#50 2人で一つ
クレア・アレン「だって…どちら様ですかってあははっ!…最高…あははっはっは!死ぬ…!」
アレン「待て待て不意打ちすぎる!!はははっ!シェイラ・アレンって…はーはははは!」
シェイラ・アレン?「…不服。」
シリウス「いっそここで殺してやろうか…?アイディアル内で死ぬとどうなるんだろうなぁ…?」
アレン「いや、待て待て…悪かったって…ふはは…!ちょっ、タンマ、ガチガチ…ふふっ!…はぁー!いやぁ、笑った笑った!」
クレア・アレン「待って、アレン1人だけずるい。やば、思い出しちゃう…ははは!」
アレン「あんま言うな、俺も思い出すだろ。…ふふっ。」
シリウス「テメェ、ガチで一発殴らせろ…!」
笑うところまで笑い転げてやっとアレンさんとクレア・アレンちゃんが落ち着きを取り戻す。
アレン「まぁまぁ、あんまり笑って悪かったって。」
シリウス「思ってねぇだろ。」
アレン「いや、マジで。記者さんにもなんにも説明してねぇし。あー、置いてけぼりにして悪いな?ちゃんと説明させてもらうよ。こいつはシリウス。俺のダチで小学生からの付き合いだから実質幼馴染みたいなもんか。んで、そっちのシェイラが、シリウスの唯一のIDoll、シンパサイザーのシェイラ・シリウスだ。」
シキ「えっ?つまり…?」
アレン「俺のIDollはクレアだけで、俺たちはアレンシリーズじゃないんだ。」
聞いた話を整理するとこうだ。アレンマスターとシリウスマスターは昔から仲が良くて(シリウスマスターは腐れ縁と否定をしていたが)アイディアルを始めた時から二人で活動していたらしい。アレンマスターは端から1人で活動したことがなく、常に楽曲はアレンマスターがメロディを作り、シリウスマスターがラップや外国語を加えるといった編曲を行う、シリウスマスターとの合作なんだという。合作ということでもちろん二人のIDollであるクレア・アレンちゃんとシェイラ・シリウスちゃんが歌って踊っていたのだが、表舞台にはシリウスマスターが面倒がってアレンマスターしか出なかったことから、1人での活動がほとんどなアイディアルでは曲もIDollもアレンマスター1人の物と勘違いされて、アレンシリーズと誤認されるようになってしまったらしい。しかも、その勘違いが広まっていること自体を二人は忘れたまま活動を続けてしまい、気づいた頃には訂正できないほど定着していたそうだ。で、それに気が付いたのがたった今というわけだ。なんだか話を聞いているとロイド君たちとよく似ているなと思ったけど、あっちはメイン活動はラルド君でロイド君は名義を貸しているという事なのである意味ロイドシリーズと呼んで間違いないし、二人で一つのシリーズを持っていることになる。一方こちらは、二つのシリーズが一つだと誤認されているのが正しい。話をしっかり聞いた結果、シェイラ・シリウスとしてイストに知ってもらい、勘違いを是正するためにイベントに参加しようという風に話がまとまった。何はともあれ、参加の方に転がってくれてこちらとしては喜ばしい。
今回はシリウスマスターのお披露目が目的となったため、インタビューもシリウスマスターメインにしてくれという要望が入った。
シキ「えぇっと、では、お二人がアイディアルを始めた理由を教えてください。」
シリウス「コイツが言い出したんだよ。」
アレン「もともとなんの形でもいいから音楽をしようって話だったんだ。俺たちずっと音楽が好きでさ、特にラップとか、洋楽とか。それで最初はバンド組もうって話だったんだけどなぁ。結局二人しか集まんなくてできなかったんだけど。」
シキ「今時楽器の生演奏は集まりにくいですよね。」
アレン「いや、そうじゃなくてコイツが誘う人ことごとく気に入らねぇって追い返しちまうから。」
シキ「えぇ…。」
アレン「で、アイディアルなら好きな音楽が作れるっつーことで、もともとバンドとかよりヒップホップ系がやりたかったしちょうどいいやってさ。」
シキ「ラップが組み込まれているシリーズは珍しいですよね。作曲にあたって何かコツとかはありますか?」
アレン「いやぁ、曲に関しては俺はメインのメロディしか、やってなくてそこら辺の編曲や歌詞はもっぱらコイツの仕事だよ。」
シリウス「別に特別なことでも何でもねぇだろ。音楽理論勉強して、語彙増やして韻学べば誰だってできるだろ。」
それが普通にすごいんだよなぁ。
アレン「そう言っちゃ元も子もないが、それが大変なんだろ?」
シリウス「あぁ?そんなこともできねぇ根性ねぇやつ端から音楽やんなや。音楽舐めんな。ぶっ殺すぞ。」
シキ「ひぇっ…す、すみません…。」
アレン「なんで記者さんが謝ってるんだよ…。お前も誰彼構わず喧嘩売るな。関係ない奴が委縮しちまう。」
シリウス「ちっ…。」
シキ「その、音楽への熱い気持ちは何がきっかけなのでしょうか?」
シリウス「…。」
アレンさんはシリウスさんの回答を待つように彼を見つめた。しかし、彼はむすっと彼方を見つめるだけで、口を開こうとはしなかった。しびれを切らしてアレンマスターが答えてくれる。
アレン「ずっと憧れなんだ。コイツの母ちゃん昔、結構すごいブレイクダンサーだったんだよ。最後のダンサーなんか呼ばれちゃってさ。」
シェイラ「“最後のダンサー”?ってことは、シリウスマスターのママは…。」
アレン「あぁ、ステージの照明が転倒してくるアクシデントで、踊れる身体じゃなくなっちまって、もう現役は引退している。まぁ、なんつーか、その影響でストリート系にはずっと慣れ親しんでたんだ。で、その憧憬を追い求めるように二人で路地で踊ったりしててな。」
シキ「路地で?」
アレン「やり方が古いのはわかってるよ。実際だぁれも通らず実質ただの自主練だったな。」
シリウス「思い出すだけで気分悪ィ。」
シキ「それで、パフォーマンスの場所を探してアイディアルに?」
アレン「まぁ、そういう事だ。なんか、色々と時代錯誤だろ?」
シキ「そうかもしれませんね…。」
きっとこの人たちはこんな時代じゃなければ、もっと多方面で活躍できる可能性があったのだろう。それを摘んだのはこの世界だ。ネットという無限の空間に移ったのだから可能性はより無限になった、本当にそうなのだろうか?情報量が多く、知ろうとしなければ知れない世界。そこで産声を上げることは簡単でも生き残ることは、というより目指しているレベルに到達するにはより難易度が上がったように感じる。
シキ「アレン&シリウスシリーズは最速でグランドマスターにまでたどり着いた異例のシリーズですが、そこに至るまでの経緯やコツなどこれからこのシリーズに憧れて頑張るイストに伝えてあげられることはありますか?」
シリウス「なんもねぇよ。俺たちはたまたま運が良かっただけだ、ムカつくけどそれは紛れもねぇ。それを『大物とコラボすればいいですよ』なんて言えるわけがねぇだろ。コネもねぇ凡人がどうやって実現させるんだよ。他力本願狙って二番煎じなことしたって何にもならねぇ。なら、やるしかねぇんだよ。俺たちもお膳立てされて成り上がっただけなんて舐められねぇようにやり続けるだけだ。」
シキ「アレン&シリウスシリーズの人気に火をつけたのは間違いなく、アーサーシリーズとのコラボだとは思いますが、それはただのきっかけに過ぎません。このシリーズは遅かれ早かれこうしてグランドマスターの肩を並べるにふさわしいシリーズです。」




