↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風属性がハズレだなんてありえない! ~転生令嬢が魔法と前世の知識でQOLを上げるまで~  作者: ほすてふ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/25

10.おいもおいしかったですわ

「甘いッ!」


 二つ目のイモに手を伸ばしながら、アリアが鋭く言い放った。

 やはりこの人はノリが独特です。


「とても甘くてほくほくですわね。蒸かしただけですのに」


 蒸かしイモです。

 地属性の豊穣魔法では実りにくいという理由からあまりメジャーな食材ではありません。

 甘みの強さからして、ジャガイモよりもサツマイモに近いとわたくしは感じます。形状は丸っこいのですが。


 ほくほくでそのまま食べられる味です。

 サツマイモはしっとり蜜がたっぷりの方が好きでしたが、ほくほくも全然いける口でした。繊維が多すぎるハズレでなければだいたいいけます。


「そうなのですわ。これを是非広めたかったのです。今回試行錯誤の種をいただけたので、いろいろと試してみますわ」


「うまくいくことを願っております。おいしいものはいくらあってもいい」


「まったくですわ」


 リビエラとうんうんと頷き合いました。




 それから、園芸部の入部手続きをするハナと別れ、わたくしはアリアに連れていかれました。

 飛行部への入部手続きを行うためです。おてて繋いで逃げられそうにありません。逃げるつもりもないのですが、ほかにも興味がある部活があったので捕まった感があります。

 おいしいおやつをいただいて満足げなアリアでしたが、移動の途中で遮音結界を張りました。

 あまりにもスムーズな魔法の展開。風属性でなければ見逃してしまうでしょう。


「ミルカちゃん、あなたは何を知っているの?」


 かわいいモードではなく、鋭いモードの口調です。しかし表情はかわいいモード。器用ですね。

 わたくしはどきりとしました。

 前世のことを言っているのでしょうか。それともほかのなにか?


「何を知っている、と言われましても。あえて言うなら、知らないことを知っています」


「知らないこと?」


「わたくしたちは先人のおかげで様々な知識を持っています。しかし、それもこの世界全体から見ればほんの一部。知らないことの方が多いでしょう。これから先も様々なことが発見されていくでしょう。自分が全知だと思い込まないこと。世界は知らないことだらけであるということを」


 前世の有名な哲学者の言葉をわたくし解釈して語り、ごまかすことにしました。

 今回の範囲であればどうにか納得してもらえるといいなと思います。

 それこそ前世の知識に溺れないよう。

 わたくしが警戒するのは前世の知識抽出マシーンになってしまうことです。

 妄想と思われるならまだマシで、信じられてしまったら困ります。

 わからないことをわからないと言える立ち位置は維持しなければなりません。それならば初めから隠しておくほうが良いでしょう。


「知らないということを知っている、と。無知を知る者ね。良いでしょう。今回はそれで許してあげる」


「いじめないでくださいませ、アリアお姉様」


 わたくしにとってアリアはおもしれー女枠ですが、何を考えているのかわからないとうことでもあります。

 ついでに言うなら上司枠でもあります。身分が上ですので。直属ではないですが。違う部活の先輩のような。いえ、これから同じ部活になるようですから、この例えはややこしいでしょうか。

 面白いこととリスクがあることは両立するのです。


 同派閥のトップの家の令嬢。

 風車家は風属性の中では中堅で、それとは別に風力式揚水機の利権を持っている特殊な立ち位置でもあります。

 鋭く好奇心旺盛なアリアが隣にいるのは動きにくくなる状況があるかもしれない。

 ならばがっつり巻き込むべきでしょうか。

 だとしてもそれは今ではないでしょう。

 物事にはタイミングというものがあります。

 もう少し実績を積み発言力を確保して値を吊り上げるべきでしょう。

 それまではそれなりの関係を維持したいと思います。



 その後、入部届を提出してわたくしは解放されました。


 ハナと合流して帰宅します。

 登下校は徒歩です。貴族区画は石畳なので歩きやすいです。

 この国では貴族も歩きます。人力で担いで運ぶ輿に乗る方もいますが、よく揺れます。

 実は馬車というものがありません。

 馬がいないのです。

 代わりに牛のような生き物が家畜として飼育されています。蹄を見ると違うことがわかりますね。

 これは魔物の一種らしいのですが、わたくしは牛と呼んでいます。角があって太ましくて蹄が牛っぽいので。

 弱い魔物くらいは蹴散らせるパワーがあるそうです。目はかわいいのですけれど。


 というわけで馬車の代わりに牛車があります。

 しかし、軍用と産業用途に多く使われているようです。

 移動にも使われますが、そもそも都市内・近距離での使用が原則認められておりません。

 都市外、領地などへの移動で牛車に乗った経験があります。


 そうなると路上でほかの貴族と出会うこともあります。

 もめごとも起きがちです。

 ですのでニコニコと会釈しながら歩くのがコツであるとお母様から教わりました。

 淑女は笑顔が一番ということです。


 もちろん無礼に対しては毅然として対処しなければなりませんが。

 路上も多くの作法を省略してよいことになっていますので、そうそう無礼をしたりされたりなんてありません。


 などと言っているとフラグが立ちそうですからこれ以上触れないでおきましょう。


 そして問題なく帰宅後。

 ハナが尋ねたいことがあるようですので、時間をとることにしました。

面白かった、続きが気になると思ったら、いいねと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。