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―― 良かったなジルベール、良かったなジルベール、良かったな
ジルベール、良かったなジルベール
今度会ったら俺に告白した黒歴史はなかったことにして、言おうと決めた台詞を心の中で繰り返す。なんなら、おめでとうもつけるか。
「良かったな、おめでとうジルベール……」
口に出してみる。自然な感じで言えた、問題ない。少し尻すぼみになったけど、大丈夫だ。
―― けど
場合によっては、伝えることもないかもしれない。バグが何時から始まっていたのか、その状況によって解消されたときの関係性は大きく変わる。
親友なら今ので友達でも同じで、ただの顔見知りなら…… なぜだが、ため息がでた、
出会った頃のジルベールを思い浮かべる。あのときは、どんなだったか。ジルベールはともかく、俺の対応は10割増しで悪かった気がする。なんせ単体のイケメンなんて、欠片も萌えないって思ってたからな。
今はなんだかんだあって友達になって親友になって、それは嬉しいと思っていて―― あいつは愛想良く振舞うのが普通だから、そこまで極端な対応はされないだろう。けど親友と赤の他人は、全然違う。
―― だから
バグが何時から発生していたのかによって、俺とジルベールの関係性は大きく変わる……気がする。それをちょっと、嫌だと思ってしまっている。あいつにとってはバグが解消されるのは、良いことなのに。
―― 嬉しそうだったな
さっきのジルベールの姿を思い浮かべる。良い笑顔を浮かべていた。相手がよほど大事なんだろう。一緒にいた誰かも優しい表情でジルベールを見ていて、いい雰囲気だったように思う。
―― なら良いか
どこからバグが発生していても、ただの顔見知りに戻ったとしても、ジルベールが幸せならそれで良い。そう俺はキャラに幸せになってほしい派だからな。
…… だから、何の問題もない
「おい調子に、のるんじゃねえぞ!」
―― なんだ?
もやもやしたものを振り払うように頭を振ったとき、怒鳴り声が聞こえる。周りを見渡すと人の姿は見当たらない。考え事をしながら歩いていたせいで、ジルベール達を見かけたところから、だいぶ距離が離れていたようだ。なんというかあまり治安が良さげじゃない気がする。
もう一度辺りを見渡すが、やはり誰もいない。けど気になって、発信源を探すことにした。俺は別に善人ではないから、柄の悪い連中同士の喧嘩なら放って帰る。けどそうじゃないなら、そのままにしとくのは少し気になる。
―― あの人は
駆けだして角を曲がると、その先に人影が見えた。
見覚えのある後ろ姿は、ジルベールと一緒にいた美女……か、男か分からないけど、一緒にいた人と同一に見える。その人の前には大声をあげる柄の悪そうな男が一人、状況は分からないけれど変なのに絡まれているらしい。
止めにと近づこうとしたとき、男が腕を振り上げたのが見えた。
―― 任せておけジルベール、お前の思い人は、俺が守る
至近距離から殴られそうになっている。傍に行くまでに間に合わない。駆けだすと同時に術を構築して二人の間に氷の壁を出現させた。




