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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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6.学園は女学園でしたわ

本日は3話投稿しています。3話目。

 さて、わたくしは栄光の王国の王都にあります王立栄光の女学園に通っております。

 入学三日目、授業二日目。ピカピカの新入生です。


 前世の物語では共学が一般的でしたが、この世界では別でした。

 入学前に両親に尋ねました。


「学ぶべきことが異なるので分けたほうが都合がよいから、というのは建前で、無秩序に貴族同士の子が生まれることを避けるためらしい」


 ということです。

 前世で共学に通っていた記憶がある身からすると、貴族の貞操観念がみくびられているように思いましたが、社会秩序の水準の差もあります。


「貴族の婚姻は王家の許可が必要だからね」


 どうやら、ジャンルは異世界(恋愛)ではないようです。


「学園の設立目的は、各家が持つ魔法技術・知見を共有し国全体の力を底上げする。及び、生活を共にして結束を高め、人類として強靭になる。とあります。それならば男女も分断すべきではないような」


「ミルカ。これは暗黙の了解ですが、子女を王都に集めることを義務化したのは人質の面もあるのです。人質に出した多感な年頃の子女が勝手に子を生しでもしたらどうします? 管理責任を持つ王家は面目を失いますし、親である貴族としても受け入れがたいでしょう?」


 なんとも夢のない話だと思ったものです。


「ああミルカ、お母様が教えてくれたことは言いふらしてはいけないよ。お母さまの家だから言い伝えられていることだからね。そうだったのか」


 お父様に言われずとも、こんな話を言いふらしたりは……するかも? 釘を刺されてよかったかもしれません。ちなみに母は、約定魔法伯爵家の出身です。


「それにしてもミルカもそういうことに興味を持つ年頃になったか。相手を探さなければいけないな」


「まだ結構ですわ。お父様やお母様と一緒に居たいです」


「おお」「まあ」


 学園の話だったのに男女の話にすり替わっています。

 正直なところ、まだちょっと様子見をしたいところです。この世界の殿方についてリサーチ不足なので。価値観が違うのでこの世界の良縁がわたくしの幸福につながるかは難しいところです。

 それにせっかくおいしい食事が出るようになったのに、よそに行けば0からやり直しでしょう。準備してからでなければ……。



 ともあれ、そのような裏話もあり、思春期のわたくしたちが恋愛事から引き離されている……とはいうものの、そう言った話題が上がらないわけはありません。

 なぜなら思春期ですから。


 なんなら異性への幻想が残っているとも言えるでしょう。


 その証拠に、本日登校したわたくしを待っていたのは殿方についての話でした。


「ごきげんよう。昨日風車家の方から大変な音がしたと噂になっておりますわよ」


「あらごきげんよう。噂ですか?」


「迅雷卿がおいでになったのではと」


 教室について早々、この世界の衣装としては少々特異な、ひざ下スカートの古風な制服の少女が話しかけてきました。

 彼女だけでなく、クラス中から視線が向けられております。

 なるほど、噂になっていたというのは本当らしいです。


 迅雷卿というのは現在王都で憧れのまなざしを受ける殿方ナンバーワンの騎士。

 実力も当代一と噂される、雷属性の使い手です。

 主流にして四大貴族を構成する地水火風。

 王家を示す光。

 これとは別の属性も多数あり、その中の一つが雷属性なのです。

 威力と希少性で歴史に登場するたびに活躍している記録があるそうです。あれ、活躍した方が歴史に残っているだけでしょうか?


 その迅雷卿が我が家にやってきたという噂が?


「ミルカ様、おそらく……」

「そうね。皆様、期待を裏切って申し訳ないのですが、昨日の騒音は当家の魔法実験の失敗によるものですの。お恥ずかしい限りです。想定外に大きな音が漏れてしまったようで。お騒がせいたしました」


 わたくしは正直に答えました、

 教室からは失望のため息が漏れ聞こえます。


「そんなところだと思いましたわ。迅雷卿と言えば今は東の前線にいるはずですものね!」


 迅雷卿の動向を知っている方がいたようです。マニアかな?


「風車様を訪ねるようなこともあるはずがございませんわね!」


 おっ、ナチュラルにディスってきております。

 とはいえ事実その通りで、今まで迅雷卿が訪ねてくるようなことはありませんでしたし、そういう予定も聞いておりません。


「そうですわね、当家の領地が危険になるようなことでもあれば、応援に駆けつけてくださるかもしれませんが、そんな事態にはならないでしょうから」


 風車の領地が危険にさらされるとすれば、風筆頭の侯爵領が突破されているでしょうから、まずないことでしょう。そして人同士の争いであれば迅雷卿が肩入れすることもないかと思います。王家への忠義の厚い方という噂です。


 しかしそれを聞いた先ほどの彼女は、目をそらします。勝った。

 彼女の家は領内に現れた魔物の対処に手間取っていると聞いています。

 だれに?

 もちろん当家で確認している噂話からです。クラスメイトですから見直しておきました。こういう使い方をするためではなかったのですが。

 盗み聞き用の属性などと口にした以上、風属性の情報収集力はわかっていると思うのですが。


 ただ彼女は別にわたくし個人に対抗意識を持っているのではなく、誰にでも揶揄するような言葉を向けているのでそういう気性なのでしょう。

 そのうち痛い目を見そうですが……わたくしが口を出すより自分で学ぶ方が身につくような気がします。

 目に余るようなら考えますが、今は様子見ですね。


 どうもわたくし、前世の記憶のせいか上から目線になっているような気がします。

 意識して直すべきか、より活用していくべきか、これも結論が出ていません。

 知識は役に立つことも多いですが、前世は魔法がない世界でしたから間違った予断にもなります。

 一人で考えるよりは人を頼ったほうがいいのかもしれません。


 迅雷卿の話が再び盛り上がり始めた教室でわたくしは別のことを考えるのでした。

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