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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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18.一か月過ぎましたわ

 学園入学から数日はなかなか濃い時間を送っていましたが、なんだかんだと学年はじめというのは過ぎるのが早いものです。


 新しい環境、新しい行動、新しい人間関係。

 あれやこれやと順番にやってくる小さなことを積み重ねていくうちに、時間は経っていくものです。

 あっという間に一か月がたちました。


 わたくしの近況ですが、私生活は順調、魔法貴族としてもまた順調といったところです。


 クラスメイトに友人ができました。

 家の爵位の都合、クラスカースト上位のような立ち位置にいます。

 うちのクラスには公爵家も侯爵家もおりませんので、伯爵家の寡頭制のような形になるわけです。

 これは将来を考えれば慣れていかなければならないでしょう。

 いえ、婚姻関係を考えれば立場が変わる可能性もありますが。


 皆様、現在と将来で立場が変わる前提は頭にありますし、礼儀作法の授業でもそういったことを扱います。


 おめーら将来義姉妹やなんなら同じ相手に嫁ぐこともあるんやぞ。そん時めっちゃ気まずいけえ、喧嘩するにも加減っちゅうもんを考えや。禍根残したらいけんぞ。


 要約するとこんなところです。先人の心温まる体験から来る助言ですね。

 理性的な方は無茶なことはしません。それが淑女クオリティ。


 そんな中、性格の相性などもわかってくれば、いえのことは置いておいて仲良くする相手も出てきます。

 毎日会って挨拶する仲になれば、本当に仲良くなってくるものです。

 過去の学園政策提案者の狙い通りですね。


 逆にあわないなと感じる相手もいますが、ほどほどに付き合っていけばいい。


 もちろん諍いが起こることはあります。

 そんなときは、伯爵家のわたくしたちが仲裁することもあります。

 わたくしたちが当事者になった場合はまた違った解決方法をとることもあるのですが。


「風車さん。今日こそは決着を付けますわよ」

「まあ、決着だなんて。毎回つけているではありませんか」


 初日に風属性をディスったお友達とも素敵な仲を構築することができています。

 彼女は火属性の伯爵家の方で、負けず嫌いて他人にマウントとりたがる傾向があります。

 わたくしのようにおとなしく穏やかで理性的な大人しい淑女としては、彼女のような血気盛んな方と競い合うのは大変ですが、これも伯爵家令嬢の役目。


 そして、防御魔法の授業の実技練習の時間によく競い合っています。

 防御魔法でなにを競うか?


 それは盾魔法バレー(仮)ですね。

 木の葉バレー(仮)に続いて学園内で流行り始めています。

 スポーツの概念がまだ無さそうな世界ですので、魔法の練習を兼ねて楽しめる娯楽は受け入れられやすいのかもしれません。


 盾魔法バレー(仮)も複数制になりました。家では一対一ですが、やはり大勢巻き込む方が楽しいですからね。

 その時の参加希望人数に合わせて適宜調整する感じです。多すぎると窮屈なのでなんとなく最大六人になっています。


 渋い顔をする先生もいますが、ただ繰り返すよりは実践的でしかも意欲増進につながるということで黙認状態です。


 わたくしは一日の長がありますし、風属性魔法使いの得意分野でもあるので少々有利なため、勝ち越しています。

 しかしその差は小さくなっていのでしょう。

 お母様もハマっていて付き合っているので。簡単に追い抜かれるつもりもないですが。


 皆様の魔法の腕が上がってよいことですね。栄光の王国バンザイ。




 部活動についても、飛行部は毎日ではないですし、魔道具部はマイペースな活動方針です。特に問題なく交流と活動を進めています。

 風魔法の家同士の

 他に大きな部活である射撃部や家政部にも誘われましたが、これは辞退させていただきました。

 あまり多いと時間が足りませんからね。わたくしの身体は一つです。





 さて、そんなわたくしの最大の課題である、風属性の地位向上計画ですが。


 先を見越して魔道具についての勉強を進めていましたが、平行して別の研究も進めていました。

 それが本日、一旦の成果が出たのです。


「でもお父様の出立に間に合いませんでしたね」


 わたくしは、それに手をかざしながらつぶやきます。


 お父様は忙しい方です。

 つい先日、領地に向けて出発しました。領地ではしばらくブリーズ兄様と引継ぎをして、しばらくするとブリーズ兄様が王都まで来ます。

 交代の単身赴任のようなものです。次代のブリーズ兄様に経験を積ませつつ、当主としての役目も果たしているのです。

 お母様も王都と領地を往復するのですが、今はわたくしとゲイル兄様が学園に通っているために王都に重心を置いています。


 できればお父様が領地に向かう前に成果を出して相談したかったのですが、間に合いませんでした。

 まあ次に会うときでもいいでしょう。

 風属性の技術面でなければお母様だって頼りになります。両方いたほうがいいに越したことはないですが。


 ともあれ一旦完成したことに満足したわたくしですが、練習場にハナがやってきました。

 いえ、普段でも一緒だったり、食事の時間を伝えに来たりと出入りするのですが、本日は少々様子が違います。

 身近な相手ですから雰囲気でわかります。


「ミルカお嬢様! ……? 何かいいことがございましたか?」


「ええまあ。ハナも何かあったのではなくて?」


「はい! 一定の成果が出たと思うので、評価していただけたらと!」


「あら、ついに品種改良の成果が出たのですか」


 以前、花魔法による品種改良を示唆しましたが、その五わたくしがぽろっとこぼした言葉から、実際に品種改良と呼ばれるようになりました。


 詳しいことを聞くのが楽しみです。

 なぜならおいしいものが食べられそうだから。園芸部と言えば花より団子ですからね。


「ミルカお嬢様の方はどうされたのですか?」


「うふふ。この辺りに手を当ててみてくれる?」


 そういって手で場所を示します。


 すると。


「はい。熱っ……いえ、あたたかい? 温風の魔法ですか?」


「いえ、次はこちらを」


 少し離れた場所に誘導します。


「ひゃっ!? 冷たい……?」


「これも涼風の魔法ではなくてよ」


 わたくしの言葉に、ハナは小首をかしげるのでした。

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