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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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17/22

17.人気の秘密ですわ

 魔道具部は人気がありません。

 園芸部や飛行部は何十人もいますが、今年度はたったの五人。わたくしを数えても六人しかいません。

 その理由の一つは、この学園と同じところにあります。



 各属性の魔法の中でも重要なものは各家で秘匿しているためです。

 魔道具は大まかにいえば魔法を道具にしたものなので。

 秘匿しているものを魔道具にしたりはしないのです。


 そして、必要なら自ら作るものなのです。制作方法? 秘伝です。

 なぜかと言えば、基本戦闘に使うものだからです。

 手数を補う。とっさに使う。あるいは常時防御手段など。

 前世でいえば隠し武器のようなものでしょうか。他にマンガ雑誌をおなかに巻くとか。

 奥の手を公開するのはナンセンスです。防御面を考えれば穴を見つけられて狙われてしまいますし、攻撃面を考えればピンポイントで対策されます。

 自ら作り出すか親から教わるかとなるわけです。



 次に、魔道具反対派の存在です。

 魔法を道具にしてしまうと、誰にでも使えるようになります。道具というのはそういう物。

 そうなると魔法使いの価値が相対的に下がります。

 高度な魔法の魔道具化は難しいので、簡単な魔法が魔道具にされやすい。

 するとどうなるか。

 簡単な魔法で食い扶持を得ている魔法使いの仕事がなくなります。

 だから魔道具の汎用化、普及は反対されがちです。

 もう一つ言えば、道具に頼るのは甘え、みたいな空気もあるようです。

 自作の防御魔道具はセーフの思想から、全部アウトという過激派まで。



 わたくしとしては、生与の属性という制限があるのですから、それでできる穴をほかの属性の魔道具で補完していくべきだと思うのですが。

 社会というのは難しいようです。



 続きまして、ライフプランの都合です。

現在のこの国では淑女は結婚すると家を守る役目を負うというのが一般的な認識となっています。

 これが実は結構大変なのです。

 魔法伯爵夫人となると大企業の支社長くらいには大変なのではないでしょうか。

 そうなると魔道具なんて作ってる余裕がないのです。

 ということは、女学園で魔道具制作の腕を上げることの価値が下がる。

 また、より高位の相手と結ばれることを目指すなら、自家の秘伝に抵触する技術は持っていない方が良い。

 その家独自の魔道具の製作法なんてものを身につけていたら家の外に出せません。

 家に仕える家に嫁ぐとか、そういう形になるでしょう。


 そうなると人気が出ないのもうなずけます。

 男学園の魔道具部の方が規模が大きいと聞いていますから、このハードルはなかなか大きいのだと思います。



 なので、魔道具部に所属するのは変わり者ばかり。

 趣味か、必要か。

 そして作り出されるものも限定的となるわけです。



 わたくしは便利な道具に囲まれた前世を生きた記憶があるので、実のところ魔道具の自由化が人類の発展に寄与すると確信しているのですが、成し遂げるには相当な実績が必要でしょう。

 あるいは自分以外の魔法使いのほとんどを敵に回す覚悟か。


 そんな覚悟はいまのところないので地道にやっていくしかありませんね。




 そしてそんな変わり者集団に所属したいと告げてアリアに恐ろしい笑顔で詰められたあとで兼部を認められ、魔道具部を訪ねたわけです。


 当家の初代あこがれていると言えばだいたい通せると踏んでいました。

 先祖の功績を否定するのは貴族社会ではタブーなのです。


 自宅では前述の理由もあり、魔道具を学ぶのはあまりいい顔をされないのです。

 風力式揚水機は重要な利権なので。

 嫁ぐ想定のわたくしにはね。頭が固い家人や家臣もいるもので。



 ということで、授業より早く、初歩から学ぶつもりだったのですが、早々に自分が持ち込んだ案件の検討に参加することになりました。


「背負い鞄の形状はどうです?」

「羽属性系ののフェザーフォールや、花属性系のリーフフォールを採用するのはどうだろう」

「頭に付けると首が折れませんか」

「範囲を広げれば」

「やはり常時発動は、急降下の邪魔になりそうですね」

「障害物に急接近するときに感知するのは」

「布よりも金属を使う方が安定するでしょうか?」

「たての魔法の応用はどうです?」

「魔石式にするか魔力消費する仕様にするか」

「飛行用と訓練用は別に作ってもいいのでは」


 思い付きを口々に言い合います。

 意見はメモして置いておきます。

 ブレインなんとかいう前世で聞きかじった手法に似ていますが、魔道具部に伝わる伝統的なアイデア出しの方法だそうです。


「伝家の秘伝手法を使うわけにはいかないからね。何もないところから形を作った証拠と、柔軟な発想を鍛えることができる」


 と伝わっているそうです。

 技術者の執念でしょうか。

 あるいは過去に誰かが伝えた?


 ……前々から感じてはいたのです。この世界にはわたくし以外にも転生者がいるのではないかと。

 怪しいのは風車の初代。

 学園の制服を決めた人物。

 魔道具部の伝統は、偶然思いついてもおかしくありませんが。

 この中では制服のデザインが最も異質ですね。

 とはいえ料理などはあまり発展していません。転生したなら気になるところだと思います。


 とはいえ、一旦関係ないので置いておきましょう。

 そのうち手掛かりを見つけることがあるかもしれません。

 しかし今は魔道具にのことです。



 ともあれ、本日は据え置き用、個人携帯用、戦闘用の三つを設計することが決まり、さらに据え置き用から開発するという順番が決まりました、

 そしてわたくしは基礎教本を貸していただけることになりました。

 あいであだしはともかく、実際に開発する段階では、まだわたくしは力不足だということで。


 同じ一年の風羽さんはすでに開発に関われるようです。

 歯がゆいことですが、なんだって基本が肝心です。

 つまりはそれにかけた時間。

 わたくしはわたくしとして進むことにいたしましょう。

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