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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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27.風羽アルナの興味

 自分の名前は風羽アルナ。

 風羽男爵家のアルナです。


 当家はどこにでもある零細男爵家です。

 そういった弱小の家では様々にお金を稼ぐ必要があります。

 家業だけでは維持するだけで賄えない。そんな家は数多くあります。


 目立つところでは魔物を狩る仕事、冒険者を自称する彼らの一人になる方も多いです。

 冒険者の役目を考えれば魔法貴族の子女が持つ戦力は充分に強力ですから、貴族くずれの冒険者はそれなりにいるようです。


 自分は性格的にあまり向いていないと思ったので別の道を探した結果、魔道具師を選びました。

 同じ選択をする方はどうやら多くないようです。

 いざとなれば戦闘をすることになるのだから、どうせなら率先して身に着けるべきという風潮はあると思います。


 過去に魔道具をいじる淑女は変わり者という風潮が出来ていたということもあるでしょう。


 そんな中あえてこの道に入った自分も変わり者なのでしょう。



 さて、学園に入学してからすぐに、自分は魔道具部に入部しました

 そして、少し遅れて風車さんが入部してきました。

 同じ風属性で、しかし伯爵家。


 伯爵家ならば魔道具に手を出す必要はそうそうないでしょう。

 もちろん、財政が厳しい家もあるのかもしれませんが。

 しかし風車家はそこらの伯爵家よりも稼いでいるはず。

 風力式揚水機の維持管理という家業があるのですから。

 国へのお勤めとは別の家業を持つ家は強いです。ねたまれて、本来の務めを軽んじているなどと噂されるくらい強いです。


 実際のところ、どの属性の家も魔法貴族の本来の役目、魔物の征伐だけでなく、国を成立させるのに必要なことを家業としています。

 無限の水瓶を作っている水属性の家や、畑に建築に大忙しの地属性。火属性も焼き物を作ったり、公衆浴場を運営したりしています。


 風属性は情報網を張ったり、伝令などを担っていますが、その速さは栄光王家の光属性に及ぶべくもありません。

 もちろん王家が下々のこまごまとした連絡などを運ぶようなことはありませんが、二番目という印象はぬぐえません。


 そういった事情ですから、風車家をねたむのはもっぱら同じ風属性の魔法貴族だったりします。

 大変ですね。



 ともあれ、財政面の都合でないのなら、輝石部長のように趣味でしょうか。

 そんなことを思っていると、最初にやったのは飛行部からの依頼のもちこみで、次は自習でした。


 驚くべきことに、入学前に魔道具を学んでいないのにも関わらず、魔道具部に入部したというのです。


 普通は、というほど例が多いわけではないですが、いま所属している先輩方は、皆入学前から魔道具作りに触れている方ばかりでした。

 一からというのは六人目にして初めてということになります。



 しばらくすると、初歩的な魔道具を作れるようになっていました。

 使い捨てで、魔力を通すと初歩的な魔法を使えるものです。他属性の魔法が必要なことがあれば便利なこともありますが、大抵たいしたことはできないので他属性の魔法使いを連れていく方が簡単です。


 それはともかく、作れるようになったということがすごいことです。

 魔法を見せてもらいましたが、その制御技術が特に優れていました。精密な操作や同時使用の練度がとても高い。

 自分では及ばない水準にあるのです。

 これが魔道具制作の基本にいい影響を与えていることは確かでしょう。


 一方で性質付与や変化はあまり得意ではないようです。

 だからああいったものを思いつくのかもしれません。



 というのは、風車家の新しい魔道具を作ると言って協力依頼をしてきたあの魔道具の件です。


 それがどういったものかと言えば。


 魔法を使って魔法を使わない方法で熱と冷気を生み出す魔道具なのです。


 王国語大丈夫かと心配されそうですが、言葉通りなのです。


 多くの魔道具というのは魔法を再現するものです。

 無限の水瓶などは有名で身近でわかりやすいでしょう。

 水生成の魔法を維持し続ける魔道具です。


 しかしそれ以外の魔道具はほとんどが戦闘用です。

 直接攻撃する魔道具、炎の杖など。

 強い風を起こす風の扇。ブレスや毒ガスをまかれた際に役立ちます。

 地面を盛り上げて緊急の遮蔽を作ったり、陣地を作るのに使える城塞の玉。

 使い捨ての物から長い間起動し続けるものまであります。


 そうなるのはなぜかと言えば、魔法貴族の役割が戦いにあるから。それ以上の理由があるでしょうか。

 魔物はびこるこの世界で、人類が生き延びているのは魔法貴族が魔物を間引いているからです。

 それがもっとも重要なのです。


 魔法貴族はそう信じています。少なくとも実際に、一年の半分は魔物征伐を行う義務があるのです。

 それは当主が中心となって行うわけですから、死なれては困ります。

 なので魔道具を作り助けにするのです。


 そんな中、風車さんが作ろうとしている魔道具はあらゆる意味で異質でした。


 戦い以外のことをしてはいけない、と言いたいわけではありません。

 地属性や水属性も、畑で食料を生産したり、水を確保したり、戦い以外の活動をしています。

 四大以外では戦いが苦手な属性もあります。


 ただ、風車さんが異質であると。

 その考えと、作り出そうとしている者が、一体何をもたらすのか。

 風力式揚水機のように受け入れられるのか。

 それともなにものにもならずに消えていくのか。


 今の自分の興味はそこに向いているのです。

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