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11話、12話→10話

13話、14話→11話

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ややこしくて、すみません

魔石を回収する三人を少し離れて見守る。三人とも魔物を倒したにも関わらず、どこか落ち込んでいるようだった。

「二人とも、ごめん!」

レオが意を決したように顔を上げた。

「俺、いつもリーダー気取ってお前らのこと引っ張ってたのに、肝心なとこでビビっちまった……」

その声は弱弱しく、顔には悔しさが浮かんでいる。

「わ、わたしの方こそ怖くて動けなかった!ごめんなさい……」

「俺も、盾役なのに最初守れなかった……」

お互いに謝り始める。

誰も仲間を責めようとしない。その代わりに自分を責めている。

……まったく。

初討伐を終えたばかりだというのに、真面目過ぎね。

「ほら、暗い顔してんじゃないわよ」

私は近づいて、レオの肩を叩く。

「むやみに突っ込む馬鹿より100倍マシよ」

「反省なんて後にして、三人ともこっち向きなさい」

三人が不思議そうに顔を上げる。

私は、あの日のセリアの顔を思い出しながら三人の顔を順に見る。

「レオ、ダン、ミア。依頼達成おめでとう」

三人は一瞬呆けたあと、嬉しそうにお互い顔を見合わせている。

ふん、やっと新人らしく笑ったわね。

私は力が抜けたように座り込む三人を見守る。レオなんて嬉しすぎるのかちょっと泣いている。

「さあ、そろそろ帰るわよ!あんまり遅いとセリアが心配するわ」

しばらくそうした後、三人を立たせて帰り道につく。

見渡す限りの草原。照り付ける太陽の下を四人で歩く。

レオの元気な声が響いている。

「フレアさん、フレアさん!あの風ってどうやったんですか!」

「どんな特訓してますか?」

「空間魔術使えるって本当ですか!?」

きらきらした目を向けながら、ちょろちょろ周りを着いてくるレオ。

「ちょっと落ち着きなさい!一度に聞かれても答えらんないわよ!」

「あ、すみません!俺、実はフレアさんに憧れてたんで」

レオは照れくさそうに頭をかく。

……なんか、ルークに似てるわね。

でも、レオの方は大型犬って感じね。飛びつかれたらそのまま押し倒されそうな勢いがある。

跳ねたオレンジ色の髪を見つめる。

……すっ

はっ。

うっかり撫でそうになったわ。何をやってるのよ、私は。

ぎりぎりで手をとめて、切り替えるように質問に答えていく。

「魔法に関しては説明が難しいわね。魔法って生まれつきの適性が大きいからどうしても感覚によるのよね。何属性が使えるの?」

「俺は、風属性が使えます!魔力が少ないのであまり役に立たないですけど……。

ミアは、火と水が使えて魔力も多いんで遠距離を担当してもらってます」

「なかなかいいじゃない。それに、風は一瞬だけ加速したり使い方次第でかなり便利よ」

首をぶんぶん振りながら、熱心に聞くレオ。

「冒険者にとって大事なのは、魔術ね。魔法と違って勉強すればだれでも使えるもの。

身体強化は使えるの?」

途端に、目を泳がせるレオ。ダンも気まずそうに首を振っている。ミアもダメそうね。

「しっかりしなさい!身体強化なんて冒険者必須よ!ミアも、遠距離だからって考えちゃだめよ。いざってときは自分の身を守れないとダメなんだから!」

ミアがびくっとして肩を震わせる、レオとダンも目をそらす。

「だって、難しいんすもん!あれ使いながら剣振ってたら頭がパンクしちゃうっすよ!」

……まったく。身体強化なんて、あのガイルですら使えるのに。

「甘えちゃだめよ。魔術は慣れなんだから死ぬ気で練習しなさい。できないと死ぬわよ」

頭を抱えて呻くレオに呆れていると、ミアが何か言いたそうにこっちを見ていた。

「どうかした、ミア?」

ミアは視線をせわしなく動かした後、おずおずと口を開けた。

「わ、わたし、魔力の操作が下手で魔法も魔術もうまくいかないんです……」

私は一瞬意味が分からなかった。さっきの魔法を見る限りミアは十分魔力を制御できている。むしろ新人としては上手い方だろう。

なのに、どうしてそんなことを――

悲しそうにうつむくミア。それを心配そうに見つめるレオとダンを見て気づいた。

ああ、この子は怖いのね。間違って仲間を傷つけるのが。

「それなら、思いっきり魔力を込めなさい」

困惑するミアに構わず続ける。

「仲間を傷つけるのが怖いんでしょ?でもね、あなたが魔物を倒さないと、結局仲間が傷つくことになるのよ」

「失敗したら、とりあえず叫びなさい。レオもダンも死ぬ気で避けるわ」

「ええ!?」

「えっ……」

レオとダンは急な無茶振りに驚いているが、ミアは笑っている。

これなら、きっと大丈夫。

ふたたび、歩き始める。レオが何か嬉しそうに言っている。ミアが隣で笑っている。ダンも半歩後ろで楽しそうに頷いている。

いいパーティね。二人とも、もう少しレオを落ち着かせられるともっといいけど。

後ろから三人を見ていると、一瞬だけダンの顔が曇った気がした。

私は前を向いたままダンの横を歩く。

「ダン。あなた、盾役向いてるわよ」

「そ、そんなこと……」

表情はわからない。でも、声は泣きそうだった

「……二人みたいに魔法も使えない。今日だって、最後はミアに助けられた。俺、臆病だから……。もし、また動けなかったら……」

私は空を見上げる。

「臆病なだけの人間は魔物の攻撃なんて一度だって耐えられないわ。あんたは自分を信じなさい。大丈夫、絶対二人を守れるわ」

「それと、ダンは結界魔術も覚えなさい」

「……えっ」

「人を護る魔術って難しいんだけどね。さっきの戦闘見てたら、ダンはできそうって気がしたの。私が教えてあげるから明日から練習よ」

街が見えてきた。前を歩いていたミアがにこにこと振り返った。

「私もフレア様みたいにかっこよくなります!」

「ちょっと、フレア様はやめなさいよ!もう貴族じゃないんだから!」

レオも勢いよく振り返った。

「え!?前は貴族だったんすか!?」

ああ、もう!めんどくさいわね!

「で、でも!助けてくれた時、きれいでかっこよくてお姫様みたいだったんです!だめですか……?」

控えめに聞いてくるのに、なぜか絶対譲らないという圧を感じる。

「もう!勝手にしなさい!」

「じゃあ!俺は姉御って呼んでいいですか!?」

「怒るわよ」

「そんな!」

「……俺は、フレアさんで」

「ダンはいい子ね」

やけになってダンの短く刈り込んだ焦げ茶色の頭を撫でてしまった。照れながらも、わざわざかがんでくれている。

大げさに悲しんでいるレオにもついでに手を伸ばす。なんだか顔赤いわね。暑いのかしら。

無理矢理空気を変えて、三人の背中を押して街を目指す。

王都の城壁が見えてきた。夕陽に照らされた白い壁が、遠くで黄金色に輝いている。

レオは相変わらず騒がしい。ミアはそんなレオを見て笑い、ダンも少し困ったような顔をしていた。

……今日会ったばかりなのに、ずいぶん楽しそうじゃない。

私は少しだけ口元を緩める。

「ほら、急ぎなさい、セリアが待ってるわよ」

三人が元気よく返事をする。

その声を聞きながら、私は王都へ続く道を歩いた。

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