103 やっぱり大きすぎたんじゃないか
城まで持って行く家ユニットを取りに行った次の日の早朝、私はぺスパの家の前で4人の女性冒険者に守られたクラリッサさんの馬車を出迎えた。
「あれ? あなたたちって、初めてクラリッサさんに会った時も護衛をしていた」
「お久しぶり。今回も護衛を任されることになった赤い閃光よ」
もう会うことは無いと思ってたからお互い自己紹介をしてなかったけど、まさかの再会でびっくり。
「これは偶然って訳じゃないよね? もしかしてウェルトン商会の専属なの?」
「違うわよ。でも女性ばかりの冒険者パーティーは少ないから、ご令嬢の移動の際はよくご指名がかかるの」
お嬢様系の人が移動する場合、護衛するのは男性パーティーよりも女性パーティーの方がいいと言われることが多いんだって。
だから専属ではなくても、こういう場合はお声がかかることが多いそうな。
「それじゃあ、これからも会うことがありそうね。なら自己紹介を」
「アイリス・フェアリーガーデンさんでしょ。護衛対象の情報は流石にもらってるわ」
そう言って笑う、冒険者のお姉さん。
「そんな訳で、こちらから自己紹介させてもらうわね。私はセシリアで水色の髪の子がイザベル、濃い緑がジェシカで明るいオレンジがシェリーよ」
因みにセシリアさんは燃えるような赤い髪で、4人ともショートカットだ。多分長いと戦う時にじゃまになるからなんだろうな。
「知ってるみたいだけど、改めて。私はアイリス・フェアリーガーデンで、後ろにいるのはメイドのシャルロットよ」
私の情報は伝わってるそうだけど、流石にシャルロットのことは知らないだろうから紹介しておく。
これから何日かお世話になるんだから、知らないままというのも何かと不都合が起きそうだからね。
と、そんなやり取りをしているうちに御者さんがステップを出して、馬車の扉を開いた。
「お待たせ、アイリスさん」
「おはよう、クラリッサさん」
クラリッサさんと同乗していたのは侍女のマリオンさんと錬金術師のカレンさん。因みにマリオンさんはクラリッサさんと初めて会った時に馬車に乗っていたメイドさんね。
この3人ともシャルロットは初対面なので紹介したんだけど、ここで何故かクラリッサさんが変な顔をしているのよ。
「どうしたの? メイドが同行すると聞いてびっくりしたとか?」
「いいえ、前にアイリスさんは貴族に準じるような立場だと聞いていたからメイドや護衛くらいは連れて来ると予想してたけど……」
そう言いながらシャルロットをまじまじと見つめたクラリッサさんはこう言ったのよ。
「アイリスさんの国の人は小柄で幼く見えると聞いていたけど……このメイドさん、顔は確かに幼く見えるけど背は平均的な女性と同じくらいなのね」
「ああ、シャルロットは私の国でも大きい方なのよ。それに対して私は逆にかなり小柄。平均的な身長は私とシャルロッテのちょうど中間くらいかな」
シャルロットはこの世界の女性を意識して作ったNPCだからなぁ。平均的な体格なのを見て驚くのも無理はないか。
そんなことを考えていると、クラリッサさんの視線が私とシャルロットのある場所を行き来していることに気が付いた。
「なるほど、アイリスさんは小さめでメイドさんは大きいのね」
「どこを見て言ってるの、どこを!」
「胸」
あっさりと答えられて呆気にとられる私。
そりゃあアイリスのアバターは小さいですよ。だって可愛いを意識して作ったのだから。
でも本当の私はシャルロットと同じくらいな訳で。
「いや、小さいのはステータスという言葉もあるし」
「何よそれ」
ちょっとあきれたような顔をしながら、こんなに大きい人は私の国でもほとんど居ないわよというクラリッサさん。
そっか、この世界でもシャルロットのお胸は大きいのか。ミルフィーユ、やっぱりやりすぎだったみたいよ。




