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―― 頭が痛い、重い……
テーブルに突っ伏して、溜息をつく。意識して長く息を吸って、また吐き出す。うるさい拍動をなんとかしたくて、繰り返すが静かになってはくれない。
―― 一人の時で、良かった
自宅だから誰の目も気にせずに、脱力できる。
何時ものように脈絡なく見るはめになったバグのせいで、気分が最悪だ。バグ自体は強制終了されたように終わっている。まるで遮られるように黒く塗り潰されて、倒れている人の傍に行くことも出来ずなかった。
―― もう一人いた
視界が黒で埋め尽くされる前に、白が視界に入った。長く白い髪に、赤い――あれは、血だろうか。疑問を持ちながら、同時に血液だと思っている。
―― そうじゃない、問題はそこじゃない。あの二人は……
「ぐっ……」
突然走った鋭い痛みに、思わずうめき声を上げるはめになった。腹の中からせり上がってきそうな感覚に、体を起こしてまた息を吐く。
―― いやなバグだ、凄く嫌な
ここはライトなファンタジーの世界のはずだろ。バグにしても誰かの過去を見ているにしても、あんなのおかしいじゃないか。
ここはライトなBLファンタジーで、俺の好きなゲームの中だろう。確かに何から何まで、明るいわけじゃない。シーディスさんは、過去で大変な目にあっている。俺に至っては二回も、焼け焦げてる。あと学園での出来事も、ライトからは逸脱している気がする。
―― 一人で、いたくない
なんか色々と考えていても、脳裏に倒れていた二人の姿がちらつく。しょうがないとは思う。結構な衝撃的な場面だったのだから。
―― 誰かの過去じゃないといいな
誰かの過去をバグのせいで見たのだとしたら、あんな思いをした人がいるってことだろう。血の臭いがして、二人倒れていて心臓が痛くて痛くて、切り裂かれるような痛みがした。俺が見ていた時間は、ほんの少しの短い時間だ。それでも凄く辛くて、どうしようもなかった。
―― だから、違うといい
プログラムとかよく分からないけれど、別のゲームのが間違って入ったとか。そんなんだったら、良い。主人公のロイはもちろん、相手になったキャラも、他のキャラも皆幸せなのが良い。だから誰かがあんな思いをしてたかもなんて、考えたくない。
―― 外に、行こう
頭の痛みもうるさい拍動も、全然収まらない。けど一人いると、収まったバグのことを考えてしまう。
―― 会いに行くのは、止めた方が良いな
ふと浮んだ考えを、否定する。この状態で会えば、心配をかけてしまう。あいつはジルベールは人が良いから、余計な心配をかけたくない。
また意識せずに出てしまった溜息を、飲み込んでから立ち上がった。




