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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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26.そんなーですわ

 衝撃の真実が明かされましたがミルカは元気です。


 よくよく考えると、普段使っている陶器も火を使っているはずです。


 似たような手触りの壁の処理についてなぜ気づかなかったのか。


 それはさておき。


 このたびは大小ふたつの箱を用意していただきました。

 輝石さんにお願いして作ってもらったのです。


 圧縮土レンガはレンガとは言いますが、前世でイメージしていたような小さなものだけではなく、城壁ような大きなサイズもあれば、食器などにも使われており形状や大きさはある程度自在です。

 中空の箱型に作ってもらい、必要な穴もあけてもらっています。


 焚火さんに表面加工できるか尋ねたところ、可能だがまだ半人前なので失敗があるかもしれないとのこと。

 それならばちょうどいい練習にしていただいても構わないということで、表面を加工していただきました。艶消ししていないので光を反射します。鏡とはいきませんが日光を反射したらまぶしいでしょう。


 それから二つの箱に通すための銅のパイプを用意しています。

 熱と冷気を取り出すための、箱の内部とは独立した空間を作るための物です。

 隙間は一旦粘土で埋めます。完成品では溶接する予定です。


 金属は貴重なのですが、熱伝導性を考えて思いついたのが銅でした。

 この国では鉱業が発達していないのです。魔物がいるので。

 鉱石を食らう魔物を倒した際の戦利品や、そういった魔物がわんさかいる巣に潜って採掘するか。あるいは鉱族と呼ばれている人種と取引するか。

 そういった、限られた入手手段しかないため貴重な銅を使うのです。

 とはいえ、金属の中では需要が少ないのでましな方だったそうです。お母様が大事に使うよう念押ししてくる程度でした。

 魔法があるので鉄の加工が前世よりも容易らしいですね。


 そんな銅パイプがどれほど活躍するか。期待しましょう。



 水が沸騰しないギリギリの温度を取り出すのが一旦の目標です。

 沸騰するとためておくのが大変なので。

 この世界の水の沸騰温度が百度かどうかわからないので実際に沸騰する温度を確認してから少し下げる方向に調整する手法をとります。


 大事なのは大小の箱の体積差。

 大きめに作っていただいたので、調整するには穴からレンガを突っ込んで体積を減らします。



 まあその、箱を作って実際に動かしてみながら微調整していくスタイルということです。

 事前に計算しろと思う方は多いと思いますが計算式とかわかりませんのでね。



 そんなわけで装置が組み上がりましたので改めて描写いたします。


 大小の箱がありまして、向かい合わせに置いてあります。

 向かい合う面に上下二つずつの穴があり、これは後で風魔法でつなぐ循環用の穴です。体積調整箱の穴から行います。


 どちらの穴にも箱内部とは遮断されたパイプを通しており、ここから温水と冷風を取り出すことになっています。

 今回は少し伸ばした先に木のふたを付けて一方を閉じ込め、もう一方は半分だけ蓋をして中の様子を視認可能にしました。


 ここに水を注いで装置を稼働すれば外から変化を見ることができるはずです。



「ということで、こちらがお湯になり、こちらが氷になれば成功です」



 組み上がった装置を前にわたくしはそう宣言しました。


「おー」


 一方皆様のテンションはそこまでではない様子。


 履修外の趣味の知識を語る人に会ったような雰囲気です。

 ちょっと心が痛いですね。泣きますよ?。


「なにはなくとも、動かしてみましょう」


 涙をこらえ、稼働してみます。



 ……………………。




 なかなか変化がありませんねえ。






「あ、湯気が出た」


 皆様が飽きてきたのでおやつを持ってきてもらい、おいしくいただきながら部活で携わっている魔道具の雑談などしていると、風羽さんがポロリとつぶやきました。


 様子を見に行きますと、確かに、湯気が出ているように見え……見え……。


 指を突っ込んでみました。


「熱……いというほどではないですわねえ」


 四十度くらいでしょうか。

 お風呂にちょうどいいくらいまで。

 冷箱のパイプも確認しましたが凍っていません。冷たくはあります。


「ふーむ」


「機能はしているが、出力が不足しているようだね」

「風でこれを起こしているのなら、風を強くしてみてはいかが?」

「この箱もこっちは暖かく、こっちは冷たくなってますわね」


 皆様それぞれに装置を調べて報告をくださいます。


 わたくしとしても思うところがありました。

 箱が熱くなっているという点。

 魔法で構築した装置と最も違う点はそこでしょう。

 箱が熱を吸収しているのではないか?

 そして吸収した熱は箱の外側に放熱していないか?


 放熱速度よりも熱を多く生み出せればどうでしょう?

 そう、風を強く……。



「皆様、本日はありがとうございました。これを使って実験をしてデータを取ることにいたしますわ。また後日のお休みにお付き合いしていただけますか?」


「もちろんだよ」

「おやつおいしかったですし、いつでも呼んでください」

「おもしろいものを拝見出来ました。完成が楽しみです」

「わたくしも練習しておきます」

「その、落ち着いて気分転換などもしてください」



 ということで解散いたしました。


 そう、方向性は間違ってないのだから、見落としと非効率があるそれだけ。修正をくり返せばできるはず……。

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