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―― もの凄い美女……いや男、どっちだ?
モブの影の薄さを最大限に屈指して、近づいてからそっと様子を伺う。周りに人もいたから、見つかることなく近づけた。
どんな相手だろうかと視線を向けると、なんか凄く顔立ちの整った人が見えた。ただ性別が分からない。柔らかい雰囲気で、優しそうな人だ。
性別が間違われそうという点でいうと、先生が浮かぶ。ただ同じ顔立ちが整っていて性別を間違えられそうなという共通点があっても、先生とは雰囲気が真逆だ。先生は圧があるし、怖いからな。
もっと近づけば手の骨格とか喉ぼとけで判断できそうだが、あまり近づくとばれてしまう。
―― ずいぶんと、親しそうだな
美女か男か分からないが微笑んでジルベールに何か言った後、ジルベールの顔が赤くなった。どう見ても、照れている。それに表情が、優しい。
傍から見ると恋人同士というか、好きな人を相手に照れているようにも見える。
―― もしかして、ジルベールの好きな人か?
あれ、でも今はバグが、発生していたはずだ。そのせいでややこしいことに、なっているのだから。だが何度見ても、良い雰囲気に見える。もしかしてバグが、直ったのだろうか。
―― そうか
いつまで続くか分からなかったが、思ったより早くバグが直ったようだ。
良かったな、ジルベール、幸せそうな顔をしている。
今度顔を合わせたら、告白はなかったことにして接しよう。ジルベールにとっては、黒歴史だろし忘れたいはずだ。
―― なんだろうか
少しモヤモヤする。バグが直ったなら、良いことしかないはずなのに。
―― そうか
良くわからない感情に、頭を捻って腑に落ちる答えが出た。
場合によっては、友達をなくすことになるからだ。バグが何時からなのか、はっきりしない。けどもし友人になる前から発生していたのならば、俺はジルベールと友達ですら無くなる。それを少し嫌に思ってるんだろう。なんだかんだいって、そこそこ楽しかったしな。
ジルベールにとっては、面倒に巻き込まれたり迷惑かけられたり碌なことがなかったと思う。でも俺にとっては、今思いおこせば悪い思い出ばかりじゃない。
―― なんせ初めての友達だ
もうこの瞬間、違うかもしれないのが、嫌だったのかもしれない。
だが俺は攻略キャラの幸せを願う腐男子だ。あいつにとっては良いことなのだから、
喜ぶとしよう。
奥手だから色々と心配だが、あれだけ良い雰囲気だ。きっと上手くいくだろう。
だから邪魔はしないで、立ち去ることにしよう。攻略キャラってだけじゃない、友達だからな。
―― しばらくしたら、なくなるだろう
友達がいなくなり、またボッチになるかもしれない。そのせいで感じているモヤモヤは、きっとそのうち感じなくなる。
だからなんでもない、大丈夫だ。
『頑張れ応援しているぞ、ジルベール』
言葉にしないで口だけ動かして、エールを送る。そうしてから背を向けて、歩き出した。




