90・タワーディフェンス世界
「では説明していきますね」
タワーディフェンスのやり方講座が始まった。
ちなみに、タワーディフェンスとは、拠点を防衛するゲームのことだ。
リアルタイムに侵入する敵を、リソースをやりくりして撃退するものだ。
なお、ジゼロジゼロはもうなんか諦めたのか流し聞きしながらバナナずっとぱくぱくしている。
バトラーが手を振ると、シュインと空中に立体映像モニターが表示された。
前世で憧れたお馴染みのステータスオープンに似ているが、要は【水鏡】の応用だろう。
立体映像は、プレパラートのように重なり、このダンジョンを思わせる階層構成になっている。
一番下の層には赤い点が浮かんでいるが、ここが俺たちのいる場所ということだ。
「ここまで来られたら終わりってことか……」
「そうなります。スキル神殿の核だけはこちらの階に避難させますが」
あの宝珠のことか。
たしかに俺たちが無事でもあれを破壊されたら、ここの存在意義は消える。
おそらく、スキル神殿が現れた時のように、部屋の組み換えで移動させられるんだろう。
「防衛機構について説明しますね」
階層図の側に、凸マークや凹マークなどの図形が浮かぶ。
「この凸が戦闘用ゴーレムです。凹はトラップです。ジーロ様には、これをどこに配置するかを決めて頂きます」
「ゴーレムやトラップは全部性能が同じなのか?」
「いえ、種類は複数あります。ゴーレムは大中小、トラップは落とし穴が大小とトゲ丸太と落石があります。基本、トラップは空や水中には設置できません」
アイコンは凸が大中小に変わり、凹はそのままのものが大小に分かれ、小の一部がトゲの生えたものと、落石注意の看板のように岩がこぼれるような図形になる。
「なかなかの殺意だな……」
「生半可な火炎や電撃はドラゴンには通じませんから使える罠は少ないですが、爬虫類人にはどれも有効でしょう。逆にドラゴンはゴーレムでどう消耗させるかが大事になるでしょうね」
「なるほど……」
「各階の配置制限はありませんが、リソースは有限です。大きなゴーレムや罠を使うとそれだけリソースを消費します。それはこのメーターを見て下さい」
モニターの端に目盛りのようなものがある。
リソースを使うたびに、進んで行くのだろう。
「仕掛けるにしても、砂漠と湿原と温泉は火山帯に変えられたんだろ? やりようがない気がするが……」
「いえ。流石にドラゴンたちも全領域を改変することは出来ませんでした。目に見える範囲、階段と階段の間を、マグマを引き込むことで改変したのです。ですから、階段の地点を変え、初期状態の残る地域に接続します」
「っていうかなんでそんなに広いんだ……」
「それくらい、封じなければならない侵食が想定されていたということです」
「あ……」
ずっと疑問だった。
砂漠も、湿原も、あまりに広すぎる。
だが、それは異界律の侵食を中に閉じ込めるために必要なもので、同じ場所でスキルの試練も行っているから広すぎて見えただけだったのだ。
「そんなわけで、ゴーレムも罠も置き放題ですよ。さぁ、どう配置しますか?」
考えは、ある。
一拍置いて、俺は答えた。
「それじゃあ、入り口に全部設置しよう」
「「ええっ!?」」




