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魔王信者に顕現させられたようです ~面倒なので逃げてスローライフをすることにしました~  作者: 杉田もあい


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100 図書館に行こう!

 私が収納箱の手配をミルフィーユに頼むと、そこでエクレアが話しかけてきた。


「ミルフィーユ、アイリス様とのお話は終わった?」


「ええ、わたくしの用事はこれで済みましたが、何かあるのですか?」


「うん。アイリス様が図書館に興味があるみたいだから、連れて行ってあげようと思って」


 いや、連れて行ってもらわなくても、図書館がどこにあるのかくらい知ってるけど。


 そんなことを思いながらもツッコミを入れずに聞いていると、エクレアの口からとんでもない話が飛び出した。


「それにエルフの子供たちが先に行ってるから、そろそろ私たちも行かないとなぁって思って」


「えっ、子供たちが先に言って待ってるの?」


 そんな話、聞いてないわよって言うと、エクレアは不思議そうな顔をしてこう言ったんだ。


「みんな図書館大好きだし、グレイターZもしまっちゃったもん。アイリス様が行くってみんな聞いてたから、当然先に行って待ってると思うよ」


「それを先に言いなさい!」


 子供たちが図書館で何を楽しみにしているのかは解らないけど、私を持っているのなら到着するまでそれを我慢している可能性は高い。


 それならこんなところでうだうだしていないで、早く図書館に向かわなくては。


「ミルフィーユ。子供たちが待ってるっていうから、あとはお願いね」


 そう思い、もろもろのことはすべてミルフィーユに丸投げしようと思ったんだけど……。


「いえ、わたくしも図書館にお供します」


「ええっ! ミルフィーユも来るの?」


 この返答に驚いたのは私ではなくエクレア。


「なんで? 図書館に来たことなんてないじゃない」


「いえ。資料や文献を調べるために足を運ぶことはありますよ」


 うちの城の図書館って思った以上に蔵書が多いらしくて、ミルフィーユだけでなくいろいろな部署の人が資料集めに使っているそうな。


 でもエクレアはそう言う本が並んでいる所にはいかないから、ミルフィーユたちが来ていることを知らなかったみたい。


「わたくしも少々調べたいことがございますし、アイリスさまにご報告したい話もあります。ですのでご一緒させてください」


「うん。いいよ」


 別にミルフィーユが来て困ることはないもん。私は頷くと、3人で図書館へと向かったんだ。



「うわぁ、これは凄い」


 到着して観音開きの扉を開けた私は、その光景に圧倒された。だって、本当に図書館だったんだもん。


 何を当たり前なことを言ってるのかだって? 確かにその通りなんだけど、そうじゃないんだ。


「ミルフィーユ。この部屋、空間がゆがんでない? 部屋の区画を考えると、有り得ない広さに見えるんだけど」


「はい。状況に合わせて空間拡張が行われているようですね」


 図書館と言っても城の一室、それほど大きなものではないと思っていたのよ。


 でも扉を開けるとそこにはとんでもない空間が、それもいくつかの特別室や中二階まである巨大図書館が広がっていたんだ。


「部屋を想像していたら巨大施設が城の中に出現していたでござる」


「アイリス様。混乱しているのは解りますが、少々言葉が崩れすぎているかと」


 ミルフィーユに言葉遣いを注意されながらも、それを無視して私は入り口付近を見て回った。


「なるほど。入り口近くには端末があって、そこで検索すれば何がどこにあるのかすぐに解るようになってるのね」


 これだけの広さなんだから、むやみやたらに探したとてお目当ての本が見つかるはずがない。


 だからいくつか並んでいる端末で検索ができるように……あれ?


「なんか、図書館とは思えないような文字が並んでいるんだけど……」


 漫画やラノベは書籍だからまぁあってもおかしくはない。それに映像もこの頃は図書館に行くと閲覧できるようになっている所もあるから、専用の部屋があったとしてもまぁ許容範囲だろう。


「でも、家庭用ゲームやアーケードゲームの部屋、それにシアタールームまであるってどういうこと? ここって図書館よね?」


 そう。表示されている図書館の案内図を見ると、なんとどう考えても関係のない部屋があるのよ。


 だからちょっとおかしな感じがしたんだけど、


「資料展示と考えれば、それほどおかしくはないのでは?」


 ミルフィーユにこんな風に言われたことで、なんとなくだけど納得する。


「そう言えば、図書館って資料室って言う意味合いもあるからなぁ」


 ミュージアムって確か資料を収集したり展示したりするっていう意味だったはず。


 ゲームミュージアムってのがあったはずだから、資料の一つとしてゲームを収蔵展示してあるというのならありなのかも。


 そう思いながら周りを見渡していたんだけど、ここでひとつ気付いたことが。


「あれ? エルフの子供たちが先に来てるはずよね? 誰もいないんだけど」


「そりゃそうですよ。みんなゲームかアニメの部屋にいるに決まっているじゃないですか」


 エクレアの言葉に、私はなるほどとうなずく。確かに子供たちからすれば、本が並んでいるここよりもゲームが遊べたりアニメが見られるところの方がいいに決まってるからね。


「でも、待っているわけじゃなかったのなら、それほど急ぐ必要はなかったなぁ」


「そんなことを言わずに、アイリス様も行きましょう。きっとみんな、来るのを待ってますよ」


 そうかなぁと思いながらも、待っていると言われてしまってはいかない訳にはいかない。


 ということでまず向かったのは一番近いアーケードゲームの部屋。


「あれ? 誰もいないよ」


「ここはゲームの種類が少ないから、あまり子供たちに人気が無いんだ。それになんか地味だし」


 言われてみれば確かに、部屋の中はがらんとした印象が。


 なぜこんなことになっているのだろうと思った私は、近くにあったテーブルタイプのゲームを覗き込む。するとその理由が判明した。


「レトロと言うかなんと言うか……ああ、そうか! ここも私の記憶を基に再現されているものが並んでいるからだ」


 そう言えば私、ゲームセンターなんて行ったことがないからなぁ。


 ホテルやショッピングモールにあるゲームコーナーくらいは行ったことがあるけど、そもそもアーケードゲーム自体をそれほど見たことが無いもの。


 だからここが閑散としているのも、並んでいるゲームがみんな古いものなのも納得と言うものだ。


「家庭用ゲームなら子供の頃から親に何種類か買ってもらってたし、友達の勧めで最新のも持ってたからなぁ。ならみんな、そっちのの部屋にいるのね?」


「あそこはいろんなのがあるからね」


 ってことで、エクレアの案内で家庭用ゲームの部屋へ。すると私は、またも驚くことになる。


「何よこれ。さらに空間がゆがんでるんだけど」


「わたくしも初めて訪れましたが、まるで何かのお祭り会場のよう。それに下手をすると、この部屋自体が図書館全体よりも広いのではないでしょうか」


 ミルフィーユのお祭り会場のようという一言で、私はここがどこを元に作られたのかが解ったんだ。


「そっか。ここって友達と一緒にコスプレをしに行ったゲームショー、その会場をスケールダウンした感じの場所なんだ」


 目の前に広がるきらびやかな展示スペースで楽しそうに遊ぶ子供たち。


 それ見た私は、過去に訪れたことがある千葉の巨大展示場で行われていた家庭用ゲームの祭典を思い出したんだ。

 読んで頂いてありがとうございます。


 祝! 100話到達


挿絵(By みてみん)


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