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鼻歌を歌いそうになりながら、学園の廊下を歩く。あくまで歌いそうにだ。無表情で歌っていたら、怖いだろ。
『本当なのか確認した方が、いいんじゃないか?』
スキップしそうな勢いで歩いてる最中に、分れ際にヴァルに言われたことを思い出す。
本人から直接聞いたわけじゃないから、誤解かもしれないだろう。きちんと確認した方が、いいんじゃないか。そう言われたんだ。浮かれすぎて、すっかり頭から抜け落ちていた。というか二人が恋人になっていた方が嬉しいから、頭の隅に置いて考えてなかったというのもある。祝うのは確認を、済ませてからにしよう。
講義が始まる前にジルベールを捕まえて、昼休みに話があると伝えよう。本当は直ぐに、確認したいところだが我慢する。いくら萌えが摂取できるかも知れないからって、講義に遅れるのを承知で引き留めたりしない。俺は常識ある腐男子だからな。
「ところでロイに告白されたと、噂で聞いたが……」
「えっ? まってどこから、そんな噂が?」
待ちに待った昼休み、中庭の人気のないところにジルベールを連れて行く。シャイな奴だから、人のいるところでロイと付き合うことになったのかと聞いても言葉を濁すかも知れないからな。
他に誰もいないから、本当のことを言うだろう。期待を込めて話を始めたが、返ってきたのは困惑だ。
「出所は、知らん」
そっと盗み聞きしていたなんて、話せるわけがないからとぼけて流す。
―― 嫌な予感がする
なんで戸惑った表情を、しているのか。ここは照れながらロイと、付き合うことになったと言うところだろう。
「誤解だよ! そのロイには好きな人の事で相談に乗ってもらっていて、そこで好きだって伝えたらどうかって言われてただけだから」
「……そうか」
テンションが急降下していくのを止められない。
昨日、あんなに表情筋を動かす練習をしたのに、無駄になってしまった。練習の成果は出なかったけれど、それでも祝福する気満載だったのに。
―― 早とちり、早とちりか……
思わず溜息が出そうになる。昨日、妄想したあれやこれが、一切見ることが出来ない。ジルベールは、悪く無い。勘違いした俺が悪い。
分かってはいるのだが、期待していただけに落ち込みが激しい。
「本当に誤解だよ。俺が好きなのは、君だから……あっ」
「なんだって?」
聞こえていけない幻聴が、聞こえた気がする。聞き返すと一瞬顔色を悪くして視線を彷徨わせたと思ったら、しっかりと目を合わせてきた。




