7 <ジルベール視点>
―― ずっとサイジェス先生のことを見てる……
講義が始まってからしばらくして、レイザードがずっと同じ方向を見ている事に気づいた。視線の先にいるのは、サイジェス先生だ。
最初は講義中なのだから話をしている先生の方を見るのは、変なことじゃないって思うことにした。けどそれにしては凝視しすぎな気がして……
―― もしかして先生のことが、好きなんじゃ……
鈍器で頭を殴られた様な衝撃だ。レイザードに振り向いて貰うことに必死で、彼が誰かを好きな可能性を考えてなかった。
―― そういえば
よくサイジェス先生の講義の講義を、受けている気がする。何度か廊下で話しているのを、見たことがある。
あまり人と関わるのを好んでいないように見えるレイザードが、自分からサイジェス先生に関わりに行っている。
―― まさか、いやでも
もしそうなら、どうすればいいんだろう。レイザードがサイジェス先生のことが好きなら、応援する? きっと上手くいくよと励ます?
―― 無理だ
彼の事を思うなら応援してあげるのが、いいのかもしれない。けど何でも無い振りをしながら、レイザードに接する自信がない。
「どうした。具合が、悪いのか?」
「なんでもないよ。大丈夫」
思わず頭を抱えそうになっていたら、レイザードが心配して声をかけてくれる。
―― やっぱり無理だ
気にかけてくれて嬉しい。声をかけてくれて、俺を見てくれる。それがすごく嬉しい。今の状況で満足するべきなのかもしれない。
けど嬉しいのと同時に、彼の隣に別の誰かがいるところを想像すると胸が痛くなる。
―― どうしたら、良いんだろう
好きな人に好きな相手がいるとき、どうすればいいのか分からない。
人を好きになったのは、初めてなんだ。しょうがないだろ。
誰に言われたわけでもないのに、心の中で言い訳をしている。
―― 今、考えることじゃないな
今は講義の最中だ、
集中力を欠くどころか、全く頭に入ってない。ただでさえレイザードの隣の席を確保できて、浮かれていつもより集中出来ていないのに。
講義はちゃんと、受けよう。色々と考えるのは、その後だ。
―― それに
こんな情けないことを考えているって知られたら、嫌われてしまうかもしれない。後にしようと決めたのに、また考えてしまっている。
隣にいるレイザードに気づかれないように、小さく息をはいてから前を向いた。




