10.フォルテヴァラ
遺跡から出たら、もうすっかり辺りが暗くなっていた。夜は闇の時間だ。遺跡の暗さですっかり目はなれてしまっていたが、それでも夜は暗い。
ソフィアはミーニィに背負ってもらっている。まだ目を覚ます様子はないが、呼吸は安定している。イルシュアの見立てでは、回復のために体力と魔力を使い切っただけだとのことだから、宿に戻って休ませれば大丈夫だろう。
「暗いな……」
「街まではもう少し歩く必要があるんだけど、平気そう?」
「ん、大丈夫」
グライフェンの遺跡は街から少し外れた場所にある。明かりのない、薄暗い森だ。
当然ながら明かりなどはない。今はイルシュアが周囲に漂わせている魔法の光が光源で、当然ながら街灯のようなものは立っていない。
冒険者でもなければ、ひとりで立ち寄るような場所ではない。もっとも、このあたりは夜遅くになったら魔物も活動をやめるので、それほど危険はない。
野盗でも出れば話は別だが。
「この後、俺、どうするんだ?」
「とりあえずいったん、冒険者ギルドに任務完了の報告にいくかな。その後は、レナさんに聞いてみないとわからないけど……」
周囲の暗さに慣れないのだろう、祐一が頻繁に話しかけてくる。クレイルはそれに応えながら、そういえばこの後どうなるのだろうと考える。
「とりあえず、今夜は普通にギルド、というか、宿に泊まることになると思うけど」
「ギルド!そして宿屋!」
「なんか、テンション高いね」
「いや、やっぱりちょっと憧れるところがあるというか……」
無事に遺跡を抜けたことで安心したところもあるのだろう。祐一が妙に盛り上がって声を上げる。何にしても本当に良かった、負傷はしたものの、全員無事に遺跡から出てくることができて。
そうこうしているうちに森を抜けた。木々の切れ間から見える空が高く、星明りが目に入る。
時間はわからないが、そこまで遅い時間ではなさそうだ。遠く街の明かりが灯っている。家々の明かりも消えていないようだから、まだ寝入っている家庭はなさそうだ。
「あれが、ええと……街?」
「うん。ハイトの街。僕らの拠点があるところ。って言っても宿屋だけどね」
「宿に住み込みで?」
「ええと、住み込みっていうか、まとめて契約しているっていうか」
クレイルたちは、ハイトを拠点にしているが、出身がハイトというわけではない。もう少し山の上にある山頂付近の村の出身だ。村にはギルドがないため、ハイト街まで降りてきて活動をしていた。
「祐一の世界には、そういうのってなかった?」
「あー、まぁ、長期出張でホテル暮らしとか、そんな感じか?」
クレイルが祐一の世界について聞いてみると、彼は少し考えてからそう答えた。クレイルが知らない言葉だったが、なんとなくニュアンスはわかる。
すると、隣からスッと身体を滑らせたイルシュアが腕を立ててこういった。
「祐一は、たぶんシャチクってやつだろう」
「は?」
そして横からまた知らない単語が出てきた。しかし、祐一は驚いたように目をまるくしてイルシュアを見ている。その様子に気をよくしたイルシュアがさらに続ける。
「このタイプの服装をしている異世界男性は、シャチクである可能性が高い」
「待て待て待て、なんでそんなこと」
「異世界知識を持ってるのは、キミだけじゃないってことさ」
そう鼻を鳴らして言うイルシュアに、クレイルと祐一は呆然と口を開いて見送るしか出来なかった。イルシュアが物知りなのは知っていたが、なんというか、ここまでだとは思わなかった。
クレイルは、自分が異世界に関する情報が不足していると思ったが、案外知ろうと思えばもっと知れるのかもしれない。
そういえば、ギルドの受付嬢、レナも異世界転移者であるようなそぶりを見せていたことを思い出す。出発直後でいろいろ訪ねはぐってしまったが、もしかしなくても、異世界転移者についてもっといろいろ知っておくべきなのではないだろうかと感じた。
なんとなく「噂に聞いたことがある」程度にしておかないで。
「……まぁ、なんにしてもギルドに報告にいこうか。祐一も一緒に来てくれる?」
「お、おう」
いつのまにか近づいていた街の北の入口をくぐりながら、一同はギルドに向かった。
■ ■ ■ ■
ギルド併設の宿の前で、一度ミーニィと別れる。
ミーニィはドラゴンのため、宿には入れない。サイズ的には今は入れないこともないのだが、併設の竜舎を借りているのでそちらで休んでもらう。
心配そうにソフィアの方を見てキュイ、と鳴くミーニィを撫でて、ソフィアを預かる。
クレイルが背負おうかといったが、このまま宿に寝かせてくるとのことで、イルシュアが預かった。魔法で器用にソフィアを浮かせて、ともに空中を漂う姿はちょっとおかしかった。
「ボクは、ソフィアを寝かせてくるよ。クレイルは報告をお願い」
「わかった。祐一、こっち」
ギルドの入り口でイルシュアと別れる。入口は同じだが、ロビーから宿がつながっている。イルシュアはそちらへ、クレイルたちはギルドの方へ。
ギルドの中はまだ賑やかで、併設している宿の食堂にも多くの冒険者や街の人々が訪れていた。
飛び交う声に漂う食事の香り。疲労であまり気にしていなかったが、スープだろうか、香辛料の香りにつられてなんだかお腹が空いてくる。
クレイルは祐一を伴ってギルドの受付に向かう。
ギルドの中も人は多い。常連の冒険者たちが何人かこちらを見てきたが、クレイルだとわかるとすぐに視線を戻した。何人か、祐一の方を興味深そうに見てくるのもいたが。
受付に行けば、レナが朝と変わらない様子でそこにいる。そして、クレイルとその隣の祐一を見るとぱっと顔を明るくした。
「おつかれさまでした、無事に、任務完了したみたいですね」
「うん、結構大変だった」
「クレイルさんたちにしては帰りが遅いと思ってました」
レナはクレイルが想像以上にボロボロなのに気がついて少し驚いたようだが、そこはプロである。受付嬢として動揺することはなく、傍らの台帳を手に取ってすぐに笑顔を浮かべた。
「では、詳細報告お願いします」
「ええと、あの遺跡、野盗が2、3人住み着いてたみたい」
「やっぱりですか、追い払いました?」
「なんだけど、もう少し続きがあって」
そうしてレナに改めて、今回の任務の詳細報告をする。異世界転移者である祐一の紹介と互いの顔見せ。
罠にかかったことはまぁパーティ内の事情なので報告の義務はないが、遺跡の状態は報告しておいた方が後々のギルドのためでもある。
休眠していた吸血鬼がいたこと、彼女が野盗を倒していたこと。今はその危険もないが、吸血鬼との戦闘でアミュレットを使ってしまったこと。
「このアミュレットは……」
「もともと任務完了の折にそちらに差し上げるものでしたから、問題ないですよ」
「よかった」
かいつまんで話すだけでも結構な時間がかかった。
あの吸血鬼は、もうあの遺跡には戻らないだろう。どこに消えたのかはクレイルは知らない。また、会うことがあったら、その時は謝れるのだろうか。否、謝らないほうがいいのだろうか。
「依頼そのものは、問題なく達成ですね」
言いながらレナはクレイルの前に石の板のようなものを差し出した。
クレイルはそれに手をかざす。ぼんやりと青白い光を帯びて、すぐに収まった。レナがその反応を見て、台帳に何かを書き込んでから一礼する。
「はい、フォルテヴァラの任務完了報告、達成で受け付けました」
これで、ようやく報告完了となる。
そのとき、やり取りを見ていた祐一が、小さくクレイルに声をかける。
「今のは?」
「魔力板って言って、魔力を通すことで本人認証ができる魔導具だよ」
「フォルテヴァラってのは?」
「僕らのパーティ名」
「パーティ名!」
感心したように祐一が声をあげる。ギルドに登録する際、冒険者はパーティを組むことが多い。パーティを組む際は、ギルドにその構成員を登録する。クレイルたちは「フォルテヴァラ」としてギルドに登録していた。
「フォルテヴァラ……ってどういう意味?」
「躍進の光、とか、そういう意味の古代語だって」
「かっこいいじゃん」
「えへへ、ありがとう」
簡単なやり取りの後、クレイルは改めてレナに視線を向ける。
レナは、なにやら微笑ましいものを見るような目でこちらを見ていた。
「はい、では、こちら報酬です」
そして、最後にレナが今回の依頼の報酬が入った袋を机に置く。銀貨が15枚。なんだかんだ、異世界転移者を見つけてくる報酬にしては高いが、吸血鬼と戦ったにしては安い報酬となってしまった。
ギルド周りでの報告が終了となり、クレイルは改めてレナと祐一を交互に見る。
レナもここからは雑談の雰囲気となり、受付の椅子に深く座りなおした。
「それで、彼……祐一はどうなるの?」
「いったんギルド預かりになります。今夜はギルド職員の寮に泊まってもらいましょうかね」
「わかった、ひとりで大丈夫?」
「大丈夫だよ、子供じゃないんだから……」
ここでいったん祐一とも別れることになるようだ。とはいえ、同じ街中なので明日もまた顔は合わせるだろうが。
ふと、クレイルは首を傾げる。そういえば、子供ではないと言われて気づいたが、祐一は何歳くらいなのだろうかと。
「祐一って何歳?」
「23」
「えっ、年上じゃん!ごめん!」
言われた言葉にクレイルが焦る。クレイルは祐一が自分と同じくらいだと思っていた。自分は17歳だから、祐一とは6歳ほど差があることに今気づく。
「まぁ、いいよ今更。異世界に年齢とかあんま関係ないだろ」
そのやり取りを見て、レナがくすくすと笑う。そして二人を交互に見て朗らかに言った。
「わかりますよ。日本人って幼く見えがちですよね」
「に、にほんじん…?!」
その言葉に祐一がずいぶんと感動したような表情を浮かべる。ニホンジンとは、おそらく異世界人の種族名か何かなのだろうか。ニホンが地名でジンは「人」なのだろう。
異世界人らしいレナと祐一を見比べたら、確かに少し、顔の系統が似ているかもしれない。
「お互い、色々気になるところもあるでしょうけど、いったん私から祐一さんにお話ししておきます。クレイルさんはお休みください」
何はともあれ、今日は疲れた。
レナの言葉に従って、早めに休むことにしよう。
「うん、わかった。じゃあ祐一、またね」
「おう、おやすみ」
祐一と別れてクレイルは宿の方へ戻る。
途中、ソフィアの部屋の様子を見に行ったら、もうソフィアは寝ているようだった。呼吸も安定している。明日になったらまた元気よく起きだすことだろう。
自分の部屋に戻るとイルシュアは居なかった。食事をどうするか聞こうと思ったのだが、ミーニィの様子でも見にいっているのだろうか。
気にはなったが、イルシュアがふらふらとどこかに出かけるのは今に始まったことではない。
そう、ぼんやり思っているうちに眠気が襲ってくる。せめてシャワーは浴びたかったが、明日の朝に回してしまってもいいだろうか。
「……本当に、今日は色々なことがあったなぁ」
クレイルはベッドに横になって天井を見ながらそうつぶやいた。
そうして、ゆっくりと目を閉じた。
■ ■ ■ ■
翌朝、身支度を整えてクレイルが宿の食堂へ向かうと、そこにはもうすでに一同がいた。
ソフィアはもうすっかり元気そうで、昨日の失態について大変悔しがっていた。その隣でイルシュアが笑いながら何かしら話しかけている。
不機嫌なソフィアに話しかけられるイルシュアは凄いなと、クレイルはつくづく思った。
イルシュアの向かいには祐一がいた。ハラハラと二人のやり取りを見守っていたが、クレイルを見つけるとほっとしたような表情をうかべて手をあげる。
クレイルは、その隣、ソフィアの向かいに腰を下ろした。
「おはよう、ソフィアもう大丈夫なの?」
「大丈夫に決まってるわ!……昨日は、悪かったわね」
「そんな、ソフィアが無事でよかったよ。強かったよね、あの吸血鬼」
「次は絶対負けないんだから……!」
そうして全員そろって朝食をとる。宿の朝食メニューは日替わりだ。今日は、焼いた丸パンと、おおきな半熟の目玉焼き。きのこと玉ねぎの炒め物に、豆と芋の入った温かいスープ。
それに薄切りの林檎と果実水。
宿の看板娘が手際よく一同の前に朝食を並べていく。
「祐一は、食べられそう?」
「ああ、俺らの世界の料理と、そんなに大差ないんだな」
「それはよかった、似ている文化圏なのかな」
そうして時々会話を挟みながら、和やかな朝食をとった。
祐一が年上だとわかったから態度を改めようかと思ったが、結局そのままでいいと言われて同じように接している。もっとも、冒険者の間では年齢はあまり気にしないところもあるから、クレイルとしてもそちらの方が助かった。
「さて、では皆さんに報告があります!」
そして、朝食も一息ついてこれからの話をしようか、というところで、イルシュアが飛び上がり、高らかに宣言した。
なんだなんだと一同はそちらを見る。イルシュアは含みを持たせた笑いをしながらくるりと回ってこう言った。
「新しいパーティメンバーを紹介します!」
「えっ」
突然の発言に、クレイルとソフィアは驚いた声をあげることしかできない。
いったい誰が、と思って、ふたりは祐一を見る。
まさか、この異世界転移者が新しく自分たちのパーティに入るのだろうか。しかし、当の祐一も驚いたように二人を見ていた。
「も、もしかして……俺?!」
少し興奮した様子で祐一も立ち上がる。異世界人が冒険者をやるという話はあまり聞いたことが無かったが、彼がやる気なのであればクレイルとしても。
「あ、いや、違う違う」
と思ったらあっさり否定された。
そして、いつの間にいたのか、イルシュアの隣に座っているフードを深くかぶった人物の頭をぽんぽんとその手でたたく。
全員の視線がそこに注がれる。
イルシュアは高らかに言った。
「吸血鬼の少女、ジャンヌです!」
そこには、顔を隠すようにフード、というよりはヴェールを頭に乗せた、黒髪赤目の昨日の吸血鬼が、静かに座っていた。
間。
ぱちぱちぱち、と、イルシュアが拍手する音が響く。
「はぁああああ?!?!」
反応が早かったのは、ソフィアだった。早いといってもだいぶ間があったが。
ガタンと椅子を大きく鳴らして立ち上がり、横のジャンヌに目を向ける。クレイルも思わず立ち上がりかけて椅子を揺らしてしまった。
祐一に至っては、ソフィアの声にも驚いたのか、完全に椅子ごとひっくり返っている。
「ユウイチ、リアクションでかいね」
「そこをつっこむのかよ!」
動揺する一同をよそに、イルシュアは平然と話をつづけた。
「いやぁ。斥候役、欲しかったんだよねぇ」
「ちょっと、ちょっとまってよ、何でそんな話に」
「君たちってとにかく罠にかかりまくるからさ、その点彼女なら安心!実力も申し分ない!」
「いや、そうなんだけど……」
「そうじゃないでしょ!」
さっさと話を纏めようとするイルシュア、割とごもっともな言い分に、クレイルが言いよどむが、それにソフィアが待ったをかける。
それから、ジャンヌの方を指さして叫んだ。
「昨日!私たちを襲ってきた吸血鬼じゃない!」
「安心して、もう襲わないって話はしたから、キミが寝てる間に」
「私は認めてないけど?!」
「でもほら、同じパーティにいればいつでもリベンジできるよ」
その言葉に、ソフィアがぴたりと動きを止める。昨日の敵、しかもコテンパンに負けた相手、実力が申し分ないのは事実。ソフィアはジャンヌを見る。
ジャンヌはそれを見て、一言。
「あなたに認めてもらわなくても、私が入ることは確定よ」
その一言は、何のフォローにもなっていなかった。
「やーーーーっぱりムカつく!え!むかつくんだけど!」
「でも彼女が言った通りこれは確定なのさ」
「えっ、え、でも、ジャンヌさんは、それでいいの?」
怒り心頭のソフィアに代わってクレイルが慌てて口を挟む。確定といったが、彼女はそれでいいのだろうか。そう言ったら彼女はクレイルに向かって完全に嫌悪の視線を向けた。
まだ、クレイルに対する怒りは収まっていないのかもしれない。
「イルシュア様に頼まれたら仕方ないわ。あなたたちのためじゃないの、イルシュア様に言われたから、一緒に行動するだけよ」
それだけ言ってクレイルから視線を外す。
クレイルは困ったようにイルシュアに視線を向けた。だが、当のイルシュアはそんな空気もどこ吹く風で楽しそうに笑うだけだった。
「昨日のうちに説得しに行ってたんだ。いや~話がまとまってよかったよかった」
「いやまじイルシュアとこの子どういう関係なんだよ……」
「古い知り合いだよ」
「いや、イルシュアって何歳なん?!」
どんどん出てくる爆弾発言に祐一が頭を抱える。問われたイルシュアは、少し首を傾げてから体を捻らせて祐一を睨む。
「いやだなぁユウイチ、キミは乙女に年齢を聞くのかい?」
「えっ、イルシュアってメスなの?!」
「いや、オスだよ」
「遊ばれてる!俺、さっきからずっと遊ばれてる!」
「リアクションでかいよね、ユウイチ」
けらけらと笑うイルシュア。祐一は頭を抱えたままのけ反って叫んだ。ソフィアはジャンヌを睨んだままだし、ジャンヌは素知らぬ顔で、いつの間にか朝食の豆をつついている。
クレイルは、そっと、目の前の現実から食堂の窓の方に目を向けた。
これだけ騒いでも食堂の人たちは何も気にしない。
この程度の騒ぎは冒険者ギルドがあるこの宿では日常茶飯事なのだ。むしろ、殴り合いが無いだけ平和なほうで。
「……はぁ」
クレイルは大きく息を吐いて座りなおした。頬杖をついてジャンヌを睨んでいたソフィアが視線だけでクレイルを見る。
「結局、このスカし女が加入するのは決定事項なのよね」
「そうみたいだよ」
「リーダーはクレイルでしょ、アンタが嫌って言えば……、まぁ、アンタは言わないか」
「うぅ……」
ソフィアのその言葉にクレイルは縮こまる。クレイルとしては嫌なわけではない。確かにイルシュアの言う通り、斥候として新メンバーが入ってくれるのであればありがたいのだ。
昨日の転移の惨状を思えばなおさら。
クレイルはちらりとジャンヌを見る。
ソフィアも一応のところ納得はしたようなので、あとはクレイルがよろしくと言ったら、彼女は正式にフォルテヴァラの一員になるのだ。
「ええと、じゃあ、ジャンヌさん、これから、よろしくお願いします」
「嫌」
「えっ」
「一緒には行動する。仲良くはしない」
「……は、はい」
断られた。とはいえ、あとはギルドに登録するだけで、フォルテヴァラに新メンバー加入となる。倒れた椅子を起こしながら、祐一がクレイルを見た。
「大丈夫なん?このパーティ」
「僕には荷が重すぎるかも……」
「いや、誰にだって重くないか?」
ため息をこらえたクレイルに、イルシュアが楽しそうに笑った。
「まぁまぁ、そのうち仲良くなれるって」
昨日まで三人と一匹だったフォルテヴァラは、今日からひとり増える。
クレイルには、それが良い変化なのかどうかはまだ分からなかった。
ただ、きっと、静かではないだろうとは思った。
小学生のころから考えていたオリキャラたちを、形にして世界に生み落としてあげたくて書き始めました。当初の設定とはかなり変えて、今の世界観に乗せたところもありますが、元々はこのメンバーが構想のスタートでした。当然ながら、祐一は元々いません。
フォルテヴァラの活躍をこの先少しずつ広げて行けたらと思います。




