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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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24/31

24.風のように去り、契約を結びますわ

 次のおやすみ。


 風車家に魔道具部とアリアがやってきた。


「先触れが来た時は驚きましたわ」


「いやー、ミルカちゃんちに遊びに行くって聞いたからさ」


「ともあれ皆様、お座りになって」


 用意しておいた応接室に皆様をお通しします。

 皆様が着席すると、お茶とお茶請けを用意していたハナたちが動いてすぐに場が整います。


 お茶請けは、あれから料理人がブラッシュアップして完成度が増したスイートポテト風のおやつです。見た目にも凝っていて、葉っぱ、花、風車(家名ではなく風力式揚水機のほう)などを模しています。


「あら、素敵ね」「器用なものだ」「かわいいです」「いい匂い……」


 などなど掴みはよろしい様子。

 勧めると、口にした皆様は驚いて、それから思わずすぐに食べてしまって、自分の分がなくなったことに絶望しています。


「おかわりありますからよろしければどうぞ」


 この変わり者メンバーが同じ反応をするのですから、我々は甘味のパワーに勝てない運命なのかもしれません。

 砂糖があればもっとバリエーションを増やせるのですが。



 さて、一息ついたら本来の目的の話です。


「本日の本題ですが、遊びではなく事業の相談なのです」


 主に部外者のアリアにそう告げると、アリアはわかっているというように頷きました。


「その話のうち、技術証明の件よ。四大貴族に噛ませなさい。王家でもいいのでしょうけれど、味方にするのは大変よ」


 アリアは情報収集していることを隠す気も無いようです。

 四大貴族とは、つまり地水火風のトップの四家。アリアの風祭魔法侯爵家や、園芸部部長の磐座魔法公爵家を含みます。

 水は水鏡魔法公爵家、火は火伏魔法侯爵家です。


 前世の感覚だと、どこかスピリチュアルな雰囲気を感じる家名ですね。


 権威としては栄光王家が当然トップですが、四家合わされば王家に勝るとも劣らないでしょう。

 なんせ貴族家の半分以上は四大属性に属し、それらの家を取りまとめる役割を追っているのですから。


 四家ににらまれれば村八分になってしまいます。



「助言ありがとうございます。……そんなにですか?」


「わかって言っているわね? 構想が固まったら私のところに持って来なさい。他の家に紹介します。話さえ通しておけばあとは大丈夫。……ところでミルカちゃん、これまだあるかなあ? もらって帰ってもいい?」


 冷汗が流れます。

 アリアはわたくしの頭の中を呼んでいるのでしょうか。そこまでではないか。

 感情? 精神状態?

 観察力が高すぎますね。心拍数でも聞いているのかもしれません。それなら風属性の範疇でしょう。ほかの候補としてはにおいか。あるいは魔力的な何かか。


 ともあれ、アリアはそこで満足したのか、急いで用意したお土産を持って「じゃーねー」と帰ってしまいました。

 用件はそれだけだったようです。


 一方的な要求に聞こえますが、じつのところどちらにも利のある提案です。

 強力な後ろ盾があるほうがリスク回避という目的は達成しやすい。

 もちろん利益は分配しなければなりませんが。

 証明書を発展させて、資格制度の雛型を考えて示すべきでしょう。あるいは特許制度の方向にも進められる可能性もあります。現状では時期尚早かもしれませんが……学園の理念が後押ししてくれるかも。



「相変わらず嵐のような方だな」


 輝石部長、いえ、今は部活中ではないですから輝石さんと呼びましょうか。

 輝石さんは同じ学年ですから、アリアの言動を見てきたのでしょう。


「お忙しいでしょうからね。まあ、わたくしたちはわたくしたちでやりましょう」


 同じく三年生の糸車さんは達観しているようです。




 改めまして、まずエリーゼお母様に頼んで作成した契約書にサインしていただきます。

 お母様は約定魔法伯爵家の出身なので、専門家なのです。


 守秘義務を取りまとめたものと、報酬について書かれたものを用意しています。

 契約を破ると、契約書にこいつが破ったという表示が出るようになっているため、前世の物とは比べ物にならないほど便利です。

 破れないよう拘束を与えるものや、罰を与えるものもありますが、今回はマイルドな契約ですね。破った時の賠償は結構なものですが。



「え、こんなにもらえるのですか」


 二年の焚火さんが報酬額を見て驚いています。

 今回大人の専門家を雇ったのと同程度の報酬を用意しています。お休みの日に拘束するのもありますし、期間がそれなりに長くなることも予想されるので。


「わたくしの誠意ですわ」


 と言いつつも、こういうのはケチるとよくないものです。

 モチベーションとモラルは一致しやすいもの。

 そしてモチベーションは報酬から生まれるのです。


「私はこんなに要らないが、渋れば皆が受け取りにくいか。ありがたくいただこう」


 興味の方が優先らしい輝石さんは部長らしくみんなのことも意識しています。


 そんなことがありつつ、全員から署名をいただきました。効果が発効されます。


「お手数をおかけしました。それでは次は。そうですわね、まずは試作の仕様から説明させていただきます」



 こうして、風力式冷熱魔法構造(仮)の魔道具化プロジェクトが始まりました。

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