで、それは確信に変わった。
「そうそう!新入り君の恒例の運試し始めるよー!」
それを聞いた少年達は「おー」と歓声をあげたり、手を叩いたりで、何やらめでたいような盛り上がりを見せた。二人は眉間にしわを寄せ少年達から身を離すような体勢になる。その姿とは裏腹に、愛は明るい口調で続ける。
「君達には武器がまだない!…だよね?これは"宝物庫"って呼ばれてるんだけど、まあ簡単に言うと武器をゲットできる"ガチャ"みたいなものかな!」
二人には「ガチャ」の経験がそれぞれにあった。泰志は今のところ携帯を持たない学生だった。故に部活動時の連絡等困ることは時折あった。彼にとってのガチャは、かつてショッピングモールで家族や竜二、真由美と共に回したガチャガチャのことだった。
一方竜二は高校入学時にスマホを買い与えられたために、いわゆる「ソシャゲ」をプレイしており、そのゲーム内のガチャシステムにより一喜一憂していた。
しかし、二人のしてきたものと比較すると、それはあまりにも仰々しく無骨なものだった。巨大な機械中央部には、大きな目を思わせるレンズのようなものがあり、その下には不自然に突き出した一本のレバーのようなもの、そして最下部には排出口のような大きな管が剥き出しになっていた。
「いつもは田島君にお願いしてたけど、今日は特別に私が説明してあげる!」
愛は一瞬もの悲しい表情を覗かせるも、すぐに明るい笑顔に切り替える。それは彼女自身の気持ちの切り替わりそのものを表しているようだった。
「この"宝物庫"からは、レバーを引いた人に対して一度だけ専用の武器が提供されるの。近接格闘武器、小型から大型の銃火器なんて具合にね。何が出るかはランダム!お楽しみってことね!」
彼女は場を盛り上げるように、明るくかつわざとらしくもある説明を披露した。その後彼女は二人に対して、レバーの前に来いと言わんばかりに笑顔で手で合図をする。二人はやむなくレバーのところへ歩み寄る。二人は揃ってレバーの前で立ち止まり目を合わせたが、泰志は体を少し傾け片方の足を少し遠くへ付いてもう片側の足もそこへ寄せる。結果として竜二の方がレバーに近い状態となった。竜二は離れた泰志へ一瞬目を向けた後、後方で見守る少年達や愛の方を確認する。皆まだかまだかと竜二へ視線を向けている。彼は耐えかねてレバーを握った。初めは軽く添えるように握るが、想像以上にレバーは重く、後から強く力を入れ体ごと思い切り引き下ろした。不安になるほどの機械音が響いた後、排出管の奥から音を立てながら、何かが出てきた。
ガンケースだった。「宝物庫」の見た目と比較すると新品そのもののような輝きを放っている。それを見た周りの少年達は歓喜した。この場が初めての二人でも、それが「当たり」の部類であることは理解できた。
「古谷君!開けて開けて!」
愛は周りの少年達のはやる気持ちを代弁するかのように、身を乗り出して竜二にそう言った。彼は恐る恐るガンケースの取手を握り引き寄せる。ガンケースと機械の床が擦れる音が響く中、一同は息を呑むように静かになっていった。
金具を外し、新品の如くスムーズに開いたケースには、無骨ながらもスッキリと洗練されたデザインの狙撃銃が一丁堂々とした形で収められていた。その見た目は、ドラグノフ狙撃銃を思わせるものだった。少年達は、先程の歓喜の様子とは異なり、目を疑うような表情でそれを見つめたり、隣の者と小声で話したりしている。竜二はケースからそれを持ち上げ、自身の腕に不器用に担いだ。
「当たり…当たりも当たり!大当たりだよ!」
愛は、場の空気を晴らすかのようにはしゃぎながら竜二に呼びかけた。彼は、心の中では周りの反応から多少なりともそんな感じはしていたと思いながらも、えっという表情で愛の方を見た。愛を筆頭に周りの少年達も彼のもとに集まり、狙撃銃を観察し始めた。泰志は少し離れたところでそれを眺めている。
「じゃあ次は上川君の番だね!」
泰志の様子を見た愛は、気を利かせるようにそう切り出した。一同の視線も少しずつ彼に向けられていった。彼は少しした後、言葉は発さず自信を持った表情のみを見せ、レバーの方を向いてそれを握り、迷いなく力を込めて引き下ろした。しかし竜二の時とは異なり、少しの間機械はうんともすんとも言わなかった。泰志が不安気な表情で機械を見つめた直後、排出管から音を立てて投げ出されるようにそれは出てきた。
「なんだ…これ」
泰志は独り言のように呟きながら、恐る恐るそれを拾い上げる。配送用の包装紙のようなものを、彼にビリビリと不器用に破られて出てきたのは、良く言えば年季の入った、悪く言えば古びたガラクタのようなトンプソン機関銃だった。基本的には、レバーを引いた者専用の武器が排出されることを知っている愛や少年達は、中古品のような形をしたそれを見て、こんなこと有り得るのかと自身の目を疑った。泰志自身も、期待を裏切られたこと、竜二との差が激しいこと、周りからの反応からしてかなり異常であることを感じ、どのような反応をしたら良いか全くわからない。
「私銃にはあまり詳しくないんだけどさ、なんというかその…"名銃"って感じだよね!」
愛の明るさをもってしても、手に負えない状況だった。竜二との差もあるために、一同は彼にかける言葉を見つけることができず、皆様子を見続けていた。しかし、一人の少年が口を開く。
「おいおい、ポンコツじゃねえか」
ついに言ったかと周りの少年達は一斉に声の方を見る。泰志も自分自身では理解しつつも、どこか認めたくない気持ちがあり、その答えを求めるべく声の方へ視線を向ける。そこには、目に特殊なゴーグルを装着したロン毛の少年がライフルを下げて堂々とした佇まいで立っていた。彼は周りの反応も視線も一切目に入らぬかのように堂々と泰志に歩み寄る。泰志は、彼があまりにも堂々としているためか、逆に怒りや悔しさの感情が湧いてこない。彼は泰志のすぐ前まで来た後改めて口を開く。
「最初のやつのを見た時はおもしろくねえと思ったけど、今これを見て改めて思ったよ。来て良かったってな」
泰志はなぜ彼に対して大した感情が湧かないのかをこの時理解した。ここにいる誰しもが思うように彼が相当嫌で妙な奴だったからだ。
「ちょっと!こういう…あの…良い感じの銃だって中にはあるでしょ!」
愛は気付いていなかった。彼女の気遣いこそが今の泰志に最も堪えるということを。
「"良い感じの"ねえ。まあ楽しめたって意味ではその通りだな!」
彼は笑いながらその場を後にした。一同は嵐が去った後のようにしばらく呆然と立ち尽くし、歩いて行く彼の姿を見つめていた。そんな空気を払拭したのは竜二だった。
「やす、武器の使い方を教わろう」
彼は目だけを泰志に向け愛の方へと歩み出す。その後ろ姿は、どことなく頼りになる雰囲気を漂わせていた。
射撃場に連れられ、一連の操作を教わった二人は、少し疲れた様子で部屋へと戻ってきた。部屋の扉を閉めるや否や、それぞれソファーとベッドに寝そべる二人。
「でもびっくりしたわ。予備の弾倉には自動で弾が補充されるとか…どういう仕組みだよ」
泰志はすっかり開き直っているようだった。ただそう言いながらも、この世界の戦闘が止まない理由がここにもあると、心の中では複雑な感情を抱いていた。
「やす、俺いつもなら学校終わって今の時間まで何も食べないでいたら、飢え死にしそうな感じになるんだけどさ、今日は腹減らないわ」
竜二はベッドに仰向けになり天井を見つめながら言った。体の横に置いた手はおかしな物でも触るかのようにお腹をさすっている。
「それ俺さっき宮本に聞いたよ。ここでは空腹の概念も、栄養補給の概念も存在しないらしいぜ」
泰志は、ソファーで寝転がっていた体を勢いよく起こしながら言った。そして、ふと部屋の隅に目をやった。そこには自身の持つ銃よりも、性能・見た目ともに優れていそうなライフルが立てかけてある。彼は無言で立ち上がり、それのもとへと足早に歩み寄る。彼は物欲しそうにそれをしばらく眺め、竜二も彼のその様子を伺う。竜二には彼の考えていることがすぐに理解できたが、声はかけないでいた。彼はライフルを勢いよく掴んだが、何かがおかしい。普通重くない物を勢いよく掴みに行けば、対象物は多少なりとも動く。だがそれがない。硬い柱にでも掴み掛かったかのように彼の手は動かない。
「どうした?」
竜二はたまらず声をかけた。
「全く動かん」
彼は竜二の方を向くこともなく、ライフルを見つめ掴みかかりながら呟く。そんな馬鹿なと竜二も勢いよくベッドから起き上がり、彼のもとへと歩み寄った。彼はようやく手を離したが、なおも不思議そうにライフルを見つめる。彼の手が離れたことを確認した竜二は疑いの表情でライフルを掴む。動かない。片手から両手に持ち替えてもびくともしない。石でできているような見た目でもない。竜二は一通り試した後、息を少し切らしながら手を離した。
「オブジェ…か?」
「一つ気になるんだけどさ、宮本が"宝物庫"の説明の時、"専用の武器"って言ってたよな…」
二人は嫌な予感を持ちながらも、記憶を頼りに気付きたくない真相に向かい出した。
「なら…試してみるか」
竜二はそう言うと、自身のライフルを両手で持ち泰志に差し出した。泰志は息を呑み覚悟を決めた表情でそれを見つめる。自身がこれを扱えるか否かで、彼の先程まで味わっていた屈辱と言える感情が全て払拭できると考えているために、彼の視線は力んでいた。そして恐る恐る手を伸ばし掴む。二人共がライフルに触れている状態となった。竜二は何も感じていない様子だが、泰志は違和感を感じた。
「冷たい」
竜二はそれを聞いて、なにという表情で眉間にしわを寄せる。まあいいかと竜二は少ししてライフルから手を離す。泰志は普通にライフルを掴み上げていた。手元に引き寄せることもできている。意外だという二人の表情。泰志の心には希望が湧き始めていた。
「引き金引いてみていいか?」
「今弾抜いてるから引いても問題ないよ」
泰志は竜二が最後まで言い切る前に、すでに引き金に指をかけていた。遂にやったと軽い動きで不恰好にライフルを構え、引き金を引く。しかし泰志の表情はすぐに引きつる。引き金が硬すぎて引けない。彼は一度ライフルを構えるのをやめ、少しそれを眺めた後竜二に差し出す。
「引けるように設定してくれよ」
竜二も顔を少し引きつらせながらそれを受け取る。疑念の気持ちで引き金に指をかけた竜二はそれを引いてみる。カチカチと軽い音と軽快な動きで何度もしつこいほど竜二は引き金を引く。泰志も同じく疑念の表情でそれを見つめた後、竜二からライフルを奪い取るかのように引き剥がしすぐさま引き金を引こうとする。しかしやはり硬すぎて引けない。
「だめなんだな」
竜二は諦めの気持ちで呟くように言った。泰志は失望と諦めを滲ませ竜二にライフルを雑に返すと、体勢を崩しながらソファーに腰掛ける。彼は、"ポンコツ"でこの先困難な未知の世界を生き抜かねばならないことを痛感した。黙ったままソファーに丸く寝転がり、竜二へ顔を隠すように背もたれ側を向いた。竜二も鼻からすーっと息を吐き、黙ってライフルを置きベッドへと戻っていった。
翌朝、二人は服装や装備を整え、部屋を出るため扉を開けた。そこには、二人にどんな言葉をかけようかと迷っているかのようにして愛が立っていた。扉を開けた二人を見るや否や愛は駆け寄って来る。
「おはよう上川くん、古谷くん!」
「…おはよう」
二人は自分達との温度差で呆気に取られた。
「あの子のところに向かうんでしょ?やっぱりだいぶ危ないと思うんだけど大丈夫そう?」
彼女は言葉を詰まらせながらも、持ち前の明るさで押し切るように言う。それに対して泰志は、しょうがなさそうに息を吐き出す。
「大丈夫も何も、探してたやつのあてが分かったんだから行くしかないだろ。ここにずっと居ても仕方ないし。元の世界にも戻りたいしな」
愛はそれを聞いて、初めはやっぱりという表情で聞いていたが、後に不思議そうな表情に変化させる。
「元の世界ってどんな?」
彼女にはここに来る以前の記憶がない。彼の見立てでは、おそらく自分達と同じように"現実世界"から来たと思われるが真相は分からない。面倒な流れになりそうだと察した彼は、足早に歩き出した。竜二はそれに出遅れる。それを見逃さなかった愛は、すかさず竜二に問いかけた。
「ねえ古谷くん、元の世界について聞かせてよ」
彼女はあざとい仕草で竜二に詰め寄る。竜二はたじたじである。それを見た泰志は呆れた顔をし、彼を救い出すかのように声をかけた。
「竜二行くぞ」
竜二は一瞬愛を見た後、少しだけ申し訳なさそうに歩き出した。二人の様子を目線で追う愛は、何かを思いついたかのように駆け足で二人の元へ向かった。
「ねえ!良い案があるんだけど。聞かない?」
歩く二人を遮るように前に躍り出て愛は言った。銃の件といい、泰志はもはや期待するだけ無駄だと感じていた。しかし、彼が口を開く前に愛が先を越す。
「"革命軍の精鋭部隊を殲滅する"っていう名目で仲間を募ったらどうかな?」
彼女は真由美が精鋭部隊所属であることを逆手に取り、二人の目的を達成しやすくしようと考えていた。これには呆れていた二人も、その手があったかと驚いた。
「どうすればいい?」
二人は彼女の話に耳を傾け、仲間を放送にて募るべく、施設内アナウンス室に向かった。




