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風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


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14/26

14.落ち葉のようにですわ

 屋上から飛び降りるのは、スカイダイビングには低すぎます。


 落下にかかる時間はせいぜい一呼吸といったところですから、長時間詠唱する暇はありません。

 無属性における盾の魔法のように咄嗟に的確に対処しなければ落ちれば命がありません。


「単独飛行中、ミスや妨害によって落下したとき、命を救えるのは自分だけですわ」

「咄嗟にどうすればいいかを体に教え込まなければいけません」

「大丈夫。失敗しても、私達が怪我をしないようにギリギリで助けるし、下にはやわらかいマットを敷いてあるからね」


 これが飛行部の洗礼ということですかッ!


 と心の中で驚いて見せましたが。

 家によっては同様の訓練をすでに行っていることでしょう。

 こうして学園の飛行部で堂々とやっている訓練ですので、風属性の家であれば皆知っている知識です。

 学園で娘が粗相をしないよう、あらかじめ経験させておくのはおかしなことではありません。


 わたくしはすでに地上で順次落ちてくる皆様を眺めています。


 落下訓練ははじめは怖かったですが、慣れれば遊園地の落下系アトラクションとそう変わりません。

 入学時点で履修済みだっただけなので自慢にはなりませんが、現在のわたくしは問題なく落ちて、風で受け止めて着地出来ます。

 この風で受け止めるという技術を進めると、前述した一つ目の飛行手法に行きつきます。


 落ちる時のひゅっとする感覚は、好む方と苦手な方がいるでしょう。

 高所の時点でダメな方もいるかと思います。

 幸いと言いますか、わたくしはなんとかと煙のように高いところ自体はばっちこいでしたので、その点に関しては適性がありました。

 落ちるのはまた別の問題で、自身の技術で受け止められる確信があるからこそですが。



 初落下を経験した方も、キャッキャと喜んでいる方もいれば、ぶるぶる震えている方もいます。

 自然と二つに分かれていきます。喜んでいる方同士で感想を言い合うからですね。

 中には先輩の魔法がすごいと喜んでいる方もいらっしゃいますが。


 飛行部に入部を希望した以上、空を飛びたいはず。

 ですがやってみると恐ろしかったという方もいるわけですね。

 わたくしも初めは怖かった側でしたから、すべてとは言わずとも気持ちはわかります。


 わたくしは近くにいた、怖くて自信を無くしかけているひとりに声をかけることにしました。クラスメイトで白風魔法男爵家の次女ですわね。


 落ち葉を一枚風で巻き上げ、ひゅるひゅるりと彼女の前で舞わせます。


「落ちるのは怖かったですわよね。わたくしも初めはそうでしたわ」


「風車様でもそうですの? あんなに楽しそうに着地していましたのに」


「それには秘密があるのですわ」


「秘密ですか?」


「そうですわ。あのですね。実は」


「実は?」


「絶対受け止められると自信がつくまで風の操作の練習をすごく頑張ったのですわ」


「えっ」


 わたくしは胸を張りました。

 今世で成し遂げた成果の一つ。

 解決策、ものすごく頑張る。スポ根ですわね。


「うふふ。すごいドヤ顔ですわ」


 笑われましたわ。


「まあ、笑うなんてひどい……」


 およよと大げさに悲しむふりをします。

 すると彼女はさらに笑顔になりました。ヨシ!


「こうやって練習したのですわ」


 先ほどからまわせていた落ち葉を、地面に落ちないように断続的に風を当てて空中にキープします。

 言ってみれば落ち葉リフティングですわね。


「まあ。落ち葉なんて風をすり抜けていくものですのに」


「風に巻き込んで飛ばすのではなく、瞬間的な風で空中に維持するのです。それが練習になりますわ」


「なるほど……わたくしも練習してみ……」


「ですが一人でやるのは空きますので、家庭教師や家族と対戦して練習しましたの」


「た、対戦ですの?」


「そうですわ。つまり――」


 昨日の盾バレー(仮)の、風魔法と落ち葉版の説明をいたします。


「革を丸めたボールでやったりもしましたわ。おに……兄とおやつをかけて勝負すると盛り上がりました」


「まあ!」


 学園入学前までお世話になった家庭教師を相手にはじめ、お兄様たちとしのぎを削り、お父様も参加することもありました。


 と、ここである可能性に気づきます。

 お母様が盾バレー(仮)にやたら熟達していたのはもしかして……。


 今度またお母様と一緒に遊ぶことを脳内予定に書き込みました。



 さて、そのように語っているうちにやってみようということになりまして。

 周りにいた子たちも参加を表明し、落ち葉バレー(仮)のプチ大会の様相を呈したところで。


「ちょっと君たち、何をしているのかな?」


 アリアが直接叱りに来ました。ちゃんと見なさいと。ちゃんとしないと危ないんだからねと。


「でもそれ楽しそうね。せっかく風車の練習法を教えてくれたのだし、みんなでやってみましょうか」


 先輩方も巻き込んだ六対六落ち葉バレー(落ち葉も六枚)が急遽勃発。

 人数が多いほど、風が荒れた場所で風魔法を操る練習になります。大変カオス。あっ落ち葉が潰れました。アウトー。

 大いに楽しんで帰りました。めでたしめでたし。

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