28.試行錯誤ですわ
ミルカですわ。風車ミルカ。風車ミルカですったら!
はい。
風魔法式ヒートポンプ魔道具の設計ミスが発覚しましたので、回収メモを取ることにいたしました。
アイデアと改善案を書いていきますわ。
まず熱力学の知識不足が挙げられます。
しかしそれは大体の所しか思い出せない以上実験で調べていくしかないでしょう。
次に、魔法はこまかいところをいいかんじに調整してくれていることがわかりました。
これは魔法を使う分にはよいのですが、魔法を使った物理的な装置を作る場合には気を付けなければなりません。
ファジーに調整されていた部分を補う必要があります。
魔法でできることを物理でやろうとしているのは、風属性の立場教化の為が一点、もう一つはコスパの向上です。
利益が出るほうを求めるのが人間の性。
ということもありますが、魔道具の維持には魔力が必要です。
供給方式はいくつかありますが、いずれにしても効率が悪いと魔法使いの本懐である戦いに関係ないというハードルを下げられません。
コストが低ければ、それくらいならまあ、といった流れで導入が進む可能性がありますのでそれを狙っているところはあります。
さて。
温度変化が想定に届かない問題。
考えられるのはまず熱交換の効率でしょう。今回素材として銅を使ったのはどうだったでしょうか。
ジョークではなく。
放熱。箱が熱を吸収し、外側から放熱していることは確かです。
熱を管理するのですから、熱効率を追求しなければならなかったのです。
これからそれを始めることになります。
素材については銅以外に適当なものがありません。鉄鍋より銅鍋の方が熱伝導率が良いという話を聞いた覚えがあります。また、鉄と銅以外の素材は、より高額になってしまいます。
わたくしが知らない素材を見つけるか、銅のままか。
いったん銅で。
もうひとつ。
熱を伝える媒体があります。
箱の中を循環する気体です。
液体は基本的に風魔法で扱えません。気化熱の利用も難しいでしょう。それに水は凍りますし、ほかの液体も心当たりがありません。
というわけで気体です。モデルとした魔法は空気を使いましたしね。
そのうえでほかにも候補があります。
窒素、酸素、二酸化炭素です。
これくらいならわたくしの技術で意識して分別可能なのです。
どれかに純化した結果熱交換の効率が良くなるとすればどうでしょう。
と考えて実験を繰り返した結果気づいたのですが、他の風魔法使いは窒素や酸素、二酸化炭素を認識していないのではないか。
少なくとも風車家の教育では触れられていません。
そうするとわたくしが全部製作に関わる必要が?
うーん、空気!!
しばらく時間をかけて進歩がありませんでした。
まあ、別の部分で効率化を図ればよいではありませんか。
ということで考えるところは箱の外です。
箱が熱くなるのは構造上仕方が無いでしょう。
ではそれを閉じ込めてしまえばいいのではないでしょうか。
熱を閉じ込めるで思いつくのは、まずは魔法瓶です。魔法と付いていますが魔法ではありません。
しかしあれは確か真空にしているのではなかったでしょうか。
真空。
できるかどうかでいえばできます。
地属性魔法で土を、水属性魔法で水を、火属性魔法で火を出したり消したりできるのは当然のことで、風属性魔法も空気を出したり消したりできます。
密封した後、中の空気を消せばいいです。
密封はガラス溶接で。
その内側も密封するのですから同じことです。
が。
箱から真空から箱はどうするのでしょうか。宙に浮いてますよね。
柱で繋げればいいですか。
ちょっとすぐ思いつきませんが考えて実験すれば何かあるかもしれません。
一旦候補で置いておきましょう。
次は断熱窓。
前世の自宅でも使われていました。
窓が二重になっていて、何か、カタカナの気体が中に入っていて断熱性が高いという説明があったはずです。
真空ではありませんが、間に挟むというのは手かもしれません。空気でもいいのかな。内部も空気、空気同士だと同レベルですね。
続いて発泡スチロール。断熱材として使われているのを見かけたものです。
もちろん石油化学製品はこの国にはありません。
ただ、仕組みだけなら流用出来ないでしょうか。
あれは要するに空気を石油化学物質的なもので包んで固定しているわけです。
空気が対流しなければ熱は伝わりにくいわけですね。
つまり空気がたくさん中にある物質であれば。
軽石とかどうでしょうか。あるいは地属性魔法で作れないでしょうか。
お菓子の泡だて器のように空気を含ませることはできませんか?
粘土ならいける?
ウインドストームでできないでしょうか。
他に断熱していたものとしては、冷蔵庫でしょうか
これはちょっとわかりません。分解したこともありませんし。
断熱とは違いますがひとつ思い出しました。
ヒートポンプと言えばエアコンです。
エアコンの中身を見たことがあるのですが、金属の薄い板が折り重なっていたのです。
あれは空気を温めたり冷やしたりするための部品だったはず。
そこで放熱フィンという単語を思い出しました。
どこで聞いたのかは忘れましたが。
フィンはヒレですよね。
そして結構な密度だったように思います。
あれくらいでなければ空気の温度を動かせない?
箱の中にああいったものを付けてみるのはどうでしょうか。
銅だけに。
冗談です。冗談ではないです。
あれはアルミだったのでしょうかね。銀色だったと思うのですが。
必要な金属の量が増えてしまいます。すると設置コストが上がりますね。
しかし魔力ベースで考えれば効率化です。
候補に入れておきましょう。
と、いくつか案が出たところで魔導部の皆さまに相談したところ。
「それなら魔物の素材を使ってはどうかな」
解決の糸口は魔法世界からやってきたようです。
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