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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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7.部活動ですわ

 学園でなにを教えているのか。


 無属性と呼ばれる、魔力そのものの扱いをベースにした魔法がその一つです。


 この無属性は、自身の属性――これからは属性魔法と呼びましょう――とは関係なく魔法使いならだれでも扱えるのですが、自身の属性と比べると効果も修練効率も低いとされています。


 なぜそんな魔法を教えているのかというと、各々の属性のついて共通して学ぶことがないから、ではなく。


 どこの家も秘伝を学園に提供しようとしなかったため、当たり障りのない無属性しか集まらなかったからということのようです。


 しかしその結果、無属性魔法の研究が進み、属性魔法の半分……三分の一……まあ当初の評価と比べると相当効果と効率を上げることに成功しています。

 そして一部は属性魔法にフィードバックできる技術も生まれ、それをもって学園は成功した政策であるという評価を受けています。



 一方、属性魔法に対して全くアプローチがないかというと、そういうわけでもありません。

 そのうちの一つが部活動です。

 秘伝にしたい技術とは別に、共有したい技術もあったのです。

 あるいはぜひ知りたい技術もです。


 そういった技術を共有する場として、自発的な活動を行う部活動が生まれたとのことです。入学資料からの受け売りと、わたくしの推測を合わせた結論です。



 盾の魔法を学んだ放課後。

 わたくしはハナを連れて、園芸部を訪ねることにしました。

 早速ハナが目的の人物を見つけ、声をかけます。


「お姉様。ルリお姉様」


 校舎から少し離れた敷地に、なかなかに広い範囲の花壇、畑? が広がっていることは入学式の日に知っていましたが、実際に見ると壮観です。

 校舎の面積と同じくらいはあるでしょう。

 園芸部はかなり力のある部活のようです。


 そこで訪ねたのは百花ルリ。うちのハナの姉にあたる方です。わたくしたちの二つ年上。

 作業用らしい衣装を身につけて準備をしていたらしいルリは、まず驚いて、そして嬉しそうにふにゃりと笑いました。年上ですが可愛らしい方です。


「あら、ハナ。それにミルカ様。ご無沙汰しております。園芸部を見に来てくださったのですか?」


「お久しぶりね。ハナのご家族ですもの。ご挨拶をしなければと思いまして」


「これはありがとうございます。妹も大事にされているようでうれしいですわ」


「百花さん、お客様かしら?」



 ルリと挨拶を交わしていると、ルリと同じ格好の女性が近づいてきましたのでひとまず軽く会釈します。


「ああ、磐座部長、おしゃべりをしていて申し訳ありません。こちらわたくしがお世話になっております風車伯爵家のミルカ様でございます。ご挨拶にお寄りくださいました」


「お初にお目にかかります。風車伯爵家のミルカと申します。この度入学いたしました。部のお邪魔でなければ見学をと思いまして参りました。素晴らしい花畑をおつくりのようでお見事でございますわ」


 磐座というと、特別な名前です。

 学園では基本略式礼という規則があるので、本来ひざまずくべきところですが胸に手を当て、頭を下げるにとどめます。心臓は魔力の源泉とされ、ここを抑えるのが礼儀なのだそうです。歴史的な詳細はよく知りません。


「それから、そちらに控えておりますのはわたくしの侍女を務めております、百花男爵家のハナにございます。そちらのルリさんの妹にあたります。ハナ。ご挨拶を」


「お初にお目にかかります。百花ハナと申します」


「ミルカ様、こちらは園芸部の部長であり磐座公爵家のルビエラ様でございます」


「どうぞよしなに。もう少し略式でもよろしいのよ。この時期は皆緊張していて可愛らしいわね。わたくしもそう見えていたのかしら」


 公爵令嬢はうふふと笑う。


「お二人は園芸部に興味がございまして? ああ、ごめんなさいそちらのお話は終わったの? もしそうなら是非ご案内したいわ」


 この国の貴族の頂点の一角はなかなか気さくな方のようです。

 あるいは、趣味の話になると早口になるタイプかもしれません。


 ルリがこちらの様子をちらりと見るのでわたくしは頷きました。


「はい、よろこんで――」


「ああっ、そうだわ! 風車といえば風力式揚水機の風車じゃない。いつもお世話になっているわ。あれは素敵なものね」


「先祖の誇りですわ」


 風車家はその名の通り、過去に風力式揚水機を発明したことで地位を固めた家なのです。

 突然それを思い出したらしいルビエラは笑顔が二倍になりました。

 先祖の功績は大事な財産ですが、自分で作り上げた物ではないので、褒められるとこそばゆいばかりです。


「ちょっとお待ちなさい!」


 と、そこに割り込む声が。

 公爵令嬢との会話に割り込むとはなかなかの蛮勇、と言いたくなるところですが、わたくしこの声には覚えがありました。


「ミルカちゃん! なんで私に先に挨拶に来ないの! 待ってたのに!」


 それは空から降ってきて、わたくしたちの前に立ちはだかりました。


「あら、風祭さん。ごきげんよう。お知り合いなの?」


「磐座さん、ごきげんよう。ちょっとうちのミルカを叱る時間をいただけて?」


「あらあら」


 ルビエラが楽しそうに一歩下がって許可を示します。


 そして小さな巨人がわたくしの前で仁王立ちします。この方はわたくしより小柄なのです。


「アリアお姉様、挨拶は入学の前日にしたじゃありませんか」


 風祭侯爵家のアリア。

 それが彼女の名前です。

 侯爵と公爵の差はありますが、四大名家と呼ばれ、地水火風の頂点の一角という立場で磐座公爵家とは同格と認識されている。それが風祭家です。

 同じ風属性の家ということもあり、入学前から付き合いの深い相手です。

 どうやらルビエラとも懇意にしている様子。まあ同い年で四大名家同士すからね。


「いやなのー! 寂しいでしょう!」


 そしてやたらわたくしを気に入っているという態度を見せる方です。呼び方も彼女に指示されました。

 実際に抱き着いてきました。

 そして。


「人目があるところで懇意にしていることを示さなければ意味がないのよ? 万が一にも反目していると思われたら大変なのだから」


 抱き着いた耳元でささやかれます。外に音が漏れないように魔法まで使って。


 なかなか癖のある方で、わたくしも気に入っています。たまに面倒ですが。


「ああっ、申し訳ありませんでした」


 わたくしも大げさに振る舞ってアリアを抱き返しました。ぎゅー。

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