いざ!
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決行当日
朝早くからギルドは賑わっていた。
扉を開けると
受付嬢「あ!ウィルさん!Sランク昇格おめでとうございます!!」
受付嬢がぱたぱたと走ってくる
そして手にはプレートと青い玉が握られている
受付嬢「もう皆さん向かわれてまして、こちらランク証明のドッグタグと、41層から入れるようになる鍵となっています。」少し急ぎ気味に説明してくれた。
ウィル「ありがとうございます!」
俺は首に貰ったドッグタグを掛け、町外れのダンジョンの入口へと向かった
聞いた話によると昔は1層から歩き直しだったそうなのだが、とある魔法使いが面倒との事でダンジョン横に階段を作り41階層のダンジョンの穴に壁を開けたそうだ。
ダンジョン壁は恐ろしく固く以後だれも壁に傷を付けられたものは存在していないらしい。
ダンジョンの入口が見えてきた
「こっちよ」ハッキリと物を言いそうな声が聞こえてきた。
ベリーさんとメービーさんそしてヴィッターさんが居た。
ベリー「あんたもSランクおめでとう」
ウィル「皆さんもおめでとうございます」
皆同じプラチナに輝くドッグタグを首から下げている。
メービー「みなさん、早速ですが、用意はいいですか?」
ベリー「誰に聞いてるの。あたりまえでしょ」
ヴィッター「問題ないわ」
ウィル「行けます。エスケープの準備も出来ています」
ベリー「あんたって意外と慎重よね」
そうならざるおえないのだ。
全ては師匠を目の前で失ったあの日、あの日に見た光景が目から離れないから。
また失うのでは無いかと。不安で仕方がない。
ただ、それと同時に
ついに師匠を助けられるという希望を抱いていた。
そして俺は無意識にペンダントを握りしめていた。
ヴィッター「ウィルさん?そのペンダントがどうかしましたの?」
心配そうに顔を覗かせる
ウィル「この先に、居るかもしれないと思うと、少し…怖くて」
ヴィッター「大丈夫ですよ。私たちがいます。」
メービー「そうですよ、秘策もありますし」
ベリー「秘策ってあのでかい光のこと?」
メービー「ええ、そうです。では、早速ですが行って見ましょうか。危ない時は自己判断でエスケープをお願い致しますね。」
重厚な鉄の扉が開かれる
俺達は足を進めた。
41層
ベリー「ここが41層なわけ?」
ヴィッター「なんといいましょうか」
ベリー「1層と全く同じ!?」
ヴィッター「多少紫色に染まっている位ですわね」
見たこともない紫色に染まった草が生い茂っている
ベリー「いくわよ」
恐る恐るベリーは足を踏み入れた
ベリーさんの足が草に触れた瞬間身を翻し
ベリー「みんな待って!これ毒よ。私は耐性があるから効かないけど、あんた達は?」
ウィル「ありません」
メービー「同じくありません。」
ヴィッター「お時間を頂ければ、皆さんにかけることが出来ますわ。」
ウィル「お願いします」
ヴィッターさんは祈り始める
ふわりと微かな光がヴィッターさんの周りを舞い
俺たちにその光が着く。
ヴィッター「プロテクト」
ヴィッターさんの足元にひかりが集まり散っていった。
ヴィッター「終わりですわ」
ウィル「ありがとうございます」
メービー「美しい魔法ですね」
そう言われてヴィッターさんは静かに頬を染めた。
ベリー「もうっ!行くわよっ//」何故かベリーさんも赤くなっている
次の階段へ向かい進んでいると
足に突然何かが引っかかった
紫色のツタ?のようなものだ。俺は足でちぎって進む。
進むにつれ足が重くなる。
いや、重くなっているのでは無い
メービー「これは、ちぎるほど強くなっていく品種のようですね。燃やしてみましょうか。」
メービーはツタが足に絡まっている状態で杖を立て呪文を唱え始めた
メービー「ファイア!」
瞬く間に緑の炎がツタを燃やし始める
メービー「今です!走り抜けましょう!」
俺はベリーさんを抱え俺たちは一斉に駆け出す
ベリー「メービーありがとう」
ヴィッター「流石ですわっ」
ウィル「ありがとうございます」
メービー「いえいえ、次の階もこの手法でどうでしょうか?」
ヴィッター「賛成ですわ。」
ベリー「まだ早いわ。次の階見てからにしましょ」
42階層
下には先程の紫色の草が生い茂っているのは変わりないが、
上には20階層のボスが5体ほど飛んでいる
メービー「これは…」
ウィル「唱えている間は俺が護ります。」
ベリー「私はアイツらを倒すわ」
ヴィッター「あまり離れないでね」
ベリー「ふんっ。動かなくても倒せるわよ」
メービー「では、行きましょう」
俺たちは前へと進む。
案の定ツタは足に絡まり
空からは虫たちが飛来してくる
メービーさんは呪文を唱え始める
ウィル「防護」
ベリー「こっち来なさいよっ雑魚!」
ベリーさんの方向へと一斉に虫たちが群がる
ベリー「そのまま散るといいわっ!」
赤い炎と共に盾が変形し炎を纏った剣が現れる。そしてそのまま虫たちの頭を一気に切り落とした。
メービー「ファイア!」
俺はベリーさんとメービーさんを抱え駆け出す
ヴィッターさんも呪文が聞こえたタイミングで駆け出す
ベリー「ナイス」
ヴィッター「この先も余裕そうですわね」
メービー「油断は禁物ですよ」
43階層
生い茂っていたはずの草は全てツタに変わり
飛んでいた虫はゆらゆらと動く光の玉に変わっていた。
メービー「これは。まずいですね。僕は役に立てそうにありません」
ヴィッター「私もですわ」
ウィル「どういうことですか?」
メービー「魔法は精霊の力を借りて発動するものなんです。特に魔力消費を抑える場合は必ず必要になります。」
ウィル「つまり、僕は使えるということですね」
メービーさんは目を丸くする
メービー「どれ程の魔力量であっても、精霊の力を使わないのは自殺行為です」
メービーさんの目は真剣に俺の事を心配してくれている
だが、俺は何度も魔力を失っては回復させることを繰り返してきた。そして、いつしか当たり前に魔力を全て失っては瞬きほどの時間で回復するようになっている。
ウィル「大丈夫ですよ。俺、魔力量だけは沢山あるんです。任せてください」
全てはあの日の後悔を無かったことにするために。
俺は足を踏み出した。
光の玉は俺に集まり魔力を持っていきたいのだろうが、防壁に阻まれ叶わないと知ると暴れ回っている
その攻撃とも呼べない可愛らしい体当たりを他所に、ツタへの対処を始める。
ツタは再生する際に太くなるようだった。
つまり、上を歩く分には問題ないということ。
俺は反対側の次の階層へと続く階段の入口に立ち
「防護」俺は足場を作った。
ウィル「さあ!皆さんこちらへ!」
空をトンネルのように囲った防護で橋をつくる。
メービーさんが珍しく走り抜け、俺に駆け寄り
俺の両肩を掴むと「今すぐ!解除を!!死んでしまいますよっ!ウィルさんっ!」
ウィル「大丈夫ですよ。これくらい。」
安心させようと砂時計をみせる。
砂時計は全て空になっているが、これは逆から見た時の話だ。
メービーさんから見れば満タンだ。
砂が戻り始める前に懐にしまう。
メービーさんは口をあんぐり開けて
「減ってない…お見逸れでいたしました」
その後ベリーたちが到着したと思うが…
魔力切れで意識が途絶えた。
ベリー「ちょっと聞いてんの!?」
ウィル「ええ。まぁ。」
ベリー「次の階層からはあれ、やらないでよ!危ないじゃない」
メービー「ウィルさんは大丈夫だと仰ってますし
、お咎めはその辺に…」
メービーさんが間に入ってくれた。
ウィル「次に行きましょう」ははっと苦笑いをしてそのばを誤魔化し
俺はバレる前にそそくさと足を進める
44階層
広がる薄紫色のツタと泥のような異臭、加えて空を舞う精霊。
俺たちは同じ方法で進まざるおえないようだった。
ベリー「この泥みたいな異臭はなに?」
ヴィッター「恐らく甲殻系のモンスターの匂いかと。」
甲殻系…クレイブのことが頭をよぎる。
もし仮に、ここのツタの下が沼地だったら…
そしてそこから出てきたら…
俺の防護は橋にする都合上薄くなっている
どうしたものか…
探知は精霊がモンスター側な以上使えないだろう。
ウィル「メービーさん。魔力を他人に譲渡する方法はありませんか?」
メービーさんはじっとヴィッターさんを見つめ
「私と、ヴィッターさんであれば。可能です」
ベリーさんが顔を真っ赤にしている
こんな状況だと言うのに
加えて俺は条件に合わないわけだ…
ヴィッター「ウィルさんは探知魔法を使いたいのでしょう?」
ウィル「はい…」
ヴィッター「あのツタの下に何か危惧すべきモンスターが潜んでいると睨んでいるのですね。メービー!やりましょう?」
ヴィッターさんはメービーさんの手を握り
ヴィッター「もちろん、私が譲渡側ですわ」
メービーさんは固まっている
メービー「貴女を危険な目に合わせられない…。だから、無理です…」
ヴィッター「もうっ」
何故かヴィッターさんはメービーさんの背中を叩く。
ヴィッター「いいから、やりましょう。ウィルさん、ベリーちゃんちょっと後ろを向いて頂けますか?。」
何が後ろで行われているのだろうか。
ベリーさんが外套を丸め枕を作っている。
そして
聞こえるのはドサッと誰かが倒れる音と
メービーさんが呪文を唱え始める声だ。
俺は無意識にヴィッターさんを抱えあげ
ベリーさんが準備していた簡易的な枕に寝かせる。
メービー「特に異常は見受けられませんでした」
ヴィッターさんの近くに跪き
彼女の髪を静かに耳にかけた
そして俺を見て、ベリーさんを見てから
メービー「彼女が目覚めるまで一旦待って頂いてもいいですか…?」
ウィル「もちろんです。無理を言ったのは俺ですから」
ベリー「いくらでも待つわ。食料なら心配要らないわよ」
俺たちは階段と少しの踊り場のスペースで簡易的な寝床を作り各自そこで持ってきた携帯食をつまみながらいくつかの時間を過ごすした。
次回も楽しみに!




